「心療内科に行ってはいけない人」という言葉を聞いて、あなたはどのようなイメージを持たれるでしょうか。「自分は精神疾患ではないから行く必要はない」「もっと重症の人が行く場所だ」といった考えから、受診をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、心療内科は「行ってはいけない人」がいる場所ではなく、「行く必要がないかもしれない人」や、逆に「行った方が良いサインが出ている人」を区別して理解することが大切です。
この記事では、「心療内科に行ってはいけない人」とはどのようなケースを指すのか、また、どのようなサインがあれば受診を検討すべきなのかを詳しく解説します。心療内科と精神科の違いや、受診を迷ったときの判断基準、よくある不安についても触れていきますので、あなたがご自身の心身の不調について考えるきっかけになれば幸いです。心療内科を受診すべきか迷う場合は、専門機関による適切な受診の判断基準も参考にすると良いでしょう。

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心療内科に行く必要がないかもしれない人
心療内科は、心と体の両面に現れる不調を扱う専門科です。しかし、誰もが心療内科を受診する必要があるわけではありません。以下のようなケースでは、必ずしも心療内科が最適な選択ではない、あるいは他のアプローチで改善が見込める可能性があります。
明確な原因がある一時的な体調不良や気分の落ち込み
心療内科は、原因がはっきりしない身体の不調や、精神的な不調が長引いている場合に特に有効です。しかし、以下のような、原因が明確で一時的な体調不良や気分の落ち込みであれば、必ずしも心療内科の受診を急ぐ必要はないかもしれません。
- 風邪や疲労による一時的なだるさや食欲不振: 体調を崩している明確な原因があり、休息を取れば回復が見込める場合。
- 大きなライフイベントによる一時的な気分の落ち込み: 近親者の不幸、引越し、転職など、明確なストレス原因があり、一時的に落ち込んでいるが、徐々に回復に向かっている場合。
- 生理周期による一時的な気分の変動: 生理前に一時的にイライラしたり、気分が落ち込んだりするなど、周期的なものであり、生理が始まると落ち着く場合。
もちろん、これらの症状が重かったり長引いたりする場合は、別の原因が隠れている可能性もあります。ご自身の判断だけでなく、かかりつけ医に相談することも大切です。
専門外の症状で心療内科を受診しようとしている
心療内科は心身症(ストレスなどが原因で体に症状が出る病気)や、うつ病、不安障害など、特定の精神疾患や心に起因する身体症状を扱います。しかし、症状によっては心療内科ではなく、他の専門科がより適切である場合があります。
例えば、以下のような症状は、まず他の専門科を受診することを検討しましょう。
- 認知症の症状: 記憶障害、見当識障害などが顕著な場合は、脳神経内科や精神科、もの忘れ外来などが適切です。
- 統合失調症の幻覚や妄想: 幻聴や幻視がある、誰かに見られていると感じるなど、現実検討能力の障害が疑われる場合は、精神科が専門となります。
- 発達障害: コミュニケーションの困難さ、特定のこだわりなどが顕著で、日常生活に支障が出ている場合は、精神科や専門機関で診断・相談を受けることが適切です。
- 摂食障害の身体的な重症度が高い場合: 極端な体重減少や電解質異常など、身体的な危険性が高い場合は、消化器内科や精神科、専門病院での治療が必要です。
心療内科は「ストレスで体に不調が出た」という場合に強いですが、「精神的な問題そのもの」がメインの場合は精神科の方が専門的なアプローチが期待できることが多いです。どちらに行けば良いか迷う場合は、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談してみるのも良いでしょう。
セルフケアや環境調整で改善が見込める場合
心身の不調の原因が、現在の環境や生活習慣にある程度特定でき、ご自身の努力や周囲のサポートで改善が見込める場合も、直ちに心療内科を受診しなくても良いケースがあります。
具体的には、以下のようなアプローチを試すことで、不調が軽減する可能性があります。
- 十分な休養: 睡眠不足や過労が原因の場合、意識的に休息を取ることで体調が回復します。
- バランスの取れた食事と適度な運動: 健康的な生活習慣は、心身の健康を維持する基本です。
- ストレスの原因から距離を置く、あるいは軽減する: 職場環境の改善、人間関係の見直し、嫌なことに対する断り方などを工夫する。
- 趣味やリラクゼーションを取り入れる: 好きなことに時間を使ったり、心身をリラックスさせる方法を見つけたりする。
- 信頼できる家族や友人、同僚に相談する: 話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
これらのセルフケアや環境調整は、心療内科での治療と並行して行うことも重要ですが、まずは自分でできることを試してみて、それでも改善しない場合に専門家の力を借りる、という段階的な考え方も可能です。
ただし、不調が深刻化してからでは回復に時間がかかることもあります。「もう少し頑張れば大丈夫」と無理を重ねるのではなく、少しでも辛いと感じたら、専門機関への相談も選択肢として持っておくことが大切です。
心療内科に行った方がいいサイン・症状
では、どのようなサインや症状が現れたら、心療内科の受診を検討した方が良いのでしょうか。心療内科は「病気になったら行くところ」というより、「心身のバランスが崩れていて、自分一人では立て直すのが難しいかもしれない」と感じた時に相談するところ、と捉える方が適切です。
以下に挙げるような症状が続いている場合は、一度専門家である心療内科医に相談してみることをお勧めします。心身症と精神疾患の違いや受診のタイミングについては、専門家による詳細な解説も参考になります。
ストレスによる身体的な不調が続いている
「病気ではないのに体がずっとだるい」「検査をしても異常がないのに調子が悪い」といった場合、それはストレスが身体に影響を与えているサインかもしれません。心療内科が最も得意とする分野の一つが、このような心身症です。
具体的には、以下のような身体症状がストレスと関連して現れることがあります。
- 頭痛、肩こり、腰痛: 特に緊張型頭痛など、筋肉の緊張や血行不良がストレスで悪化することがあります。
- 胃痛、吐き気、下痢、便秘: 消化器系の不調は、ストレスの影響を受けやすい代表的な症状です。過敏性腸症候群なども心療内科の対象となることがあります。
- 動悸、息苦しさ: 不安や緊張が続くと、心臓や呼吸器系に症状が出ることがあります。パニック障害の一症状として現れることもあります。
- めまい、耳鳴り: ストレスや不眠によって自律神経のバランスが崩れ、これらの症状が出ることがあります。ストレスによる睡眠障害の診断基準や治療法については、日本心身医学会の学術雑誌で研究論文が発表されています。
- 倦怠感、疲労感: 十分に休息しているはずなのに、体が重く、疲労感が取れない状態が続く。
- 不眠: 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまうなど、睡眠に関する問題。
これらの身体症状の背景に心理的な要因が疑われる場合、心療内科では身体的な検査と並行して、心理的な側面からのアプローチを行うことができます。
精神的な不調(不安、落ち込み、イライラなど)が長期間続いている
気分の落ち込みや不安は誰にでも起こりますが、それが一時的ではなく、長期間(目安として2週間以上)続いている場合や、その程度が重い場合は注意が必要です。これらの精神的な不調は、うつ病や不安障害といった精神疾患のサインである可能性があります。
以下のような精神症状が続いている場合は、心療内科または精神科への受診を検討しましょう。うつ病やパニック障害などの精神疾患に関する詳細な情報は、厚生労働省の「こころの耳」でも確認できます。
- ゆううつな気分: 気分が晴れない、何事にも興味や喜びを感じられない状態が続く。
- 強い不安や心配: 将来のこと、些細なことなどに対して、過剰に不安を感じてしまう。特定の状況で強い不安や恐怖を感じる(例:人前、閉鎖空間など)。
- イライラ、怒りっぽさ: 普段は気にならないことにまで苛立ちを感じたり、怒りっぽくなったりする。
- 集中力や注意力の低下: 仕事や勉強に集中できない、ミスが多くなる。
- 思考力の低下や判断力の低下: 物事を考えるのに時間がかかる、決断が難しくなる。
- ネガティブな思考: 自分を責める、悲観的に物事を考える癖がつく。
- 希死念慮: 死んでしまいたい、いなくなってしまいたいと考えることがある。
これらの精神症状は、放置するとさらに悪化し、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。早期に専門家のサポートを受けることで、症状の軽減や回復への道が開けることがあります。
日常生活や社会生活に支障が出ている
心身の不調が原因で、これまでできていたことが難しくなったり、当たり前の日常生活を送ることが困難になったりしている場合も、専門家の助けが必要なサインです。
例えば、以下のような状況に当てはまる場合は、受診を検討しましょう。
- 仕事や学業に行けない、遅刻が増える、パフォーマンスが著しく低下する: 集中力や意欲の低下、身体症状などにより、仕事や勉強に支障が出ている。
- 家事ができない、身の回りのことが億劫になる: 部屋の掃除や食事の準備、入浴などが面倒に感じ、やらなくなってしまう。
- 人付き合いが困難になる、引きこもりがちになる: 人と会うのが怖い、面倒だと感じ、外出を避けるようになる。
- 趣味や好きなことへの興味を失う: これまで楽しめていた活動に、全く興味を持てなくなる。
- 食欲不振または過食、体重の増減: 食事の量や質が変化し、体重に影響が出ている。
これらの変化は、単なる「やる気がない」「怠けている」のではなく、病気の症状として現れている可能性があります。ご自身の努力だけでは改善が難しい状況であるため、専門家のアドバイスや治療を受けることが有効です。
精神科への受診が必要なケース
前述の通り、心療内科よりも精神科の方が適切な場合もあります。特に、以下のような症状が前面に出ている場合は、精神科を受診することを検討しましょう。
- 幻覚や妄想: 事実ではないものが見えたり聞こえたりする(幻覚)、根拠のない強い確信(妄想)がある。
- 重度の抑うつ状態: 強い希死念慮がある、ほとんど動けない、食事も取れないほど状態が悪い。
- 躁状態: 気分が異常に高揚し、ほとんど眠らずに活動し続けたり、多弁になったり、衝動的な行動を取ったりする。
- 自傷行為や他害行為のリスクがある: 自分自身や他者を傷つける可能性が高い状態。
これらの症状は、精神疾患の中でも特に専門的な治療が必要な場合があります。精神科医はこれらの重い精神症状に対する診断や薬物療法に長けています。心療内科医でも適切な判断をして精神科への紹介をしてくれることがほとんどですが、症状が重いと感じる場合は最初から精神科を検討するのも一つの選択肢です。
心療内科と精神科の違い
心療内科と精神科はどちらも心の不調を扱いますが、その専門領域には違いがあります。どちらを受診すれば良いか迷う方も多いでしょう。両者の違いを理解することで、ご自身の症状に合った医療機関を選びやすくなります。
項目 | 心療内科 | 精神科 |
---|---|---|
主な対象 | ストレスなどが原因で身体に症状が出る病気 (心身症) | 精神症状そのもの が中心となる病気 |
扱う疾患例 | 過敏性腸症候群、胃潰瘍、高血圧、喘息など(心理的要因が関与するもの)、一部のうつ病や不安障害 | うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、パニック障害、適応障害、発達障害、認知症など |
アプローチ | 身体的な側面と心理的な側面の両方からアプローチ。薬物療法(体の症状を和らげる薬、一部の精神安定剤など)と心理療法を組み合わせることが多い。 | 精神症状の診断・治療が中心。薬物療法(抗うつ薬、抗精神病薬、精神安定剤など)が治療の柱となることが多いが、心理療法も行う。 |
医師の専門性 | 元々は内科医が精神医学を学んだ医師が多い。 | 精神医学を専門とする医師。 |
簡単に言うと、心療内科は「心が体に影響して不調が出ている」場合に強く、精神科は「心の機能そのものに不調が出ている」場合に専門性が高いと言えます。
ただし、最近は心療内科でも精神疾患を広く診察する医師が増えており、精神科でも身体症状を考慮した治療を行う医師もいます。両者の境界は曖昧になってきている部分もあります。
どちらの科にかかるべきか自己判断が難しい場合は、かかりつけの医師に相談する、あるいは最寄りの医療機関に問い合わせてみるのが確実です。多くの場合は、最初に受診した医師が、必要に応じて適切な専門科を紹介してくれます。
受診を迷った時の判断基準・チェックリスト
「もしかしたら心療内科に行った方が良いかもしれないけど、まだ迷っている…」という方もいらっしゃるでしょう。ご自身の心身の状態を客観的に評価し、受診の必要性を判断するための方法をいくつかご紹介します。
体調や気分の変化を記録してみる
ご自身の心身の状態を記録することは、変化に気づきやすくなるだけでなく、専門家に相談する際に具体的な情報として伝えることができます。
簡単なメモでも良いので、以下のような項目を記録してみましょう。
- その日の気分: 1日のうちで最も気分が良い・悪い時間帯、気分の変化(落ち込み、不安、イライラなど)。
- 身体症状: 頭痛、胃痛、だるさなど、どのような症状がいつ、どのくらいの程度で現れたか。
- 睡眠: 何時に寝て何時に起きたか、寝つきや眠りの深さ、夜中に目が覚めた回数など。
- 食事: 食欲があるか、食事の量や内容。
- 活動: 仕事や家事は通常通りできたか、人との交流はあったか、何か楽しめたかなど。
- 出来事: ストレスに感じたこと、嬉しかったことなど、その日にあった出来事。
数週間分記録してみると、特定の状況で不調が出やすい、週末になると少し回復するなど、傾向が見えてくることがあります。これらの記録は、医師があなたの状態を理解する上で非常に役立ちます。
信頼できる人に相談してみる
一人で悩みを抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことも大切です。家族、友人、職場の同僚、学校の先生など、安心して話せる相手に素直な気持ちを伝えてみましょう。
話すことで気持ちが整理されたり、客観的な視点からのアドバイスや励ましをもらえたりすることがあります。「最近なんだか調子が悪くて…」と話すことで、相手が気づいていなかったあなたの変化を指摘してくれるかもしれません。
ただし、相談する相手を選ぶことは重要です。あなたの話を否定したり、安易な精神論で片付けようとしたりする相手ではなく、じっくりと耳を傾け、あなたの気持ちに寄り添ってくれる相手を選びましょう。
専門機関の無料相談を利用する
医療機関を受診するのはハードルが高いと感じる場合、まずは無料の相談窓口を利用してみるのも良い方法です。専門家ではないかもしれませんが、訓練を受けた相談員が話を聞いてくれたり、適切な相談先や医療機関について情報を提供してくれたりします。
以下のような相談窓口があります。
- 精神保健福祉センター: 各都道府県や政令指定都市に設置されており、心の健康に関する相談を専門の職員(精神保健福祉士、心理士など)が無料で受け付けています。電話や面談での相談が可能です。
- よりそいホットライン: どんな悩みにも寄り添い、専門機関へつなぐ無料の電話相談窓口です。年中無休で受け付けています。
- いのちの電話: 孤独や絶望を感じている人のための電話相談窓口です。
- 地域の保健センター: 健康に関する相談を受け付けており、心の健康に関する相談も可能です。
- 職場の相談窓口: 企業によっては、社員向けの相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)を設けている場合があります。
これらの窓口を利用することで、ご自身の状況を整理し、次に取るべきステップについて考えるヒントを得られるでしょう。
セルフチェックリスト
以下の項目に多く当てはまる場合は、心療内科や精神科への相談を検討することをお勧めします。
- 特別な身体的な原因がないのに、頭痛や胃痛、だるさなどが続いている
- ゆううつな気分が2週間以上ほとんど毎日続いている
- 強い不安や心配が頭から離れず、コントロールできない
- 夜眠れない、または朝早く目が覚めてしまう日が続いている
- 食事の量や食欲が明らかに変化した(減った、増えた)
- これまで楽しめていたことに興味や喜びを感じなくなった
- 仕事や家事、勉強に集中できない、ミスが増えた
- 人と会うのが億劫になり、避けるようになった
- 「自分は価値がない」など、自分を責める考えが頭を巡る
- 死んでしまいたいと考えることがある
これはあくまで簡易的なチェックリストです。一つでも当てはまるからといって必ずしも病気というわけではありませんが、ご自身の状態を客観的に見つめ直すきっかけにしてください。
心療内科受診に関するよくある懸念
心療内科の受診を検討している方が抱えがちな不安や疑問について解消します。
心療内科の受診は周囲にバレる?
心療内科を含む医療機関には、患者さんの情報を守る守秘義務があります。原則として、あなたの同意なく第三者(家族、職場、学校など)に受診の事実や病状を伝えることはありません。
ただし、以下のようなケースでは情報が伝わる可能性がないとは言えません。
- 健康保険組合への情報提供: 医療費の支払い手続きなどで、加入している健康保険組合に情報が伝わる可能性はゼロではありません。しかし、具体的な病名などが細かく伝わるわけではありませんし、そこから職場に連絡が行くことも通常はありません。
- 生命保険加入時: 新たに生命保険に加入する際に、過去の病歴を申告する必要がある場合があります。その際に、心療内科の受診歴を申告することで、保険の加入条件に影響する可能性はあります。
- 職場での手続き: 休職や傷病手当金などの手続きのために診断書を提出する場合、職場の担当者に情報が伝わります。ただし、これはあなたが職場に提出する書類によるものです。職場復帰に関する診断書の取り扱いや勤務調整については、厚生労働省の職場復帰支援ガイドラインに詳しい情報が掲載されています。
- 家族への連絡: あなたの意識がないなど、緊急性の高い状況で家族への連絡が必要な場合。
このように、受診しただけで何もかも周囲に筒抜けになるということはありません。多くの場合は、ご自身が情報を開示しない限り、プライバシーは守られます。もし職場や家族に知られたくない特別な事情がある場合は、受診時に医師やスタッフに相談してみるのも良いでしょう。
「病気ではない」と言われたらどうすればいい?
勇気を出して心療内科を受診したものの、医師から「特に病気ではない」「少し疲れているだけでしょう」と言われた場合、もしかしたら「悩みを理解してもらえなかった」「受診した意味がなかった」とがっかりするかもしれません。
しかし、「病気ではない」と言われることは、必ずしも悪いことではありません。それは、「現時点では、医学的に病気と診断されるほどの状態ではない」という意味です。あなたの感じている不調が、病気と診断されるような明確な基準を満たしていないだけで、あなたの辛い気持ちや不調そのものを否定されたわけではありません。
「病気ではない」と言われた場合の対処法としては、以下が考えられます。
- 医師の説明をよく聞く: なぜ病気ではないと判断されたのか、不調の原因として何が考えられるのか、今後どのように過ごせば良いかなど、医師の説明をしっかりと聞きましょう。
- 現在の不調について具体的に伝える: もし医師に十分に伝わらなかったと感じた場合は、どのような時に、どのくらい辛いのか、日常生活にどのような支障が出ているのかなど、具体的なエピソードを交えて再度伝えてみましょう。
- セルフケアや環境調整を試す: 医師からアドバイスされたことや、記事の前半で紹介したようなセルフケア、環境調整を意識的に行ってみましょう。
- 別の医師の意見を聞く(セカンドオピニオン): どうしても納得できない場合や、不調が改善しない場合は、別の心療内科医や精神科医の診察を受けてみるのも一つの方法です。医師によって専門性や診断基準が異なることもあります。
- 必要に応じて他の専門科を受診する: 身体症状が強い場合は、内科など他の専門科で相談することも検討しましょう。
「病気ではない」という診断は、「あなたは健康そのものである」という意味ではなく、「今は病気として治療する段階ではない可能性がある」という意味です。不調を感じている事実は変わらないので、ご自身の心身の状態に引き続き気を配り、必要であれば再度相談することをためないでください。
診断書の発行について
心療内科で診断書を発行してもらうことは可能です。診断書は、病気や怪我の診断名、症状、治療期間、今後の見通しなどを証明する書類であり、以下のような目的で必要になることがあります。
- 職場への提出: 休職や時短勤務、配置転換などを申請する際に必要になることがあります。
- 学校への提出: 出席停止や休学、追試験などを申請する際に必要になることがあります。
- 公的な手続き: 傷病手当金、障害年金、精神障害者保健福祉手帳などの申請に必要な場合があります。
- 医療機関への提出: 別の医療機関を受診する際に、今までの診断や治療経過を伝えるために使用することがあります。
- 生命保険会社への提出: 保険金の請求などに必要な場合があります。
診断書の発行には、いくつか注意点があります。
- 発行には費用がかかる: 診断書は保険適用外となるため、文書料がかかります。費用は医療機関によって異なります。
- 診断名がつく必要がある: 診断書には基本的に診断名が記載されます。「病気ではない」と判断された場合は、診断書の発行が難しい、あるいは「〇〇の疑い」や「心身の不調」といった記載になる可能性があります。
- 医師の判断が必要: 診断書は医師が患者さんの状態を診察した上で発行するものです。患者さんの希望通りに記載されるとは限りません。また、受診して間もない場合や、診断が確定していない段階では発行が難しいこともあります。
- 発行には時間がかかることがある: 診断書の作成には数日から1週間程度かかる場合があります。
診断書が必要な場合は、受診時にその旨を医師や受付に伝え、必要な書類(提出先の書式など)があれば持参しましょう。
まとめ:心身の不調を感じたらまずは相談を
「心療内科行ってはいけない人」という切り口で解説しましたが、重要なのは「行くべきか、行かざるべきか」を厳密に区別することではなく、ご自身の心身の不調にどのように向き合うか、そしてどこに相談すれば良いかを知ることです。
一時的な不調や、セルフケアで改善が見込める場合は、必ずしも心療内科をすぐに受診する必要はないかもしれません。しかし、原因不明の身体症状が続く、気分の落ち込みや不安が長引いている、日常生活に支障が出ているといったサインが見られる場合は、心療内科や精神科への相談を検討する時期かもしれません。
心療内科と精神科には専門性の違いがありますが、どちらに行けば良いか迷ったら、まずはかかりつけ医や地域の相談窓口に相談してみるのが良いでしょう。
心身の不調は、誰にでも起こりうるものです。一人で抱え込まず、勇気を出して誰かに話を聞いてもらうこと、そして必要であれば専門家のサポートを借りることは、決して特別なことではありません。
この記事が、あなたがご自身の心身の健康について考え、適切な行動を取るための一助となれば幸いです。もし「もしかしたら」と感じることがあれば、まずは一人で悩まず、信頼できる人や専門機関に相談してみることをお勧めします。
監修者情報
※ この記事は、心療内科医 [監修者名] 先生の監修のもと執筆されました。
免責事項
この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療法を推奨するものではありません。ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断や指導を受けてください。記事の内容は、あくまで執筆時点での情報に基づいています。