仕事中に突然、体調の異変を感じ、体温計を確認したら「発熱している!」――そんな経験は誰にでもあるかもしれません。
普段通りに業務をこなしている最中に熱が出ると、原因は何だろう、どう対処すればいいのだろう、仕事を休むべきか、それとも続けるべきかと、様々な不安や疑問が頭をよぎります。
仕事中の急な発熱は、自身の健康問題だけでなく、周囲の同僚への影響や業務の進行にも関わるため、冷静かつ適切な対応が求められます。
この記事では、仕事中に発熱した場合に考えられる原因から、その場でできる応急処置、仕事を休むかどうかの判断基準、そして医療機関を受診すべき目安について詳しく解説します。
さらに、日頃からできる発熱予防策についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みいただき、いざという時のために役立ててください。

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仕事中の急な発熱、考えられる主な原因
体温の上昇は、私たちの体が何らかの異常を知らせるサインの一つです。特に急な発熱は、体に何かが起こっていることを強く示唆しています。
仕事中に突然発熱した場合、考えられる原因は一つだけではありません。様々な可能性を視野に入れ、状況を把握することが大切です。
発熱は、体温調節中枢が体の設定温度(セットポイント)を引き上げることで起こります。これは、体内に侵入した病原体と戦ったり、体の修復を促進したりするための生体防御反応であることが多いです。
しかし、必ずしも感染症だけが原因とは限りません。
感染症による発熱(風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など)
仕事中の急な発熱の最も一般的な原因は、細菌やウイルスなどの病原体による感染症です。
中でも、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、職場のような人が密集しやすい環境で感染が広がりやすいため、特に注意が必要です。
- 風邪(普通感冒):
ライノウイルス、コロナウイルス(一般風邪の原因となるもの)、アデノウイルスなど、多くの種類のウイルスによって引き起こされます。症状は比較的軽度で、発熱も微熱程度で済むことが多いですが、急に体温が上がることもあります。鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、くしゃみ、だるさなどを伴います。潜伏期間は通常1~3日程度です。 - インフルエンザ:
インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症で、風邪よりも症状が重くなる傾向があります。突然の高熱(38℃以上)、悪寒、全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛などが特徴的です。喉の痛みや咳、鼻水も伴いますが、全身症状がより強く出ます。潜伏期間は通常1~4日程度です。感染力が非常に強く、職場内で急速に広がる可能性があります。 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19):
SARS-CoV-2ウイルスによって引き起こされます。発熱、咳、倦怠感、喉の痛み、味覚・嗅覚異常、呼吸困難など、様々な症状が現れる可能性があります。発熱の程度や症状の現れ方には個人差が大きく、無症状の場合から重症化する場合まであります。潜伏期間は通常2~14日程度(多くは5日程度)と幅があります。感染経路も飛沫、接触、エアロゾルなど多様であり、職場での感染対策が重要です。
これらの感染症以外にも、溶連菌感染症、肺炎、尿路感染症など、様々な細菌やウイルス感染が発熱の原因となる可能性があります。
感染症による発熱の場合、多くは他の症状(喉の痛み、咳、鼻水、だるさ、関節痛など)を伴いますが、発熱が先行することもあります。
ストレスや疲労による発熱(心因性発熱)
「ストレスで熱が出る」という話を耳にしたことがあるかもしれません。これは医学的に「心因性発熱」または「機能性高体温症」と呼ばれる現象です。
過度の精神的ストレスや緊張、不安などが原因で、体温調節中枢に影響が及び、体温が上昇すると考えられています。
心因性発熱の特徴としては、
- 体温は37℃後半から38℃台前半の微熱から中等度熱が多い。
- 午前中よりも午後から夕方にかけて体温が高くなる傾向がある。
- 安静にしても体温が下がりにくいことがある。
- 発熱以外の症状(喉の痛みや咳など)がほとんど見られないことが多いが、頭痛、倦怠感、腹痛などを伴う場合がある。
- ストレスが軽減されると体温が正常に戻ることが多い。
仕事におけるプレッシャー、人間関係の悩み、過重労働など、慢性的なストレスが続いている場合に起こりやすくなります。
感染症による発熱と区別がつきにくい場合もありますが、感染の明らかな兆候がなく、強いストレスを感じている状況であれば、心因性発熱の可能性も考慮に入れる必要があります。
疲労蓄積による体調不良
長時間の労働、睡眠不足、不規則な生活などが続くと、体は疲労を蓄積し、免疫力が低下しやすくなります。
免疫力が低下すると、普段は体に影響を与えないような弱い病原体にも感染しやすくなり、発熱を含む様々な体調不良を引き起こすことがあります。
また、疲労そのものが体温調節に影響を与え、微熱の原因となる可能性も指摘されています。
激しい運動の後や、極度の疲労状態では、一時的に体温が上昇することがあります。
仕事での疲労がピークに達した時に、体からのSOSとして発熱が起こることも考えられます。この場合も、発熱の他に強い倦怠感や集中力の低下などを伴うことが多いでしょう。
その他考えられる病気
感染症やストレス、疲労以外にも、発熱を引き起こす病気は多岐にわたります。例えば、
- 自己免疫疾患: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、自己の組織を攻撃してしまう病気でも発熱が見られることがあります。
- 内分泌疾患: 甲状腺機能亢進症など、ホルモンバランスの異常が体温調節に影響し、微熱や発汗を伴うことがあります。
- 悪性腫瘍: 一部の癌では、腫瘍によって放出される物質や体の免疫応答によって発熱が起こることがあります(腫瘍熱)。
- 薬剤熱: 特定の薬剤(抗生物質や抗てんかん薬など)の副作用として発熱が起こることもあります。
これらの病気が原因で急な発熱が起こる可能性は、感染症などに比べると低いかもしれませんが、特に繰り返す発熱や原因不明の発熱の場合には、可能性として考慮する必要があります。
しかし、これらの病気を自己診断することは非常に難しく、専門的な検査が必要です。
このように、仕事中の急な発熱の原因は様々です。ご自身の体調や状況をよく観察し、冷静に判断することが重要です。
仕事中に急な発熱した場合の適切な対処法
仕事中に急に発熱した場合、パニックにならずに、まずは落ち着いて適切な対処をすることが大切です。
その場での応急処置が、その後の回復や周囲への影響を最小限に抑えることにつながります。
まず体温を正確に測る
体調の異変を感じたら、何よりもまず体温を測りましょう。正確な体温を知ることが、現在の状況を把握し、その後の対応を判断するための第一歩となります。
体温計には、脇の下で測る電子体温計、耳で測る耳式体温計、額で測る非接触型体温計など、様々な種類があります。
職場に常備されているのは脇の下で測る電子体温計が多いかもしれません。
脇の下で測る場合は、汗を拭き取り、体温計のセンサー部が脇の中央に来るようにしっかり挟んで、体温計の説明書に従って測定を完了させてください。
測定時間が短い体温計でも、実測式(より正確な体温)で測るためには、表示後も数分間そのまま挟んでおく必要がある場合もあります。
耳式体温計や非接触型体温計は短時間で測れますが、測定方法や環境によって誤差が出やすい場合があります。
正確な体温を知るためには、可能であれば脇の下で測る体温計で複数回測定し、安定した値を参考にすると良いでしょう。
重要なのは、体温計の種類や測定部位、測定環境によって基準値や値に若干の差があることを理解しておくことです。
普段の平熱を知っておくことも、発熱しているかどうかを判断する上で役立ちます。
体温や症状を確認し、冷静に対応する
体温を測ったら、その数値を確認します。同時に、発熱以外の症状(喉の痛み、咳、鼻水、だるさ、頭痛、関節痛など)がないか、体のどこかにいつもと違う感覚がないかも注意深く確認しましょう。
- 体温が37.0℃~37.4℃程度の微熱か?
- 37.5℃以上の明らかな発熱か?
- 38.0℃以上の高熱か?
そして、
- 発熱以外に、咳が止まらない、息苦しい、頭が割れるように痛い、など他の辛い症状があるか?
- 熱は急に上がったのか、それとも時間をかけてじわじわ上がってきたのか?
- 昨日や今日の体調はどうだったか?
これらの情報を整理することで、発熱の原因や重症度を推測する手がかりになります。
慌てて動揺せず、「今、自分の体に何が起こっているのか」を冷静に把握しようと努めることが大切です。
安静にして体を休める
発熱は体が休息を求めているサインです。
体温の上昇は体力を消耗しますし、無理に働き続けると症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。
発熱に気づいたら、まずは可能であれば業務の手を止め、職場の休憩室や静かな場所で体を休めましょう。
座っているだけでも体を休めることになりますが、可能であれば横になることが理想です。
ネクタイを緩める、上着を脱ぐなどして、体を締め付けているものを外し、楽な姿勢で過ごしてください。
もし体調が非常に辛い場合や、発熱の程度が高い場合は、無理せず早退や帰宅を検討することが最も重要です。
この際、移動中に体調が悪化しないよう、公共交通機関の利用を避けたり、家族や同僚に送迎を頼んだりすることも考慮に入れましょう。
水分補給をしっかり行う
発熱すると、汗をかいたり、呼吸が速くなったりすることで、体から水分が失われやすくなります。
また、体力を消耗するため、意識しないと水分摂取が不足しがちです。脱水は症状を悪化させ、回復を遅らせる原因となります。
発熱に気づいたら、こまめに水分を補給しましょう。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつ頻繁に飲むのがポイントです。
水分補給におすすめの飲み物:
- 水、麦茶: カフェインを含まず、体に優しい基本的な水分補給。
- 経口補水液: 発熱時の脱水で失われやすい電解質(ナトリウム、カリウムなど)と糖分をバランス良く含んでおり、体への吸収効率が良い。市販のものが便利です。
- スポーツドリンク: 糖分と電解質を含みますが、経口補水液ほど電解質の濃度は高くないため、軽い脱水の場合に適しています。糖分が多いものもあるので、飲みすぎには注意が必要です。
- 果汁100%ジュース: ビタミンCなどが含まれますが、糖分が多く、胃腸に負担をかけることもあるため、大量摂取は避けた方が良いでしょう。
- 温かい飲み物(白湯、番茶など): 喉の痛みを和らげたり、体を温めたりする効果も期待できます。
水分補給の際に避けたい飲み物:
- アルコール: 利尿作用があり、脱水を促進させる可能性があります。
- カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶など): 利尿作用があるため、脱水時には適しません。
体温が高い時は、冷たい飲み物が心地よく感じられるかもしれませんが、胃腸への負担を考慮すると、常温か少し冷たい程度のものが望ましいです。
必要に応じて解熱剤の使用を検討する
発熱によって体が非常に辛い場合(倦怠感が強い、頭痛がひどい、関節痛があるなど)、解熱剤の使用を検討しても良いでしょう。
解熱剤は、体温を下げることで発熱による不快な症状を和らげ、体を楽にすることが目的です。
ただし、発熱そのものを治す薬ではなく、あくまで対症療法であることを理解しておくことが重要です。
市販の解熱剤にはいくつか種類がありますが、一般的に使用される主成分としては以下のものがあります。
主成分 | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
---|---|---|---|
アセトアミノフェン | 脳の体温調節中枢に作用し、解熱効果を示す。胃腸への負担が比較的少ない。 | 胃腸が弱い人、空腹時、子供にも使用されることが多い | 消炎作用はほとんどない。肝機能障害のある人は注意が必要。アスピリン喘息の既往がある人も比較的使いやすいが、医師に確認が必要な場合がある。 |
イブプロフェン | プロスタグランジンという痛みの原因物質の生成を抑え、解熱・鎮痛・消炎作用を示す。 | 痛みも伴う発熱、炎症がある場合。 | 胃腸への負担があるため、可能な限り食後に服用。喘息、腎臓病、心臓病、胃・十二指腸潰瘍などの持病がある人は医師・薬剤師に相談が必要。 |
ロキソプロフェン | イブプロフェンと同様に解熱・鎮痛・消炎作用を示す。市販薬としては比較的新しい。 | 痛みも伴う発熱、炎症がある場合。 | イブプロフェンと同様の注意点に加え、消化器系の副作用(胃部不快感など)が出やすい場合がある。眠くなる成分は含まないことが多い。 |
解熱剤を使用する際は、製品の説明書をよく読み、用法・用量を守ってください。
他の薬(特に風邪薬や他の鎮痛剤)と併用すると、成分が重複して過剰摂取になる危険性があるため注意が必要です。
また、持病がある方や妊娠中・授乳中の方は、市販薬を使用する前に必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
発熱が辛い場合でも、無理に体温を正常値まで下げようとする必要はありません。体が楽になる程度に症状が和らげば十分です。
解熱剤を飲んでも症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、医療機関を受診する必要があります。
仕事を休むか続けるか?判断基準と目安
仕事中に急な発熱があった場合、最も悩ましい判断の一つが「仕事を休むべきか、続けるべきか」という点でしょう。
これは自身の体調だけでなく、業務への影響や周囲への配慮も考慮に入れる必要があるため、一概に決められるものではありません。
発熱で仕事を休む基準(体温37.5度・38度など)
多くの企業や学校では、感染症対策の一環として、発熱時の出勤・登校に関する基準を設けています。一般的に目安とされる体温は以下の通りです。
体温の目安 | 一般的な判断と対応の方向性 |
---|---|
~37.4℃ | 平熱または微熱の範囲。体調に著しい異常がなければ業務継続も可能。ただし、だるさなどの自覚症状がある場合は注意が必要。 |
37.5℃~37.9℃ | 発熱の始まりとされる体温。多くの職場で「自宅待機」や「帰宅」を検討する目安とされる。体調不良を感じている場合は、無理せず休みを検討すべき。 |
38.0℃~ | 明らかな高熱。感染症である可能性が高く、自身の体調も辛いことが多い。原則として出勤せず、自宅で安静にするか医療機関を受診すべき体温。感染拡大を防ぐためにも出勤は避けるべき。 |
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
最終的な判断は、以下の要素を総合的に考慮して行う必要があります。
- ご自身の体調: 体温だけでなく、倦怠感、頭痛、関節痛、呼吸困難など、他の症状の重さも判断材料となります。体温が低くても症状が辛ければ休むべきですし、体温が高くても比較的元気な場合でも、感染症の可能性を考慮して休むべきです。
- 職種・業務内容: 対面での顧客対応が多い職種や、医療・介護・教育など感染リスクを特に避ける必要がある職種の場合は、より厳格な基準で休む判断が必要です。テレワークが可能な業務であれば、症状の程度によっては自宅で業務を続けるという選択肢もあり得ます。
- 会社の規定: 勤めている会社の就業規則や感染症対策ガイドラインに、発熱時の対応に関する明確な規定があるか確認しましょう。
- 周囲への影響: 発熱している状態で出勤すると、周囲の同僚に感染を広げるリスクがあります。特に発熱を伴う感染症(インフルエンザ、新型コロナなど)の流行期には、この点を最も重視して判断すべきです。
迷った場合は、「休む」を選択する方が賢明です。
無理して出勤することで、自身の体調を悪化させるだけでなく、周囲に迷惑をかけてしまうリスクの方が大きいと言えます。
「体温は高いがしんどくない」「急な発熱がすぐ下がる」場合の考え方
中には、体温を測ると確かに高いのに、自覚症状としてそれほど辛さを感じないというケースや、急に熱が出たと思ったら短時間で体温が正常に戻るというケースもあります。
- 体温は高いがしんどくない: 個人差や体質によって、高めの体温でも比較的平気な人もいます。しかし、体温が高いということは、体の中で何らかの異常が起こっているサインである可能性が高いです。特に、感染症にかかっている初期段階であることも考えられます。自覚症状が軽くても、体温が37.5℃を超えるようであれば、周囲への感染リスクを考慮し、可能であれば休むことを検討しましょう。無理は禁物です。
- 急な発熱がすぐ下がる: 一時的なストレスや疲労、あるいは体温計の測定誤差など、様々な要因で体温が変動することがあります。熱がすぐに下がり、他の症状も伴わない場合は、それほど心配のないケースもあります。しかし、ごく初期の感染症の場合でも、一時的に体温が上がって下がるという経過をたどることもあります。すぐに熱が下がっても、その後の体調の変化に注意し、だるさや他の症状が出てこないか経過観察することが重要です。もし体調に不安が残るようであれば、やはり無理せず休息を取るか、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
会社への連絡・引き継ぎの配慮
発熱によって仕事を休む場合、会社への連絡は速やかに行いましょう。
就業規則や職場の慣習に従い、上司や担当部署に連絡します。連絡手段は電話が最も確実ですが、状況に応じてメールやチャットなども利用します。
連絡する際に伝えるべき情報:
- 体調が悪く、発熱していること。
- 現在の体温。
- 発熱以外の症状(喉の痛み、咳、だるさなど)の有無と程度。
- 本日の業務を休ませていただきたい意向。
- 医療機関を受診するかどうかの予定。
- 明日以降の出勤の見込み(現時点での推測で構いません)。
合わせて、本日中に対応が必要な業務がある場合は、その内容と、誰に引き継いでもらうかなどを明確に伝えましょう。
急な休みで周囲に迷惑をかけてしまう可能性を考慮し、できる限りの情報共有と引き継ぎの配慮をすることが、円滑な業務遂行と信頼関係維持のために重要です。
連絡時に伝えるべき内容 | 具体例 |
---|---|
体調不良の状況 | 「今朝から熱があり、体温は〇℃です。」「体のだるさと喉の痛みがあります。」 |
体温 | 正確な測定値(例:「38.2℃です」) |
他の症状 | 「咳や鼻水はありませんが、全身がだるいです。」「少し寒気があります。」 |
休みの理由と期間 | 「体調不良のため、本日お休みさせていただきます。」「明日以降の出勤は、体調を見ながら改めてご連絡いたします。」 |
受診の予定 | 「これから病院を受診する予定です。」「自宅で様子を見て、必要であれば受診を検討します。」 |
業務の引き継ぎ | 「〇〇様にお願いしていた資料作成ですが、△△のフォルダに保存してあります。」「本日〆切のタスクは、□□様にお願いできますでしょうか。」 |
緊急連絡先 | 自宅で療養する場合など、会社からの連絡先を伝える必要があれば。(例:「自宅の電話番号は〇〇です」) |
今後の見込み | 「今のところ症状は軽いですが、感染症の可能性もあるため、しばらく自宅で様子を見ます。」「明日の朝、改めて体温を測って出勤可能か判断します。」 |
体調が非常に辛い場合は、これらの情報を全て伝えるのが難しいかもしれませんが、最低限、「体調が悪いこと」「発熱していること」「本日は休みたいこと」の3点は必ず伝えましょう。
医療機関を受診すべきケース
仕事中の急な発熱の場合、すぐに病院を受診すべきか、それともしばらく様子を見ても良いのか迷うことがあります。
自己判断で無理をしたり、逆に受診が遅れたりすることで、症状が悪化したり、適切な診断・治療が遅れるリスクがあります。
以下のようなケースでは、速やかに医療機関を受診することを強くおすすめします。
高熱が続く、または悪化する場合
発熱が数時間経っても下がらない、あるいはさらに体温が上昇し続ける場合は、感染症などが体内で活発に進行しているサインかもしれません。特に、
- 38.5℃以上の高熱が続く場合
- 解熱剤を服用しても一時的にしか熱が下がらない、または全く下がらない場合
- 一度下がった熱が再び上昇する場合
このような場合は、自己判断で乗り切ろうとせず、医療機関で適切な診断と治療を受けることが重要です。
特に高齢者や子供、基礎疾患(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患、免疫不全など)がある方は、重症化リスクが高いため、早めの受診が必要です。
発熱以外の重い症状(呼吸困難、意識障害など)を伴う場合
発熱に加えて、以下のような重い症状が見られる場合は、命に関わる緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。
躊躇せずに救急車を呼ぶか、救急医療機関を受診してください。
- 息苦しさ、呼吸困難、胸の痛み: 肺炎や心臓病などの可能性があります。
- 意識が朦朧としている、反応が鈍い: 脳炎、髄膜炎、重度の脱水などの可能性があります。
- 激しい頭痛、首の硬直: 髄膜炎などの可能性があります。
- 繰り返す嘔吐や下痢: 脱水を起こしやすく、電解質バランスが崩れる危険性があります。
- けいれん: 特に子供の場合、高熱によってけいれんを起こすことがあります(熱性けいれん)。大人のけいれんも放置できません。
- 手足の冷たさや紫がかった色: 血行不良のサインである可能性があり、重症化を示唆します。
- 排尿量の著しい減少: 重度の脱水のサインです。
これらの症状は、単なる風邪ではない重篤な状態のサインである可能性があります。
仕事中であっても、ご自身の安全と健康を最優先に行動してください。
謎の発熱や繰り返す発熱の原因
急な発熱が一度治まったものの、原因がはっきりしない場合や、しばらくして再び発熱を繰り返す場合も、医療機関で相談することをおすすめします。
- 原因不明の発熱: 風邪のような典型的な症状を伴わない発熱や、思い当たる原因がない発熱は、前述したような感染症以外の病気(自己免疫疾患、内分泌疾患、腫瘍など)のサインである可能性もゼロではありません。
- 繰り返す発熱: 一時的に解熱しても、短期間のうちに再び熱が出るというサイクルを繰り返す場合は、体のどこかに慢性的な炎症や感染が潜んでいる可能性があります。
これらの場合、専門的な検査(血液検査、画像検査など)が必要になることがあります。
原因を特定し、適切な治療を受けることで、症状の改善や、より深刻な病気への進行を防ぐことができます。
医療機関を受診する際は、以下のものを準備しておくと診察がスムーズに進みます。
- 健康保険証
- お薬手帳(普段飲んでいる薬がある場合)
- 発熱が始まった時期、体温の推移、他の症状、飲んだ薬などをメモしたもの
- 会社の規定などで診断書が必要な場合は、受診時に医師に伝える
どの科を受診すれば良いか迷う場合は、まずは内科を受診するのが一般的です。
発熱の原因に応じて、専門の科を紹介されることもあります。
仕事中の発熱予防と対策
仕事中の急な発熱は、可能であれば避けたいものです。
日頃からの体調管理と予防策を講じることで、発熱のリスクを減らすことができます。
特に、発熱の主な原因である感染症や、心因性発熱の原因となる疲労・ストレスへの対策が重要です。
疲労やストレスを軽減する方法
疲労やストレスは、免疫力を低下させ、心因性発熱の原因ともなり得ます。
日頃から意識的に疲労やストレスを軽減する工夫を取り入れましょう。
- 十分な睡眠を取る: 睡眠は心身の疲労回復に不可欠です。毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるようにするなど、質の良い睡眠を確保することを心がけましょう。必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的に7~8時間程度が推奨されています。
- バランスの取れた食事: 偏りのない栄養バランスの取れた食事は、体調を整え、免疫力を維持するために重要です。特にビタミンやミネラルを意識的に摂取しましょう。
- 適度な運動: 適度な運動はストレス解消や体力向上につながります。ウォーキング、ジョギング、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を取り入れましょう。ただし、過度な運動はかえって体を疲労させるので注意が必要です。
- 休憩をしっかり取る: 仕事中に集中して作業することも大切ですが、適度に休憩を取ることも重要です。短い休憩時間でも、体を動かしたり、窓の外を見たり、ストレッチをしたりするだけでリフレッシュできます。
- リフレッシュできる時間を作る: 趣味や好きなことに時間を使う、親しい人と話すなど、仕事以外の時間で心身をリラックスさせる機会を持ちましょう。
- ストレスの原因に対処する: ストレスの原因が明確な場合は、可能であればそれを取り除くか、受け止め方を変える工夫をしましょう。一人で抱え込まず、信頼できる同僚や上司、友人、家族に相談することも有効です。必要であれば、会社の産業医やカウンセリングサービスを利用することも検討しましょう。
- 「完璧主義」を手放す: すべてを完璧にこなそうとすると、大きなプレッシャーや疲労を感じやすくなります。時には「これくらいで十分」と割り切ることも大切です。
感染症を予防する対策
感染症は発熱の主な原因の一つです。
職場や日常生活での感染予防策を徹底しましょう。
- 手洗い・うがい: 外出先から戻った時、食事の前、咳やくしゃみをした後など、こまめに石鹸と流水で丁寧に手洗いをしましょう。指の間や爪の間も忘れずに。うがいも喉の乾燥を防ぎ、ウイルスや細菌を洗い流すのに有効です。
- 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、ティッシュやハンカチ、袖で口鼻を覆い、周囲への飛沫を防ぎましょう。使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨てます。
- マスクの着用: 感染症の流行期や人が密集する場所では、マスクを正しく着用することで、自身の感染リスクを減らし、周囲への感染拡大も防ぐことができます。
- 室内の換気: 定期的に窓を開けるなどして室内の空気を入れ替えましょう。特にオフィスなど共有スペースでは、換気が重要です。
- 適切な湿度を保つ: 空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。加湿器を使用するなどして、室内の湿度を適切に保ちましょう(目安は40~60%)。
- 予防接種: インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、予防接種が推奨されている感染症については、積極的に接種を検討しましょう。重症化予防にもつながります。
- 人混みを避ける: 流行期には、不要不急の人混みを避けることも感染リスクを減らす有効な手段です。
- 職場環境の清掃・消毒: デスク周りや共有スペース(ドアノブ、スイッチ、共有PCなど)を定期的に清掃・消毒することも、感染予防に役立ちます。
これらの予防策は、一つ一つは小さなことかもしれませんが、継続して行うことで、発熱を含む様々な体調不良を未然に防ぐことにつながります。
微熱でも休むべき?
体温が37.5℃未満の微熱であっても、だるさや倦怠感、頭痛、関節痛などの他の症状を伴う場合は、無理をせず休むことを検討すべきです。
微熱は体調不良の初期症状であることも多く、無理を続けると本格的な発熱につながったり、症状が悪化したりする可能性があります。
また、微熱であっても感染力がないとは限りません。
ご自身の体調と、周囲への影響を総合的に判断し、少しでも不安があれば休息を優先しましょう。
特に、感染症の流行期や、高齢者や基礎疾患を持つ方と接する機会が多い場合は、慎重な判断が必要です。
発熱した時の食事はどうすればいい?
発熱時は食欲が落ちたり、胃腸の働きが弱まったりすることがあります。
消化が良く、水分や栄養を補給できる食事がおすすめです。
- おかゆ、うどん: 消化が良く、水分も摂れます。
- スープ、味噌汁: 体を温め、水分と塩分を補給できます。具材を柔らかく煮込むとさらに消化が良くなります。
- ゼリー、プリン: 喉越しが良く、水分や糖分を補給できます。
- 果物(りんごのすりおろし、バナナなど): ビタミンやミネラル、水分が摂れます。
- 経口補水液、スポーツドリンク: 食事があまり摂れない場合でも、これらで水分や電解質、糖分を補給しましょう。
油っこいもの、辛いもの、冷たいもの、消化に時間のかかる固いものなどは、胃腸に負担をかけるため避けた方が無難です。
食事が難しい場合は、無理に食べる必要はありません。まずは水分補給を最優先しましょう。
発熱時にお風呂に入ってもいい?
高熱(38.5℃以上など)があり、全身がぐったりしている時や悪寒がする時は、体力を消耗するため入浴は避けた方が良いでしょう。
しかし、熱が37℃台に下がり、体力が回復してきたら、シャワーを浴びて汗を流す程度であれば問題ないことが多いです。
体を清潔に保つことは、気分転換にもなり、回復を助ける場合もあります。
ただし、長湯は体力を消耗させるため避け、湯冷めしないよう注意が必要です。体調と相談しながら判断してください。
発熱時に体を冷やすべき場所は?
発熱によって体が熱く感じ、不快な場合は、体を冷やすことで楽になることがあります。
冷やすのに適した場所は、太い血管が体の表面近くを通っている場所です。
- 首の付け根(うなじ)
- 脇の下
- 足の付け根(鼠径部)
これらの部分をアイスノンや冷却シート、水で濡らしたタオルなどで冷やすと効果的です。
額を冷やすのも気持ちが良いですが、体温を下げる効果は限定的です。
体を冷やしすぎると、かえって悪寒が増したり、体力を消耗したりすることもあるため、冷たいものが直接皮膚に触れないようにタオルなどでくるみ、心地良いと感じる程度にしましょう。
寒気を感じている時は、体を温める方が優先されます。
解熱剤はいつ飲めばいい?
解熱剤は、発熱による辛い症状(高熱、頭痛、倦怠感、関節痛など)によって日常生活や休息が妨げられる場合に服用を検討します。
単に体温が高いだけで、特に辛い症状がない場合は、必ずしも解熱剤を飲む必要はありません。
発熱は体が病原体と戦うための生体防御反応の一面もあるからです。
解熱剤を服用するタイミングは、製品の説明書に記載されている用法・用量に従ってください。
一般的には、症状が辛い時に服用し、次の服用までには指定された時間(例: 4時間以上、6時間以上)を空ける必要があります。
予防的に飲んだり、熱が高くなる前に飲むといった使い方は推奨されません。
また、解熱剤を飲んでも症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
まとめ:仕事中の急な発熱に慌てず対応するために
仕事中の急な発熱は、誰にとっても不安な状況です。
しかし、原因や適切な対処法、そして休むかどうかの判断基準を知っておくことで、慌てずに冷静に対応することができます。
発熱は体が送る大切なサインです。
まずは体温を正確に測り、ご自身の体調と向き合いましょう。
そして、周囲への影響や業務への影響も考慮し、無理をしない判断をすることが何よりも重要です。
迷った時は「休む」を選択し、ご自身の回復と周囲への感染防止を最優先に考えてください。
症状が重い場合や、高熱が続く場合、原因不明の発熱、繰り返す発熱などは、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。
専門家による診断と適切な治療を受けることが、早期回復への近道です。
日頃から、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、健康的な生活習慣を心がけ、疲労やストレスを溜め込まないようにすることが、発熱予防につながります。
また、手洗いやうがい、マスクの着用、換気など、基本的な感染症対策を継続して行うことも非常に重要です。
仕事中の急な発熱は、自身の健康を見直す良い機会でもあります。
この記事で得た情報が、いざという時に皆様のお役に立てれば幸いです。
【免責事項】
この記事は、仕事中の急な発熱に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に関するアドバイスではありません。ご自身の体調に不安がある場合や、発熱以外の重い症状を伴う場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。この記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる損害についても、当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください。