就労可能証明書は、病気や怪我で働くことができなかった方が、健康状態が回復し、
再び仕事に就けるようになったことを公的に証明する重要な書類です。
主にハローワークでの手続きや、健康保険組合からの傷病手当金の受給終了後の手続きなどで必要になります。
この記事では、就労可能証明書が必要となる具体的なケース、ハローワークでの取得方法、
医師への依頼方法、書式や注意点などを分かりやすく解説します。
この情報を通して、読者の皆様がスムーズに手続きを進められるようサポートします。

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就労可能証明書とは
就労可能証明書とは、病気や怪我によって一時的に働くことが困難な状況にあった方が、
その後の治療や回復を経て、現在では就労が可能な状態になったことを証明する書類です。
この証明書は、主に公的な手続きにおいて、本人の就労意思と就労能力があることを示すために使用されます。
就労可能証明書の目的(なんのため?)
就労可能証明書を取得する主な目的は、
病気や怪我からの回復を証明し、再び就労できる状態であることを公的に示すことにあります。
具体的には、以下のような目的で使用されます。
- 公的支援制度の利用:
失業保険(基本手当)の受給期間延長申請など、病気や怪我で働けなかった期間に関する公的支援を受ける際、
その状態が解消されたことを証明するために必要になります。 - 次のステップへの移行:
傷病手当金の受給が終了した後、再び働き始める、あるいは求職活動を行う際に、
健康上の問題がないことを示すために提出を求められる場合があります。 - 求職活動:
ハローワークなどで求職登録を行う際に、自身の健康状態について正確に伝え、
適切な支援を受けるために利用されることがあります。
この証明書は、単に「働けます」と自己申告するだけでなく、
医療機関の診断に基づいた客観的な根拠として機能します。
就労証明書との違い
「就労可能証明書」と混同しやすい書類に「就労証明書」があります。
名称は似ていますが、証明する内容と目的は大きく異なります。
書類名 | 証明する内容 | 主な提出先・目的 | 取得方法 |
---|---|---|---|
就労可能証明書 | 病気や怪我から回復し、就労が可能な状態であること | ハローワーク(失業保険手続き)、健康保険組合(傷病手当金終了後)など | 医師に診断・記入を依頼する |
就労証明書 | 現在、特定の事業所に雇用され、就労していること | 役所(保育園の入園申し込み、児童手当申請)、ローン申し込みなど、現在働いていることを証明する必要がある場合 | 勤務先の事業主に依頼する |
就労可能証明書は「未来(働けるようになった状態)」を証明するのに対し、
就労証明書は「現在(働いている状態)」を証明する書類と言えます。
手続きの際に必要な書類がどちらなのか、提出先によく確認することが重要です。
なお、保育園の入園申し込みなどに使用される就労証明書については、
各自治体のウェブサイトなどで詳細な情報や書式が公開されています
(例:加古川市、中野区、浦安市、貝塚市など)。
就労可能証明書が必要になる主なケース
就労可能証明書は、特定の状況下で本人の健康状態と就労能力を証明するために不可欠となります。
ここでは、特にこの証明書の提出が求められる代表的なケースを二つご紹介します。
失業保険(基本手当)の受給期間延長申請
雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、離職者が再就職するまでの生活を保障するための制度です。
原則として、離職後1年以内(または所定給付日数+30日以内)に受け取る必要があります。
しかし、この期間中に病気や怪我、出産・育児などですぐに働くことができない状態になった場合、
最大3年間(一部例外あり)まで受給期間を延長できる制度があります。
この失業保険の受給期間延長を申請する際、病気や怪我を理由とする場合には「就労可能証明書」が必要になります。
病気や怪我で働けなかった状態が終わり、求職活動を開始できる状態になったことをハローワークに示すために、
回復後の就労可能証明書を提出するのです。
手続きとしては、受給期間を延長していた期間が終了し、働くことができるようになったら、
速やかにハローワークへ延長事由が消滅したことの届出を行うとともに、医師が作成した就労可能証明書などを提出します。
これにより、改めて基本手当の受給資格の確認が行われ、求職活動を経て受給へと繋がります。
傷病手当金からの切り替え
健康保険組合から支給される傷病手当金は、
病気や怪我のために仕事に就けず、給与の支払いを受けられない場合に、
被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。
この傷病手当金は最長1年6ヶ月間支給されますが、その期間が終了したり、
期間内であっても病状が回復し、再び就労可能な状態になったりした場合は、傷病手当金の支給は終了します。
傷病手当金の受給が終了した後、すぐに以前の職場に復帰しない場合や、退職している場合は、
ハローワークで求職活動を行うことになります。
この際、病気や怪我で長期間仕事を離れていたことから、
傷病手当金の受給から失業保険の受給や求職活動へ移行するにあたり、
就労可能な状態になったことを示すために就労可能証明書の提出を求められる場合があります。
特に、傷病手当金を受けていた期間が長く、その間に退職した場合など、
ハローワークが失業保険の受給資格や求職活動の可否を判断する際に、就労可能証明書が重要な判断材料となります。
スムーズに次のステップ(求職活動や失業保険の受給)へ進むためには、
回復状況を正確に証明できる就労可能証明書を準備することが望ましいです。
就労可能証明書の取得方法と流れ
就労可能証明書を取得するには、主に医療機関での診断と、ハローワークでの手続きが必要になります。
ここでは、その具体的な方法と流れを解説します。
ハローワークでの手続きともらい方(どこでもらえる)
就労可能証明書の「用紙」自体は、原則としてハローワークで受け取ります。
失業保険の受給期間延長の申請手続きや、傷病手当金受給後の求職登録などの際に、
ハローワークの担当窓口で相談することで、必要な手続きの説明とともに証明書の用紙が渡されます。
- ハローワークに相談:
まずは、就労可能証明書が必要となる理由(例:失業保険の受給期間延長後の手続き、傷病手当金終了後の求職活動など)を伝えて、
ハローワークの担当窓口に相談しましょう。 - 用紙の受け取り:
担当者から手続きに関する説明を受け、就労可能証明書の用紙を受け取ります。
ハローワークの指定する書式を使用するのが一般的です。 - 医療機関へ提出:
受け取った用紙を持って、かかりつけの医師や専門医に診断と記入を依頼します。 - ハローワークへ提出:
医師に記入してもらった証明書を、再びハローワークの窓口に提出します。
ハローワークによっては、ウェブサイトで書式をダウンロードできる場合もありますが、
まずは窓口で直接相談し、最新かつ正確な情報を得ることをお勧めします。
医師への依頼と診断書
就労可能証明書の最も重要な部分は、医師による診断と記入です。
病気や怪我からの回復状況を医学的な観点から判断し、就労が可能であるか、
可能であればどのような条件であれば就労が可能かなどを記載してもらいます。
- 依頼先の選定:
就労可能証明書の記入は、病気や怪我の治療を担当していた主治医に依頼するのが最も適切です。
主治医は患者の病状や回復経過を最もよく把握しているからです。 - 依頼時の準備:
就労可能証明書の用紙、およびこれまでの治療経過や現在の体調、今後の就労に関する希望などをまとめたメモなどを用意しておくと、
医師への説明がスムーズに進みます。 - 診断と記入:
医師は、診察やこれまでの診療記録に基づき、現在の健康状態、病状の回復度、就労による影響などを総合的に判断します。
そして、証明書に「就労可能である」「条件付きで就労可能である(例:軽作業、短時間勤務など)」「まだ就労は困難である」といった判断と、
その根拠となる医学的な所見などを記入します。 - 「診断書」との関係:
就労可能証明書は、医師が発行する書類という意味で「診断書」の一種と言えます。
ただし、一般的な診断書が病名や病状を証明するのに対し、
就労可能証明書は「就労が可能かどうか」という点に特化して医師の判断を証明する書類です。
ハローワークなどの提出先によっては、特定の書式ではない一般的な診断書でも、
就労可能である旨が明記されていれば認められる場合もあります。
提出先の要求する書類の種類を事前に確認しましょう。
医師に依頼する際は、証明書が必要になった背景(ハローワークの手続きのためなど)や提出先を正確に伝え、
必要な情報を記載してもらえるよう依頼することが大切です。
主治医が見つからない場合
長期間の休職や退職、引っ越しなどで、過去の病気や怪我の治療を担当していた主治医にすでに診てもらえない場合や、
そもそも特定の主治医がいないというケースもあります。
このような場合、就労可能証明書はどのように取得すれば良いのでしょうか。
- 専門医や最寄りの医療機関を受診:
過去の病気や怪我に関連する分野の専門医や、近隣の医療機関を受診し、
現在の健康状態について診断を依頼することになります。
その際、これまでの治療経過に関する情報(可能であれば紹介状や過去の診療記録など)を持参すると、医師の診断の助けになります。 - 診断までの流れ:
初めて受診する医師に就労可能証明書の記入を依頼する場合、
医師は現在の健康状態を正確に把握するために、改めて診察や検査を行う必要があります。
そのため、即日記入してもらうのが難しい場合や、数回の診察を経てから判断となる場合もあります。 - ハローワークへの相談:
主治医がいない状況について、事前にハローワークに相談してみることも有効です。
状況に応じたアドバイスや、代替となりうる書類について情報が得られる可能性があります。
重要なのは、現在の健康状態に基づき、医学的な判断を下せる医師に依頼することです。
スムーズに進めるためにも、早めに医療機関に相談し、就労可能証明書の発行が可能か、
どのくらいの期間が必要かなどを確認しておくことをお勧めします。
就労可能証明書の書式とダウンロード
就労可能証明書の書式は、主に提出先であるハローワークが定めている標準的なものが使用されます。
ここでは、その書式や入手方法について解説します。
標準的な書式(ハローワーク)
ハローワークが使用する就労可能証明書の書式は、全国的に概ね共通しています。
主な記載項目は以下の通りです。
- 患者情報: 氏名、生年月日、住所など、証明を受ける本人の基本情報。
- 傷病名: 就労困難となった原因の病気や怪気の正式名称。
- 発病(負傷)年月日: 病気の発症や怪我をした日付。
- 診断名確定年月日: 医師によって診断名が確定した日付。
- 就労困難となった期間: 病気や怪我のために働くことが難しかった期間(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日)。
- 就労可能となった年月日: 医師が「就労可能である」と判断した日付。これがこの証明書の核心となる項目です。
- 現在の病状および就労に関する医師の意見:
現在の健康状態や病状の詳細、就労によって病状が悪化する可能性、
どのような条件であれば就労が可能か(例:具体的な作業内容の制限、勤務時間に関する考慮など)といった、
医師の医学的な所見と判断が詳細に記載される項目です。 - 医療機関情報: 診断を行った医療機関の名称、所在地、医師の氏名、捺印など。
この書式は、ハローワークが求職者の健康状態を正しく把握し、
適切な就労支援を行うために必要な情報が網羅されています。
PDF形式でのダウンロード
多くのハローワークでは、利便性向上のため、ウェブサイト上で就労可能証明書の書式(PDF形式)を公開しており、
ダウンロードが可能です。
- 入手方法:
最寄りのハローワークや、関連する公的機関のウェブサイトを検索してみましょう。
「〇〇ハローワーク 就労可能証明書 書式」といったキーワードで検索すると見つかる場合があります。 - 注意点:
ダウンロードした書式が常に最新であるとは限りません。
また、ハローワークによっては特定の書式以外を認めない場合もあります。
原則として、ハローワークの窓口で直接用紙を受け取るか、
事前に電話等でダウンロードした書式が使用可能か確認することをお勧めします。
特に、手続きの種類によっては専用の書式が用意されている場合もあるため、必ず提出先に確認するようにしましょう。
ダウンロードした書式は、医師に記入を依頼する際に便利ですが、
最終的な提出前には必ずハローワークの指示に従ってください。
記入例・サンプル
就労可能証明書の記入は、基本的に医師が行います。
そのため、ご自身で記入例を参考に練習する必要はあまりありませんが、
医師がどのような内容を記載するかのイメージを持つことは、
医師への依頼時や受け取り後の確認に役立ちます。
(※ここに詳細な記入例のサンプル画像を挿入することはできませんが、
以下に医師が記入する内容のポイントを列挙します。)
- 「就労可能となった年月日」:
ここには、医師が医学的に見て、患者が再び就労することが可能であると判断した具体的な日付が記入されます。 - 「現在の病状および就労に関する医師の意見」:
この欄には、病状の現状(例:回復傾向、安定しているなど)、具体的な症状の有無、投薬治療の継続状況などが記載されます。
さらに、就労に関する具体的な意見として、
「事務系の軽作業であれば可能」「一日〇時間程度の短時間勤務から開始することが望ましい」「立ち仕事や力仕事は困難である」など、
病状を踏まえた上での具体的な制約や配慮事項が詳細に記載されることがあります。
精神疾患の場合は、「対人ストレスの少ない環境が望ましい」「定期的な休息が必要」といった意見が記載されることもあります。
このように、医師の意見欄には、単に「就労可能」と書かれるだけでなく、
どのような種類の仕事や働き方であれば無理なく続けられるかという、具体的な情報が盛り込まれます。
これにより、ハローワークの担当者は、証明書の内容を参考に、
その方の健康状態に適した求人紹介や就職支援を行うことができます。
病気別の就労可能証明書
就労可能証明書が必要となる病気や怪我は多岐にわたりますが、
中でも精神疾患からの回復に伴い取得を検討される方が多くいらっしゃいます。
特に適応障害やうつ病の場合、就労可能の判断や証明書への記載内容に特徴が見られることがあります。
適応障害の場合
適応障害は、特定のストレス原因(職場環境、人間関係など)によって引き起こされる精神的な不調です。
ストレス原因から離れることで症状が改善することが多く、環境調整が就労可能の鍵となります。
適応障害の場合の就労可能証明書には、以下のような点が記載されることがあります。
- 病状の回復状況:
ストレス原因から離れたことによる症状(不安、抑うつ、不眠など)の改善状況。 - 就労に関する意見:
- ストレス原因の特定:
就労困難となった具体的なストレス原因(例:職場の人間関係、過重労働など)が明確である場合、
その原因から離れた環境であれば就労可能である、といった意見。 - 環境調整の必要性:
ストレスの少ない環境、人間関係の配慮、業務内容の調整(例:急な変化が少ない仕事、ノルマがない仕事など)が必要であるといった意見。 - 勤務時間や業務量の配慮:
最初は短時間・軽作業から開始し、徐々に慣らしていくことが望ましいといった意見。
- ストレス原因の特定:
適応障害からの回復の場合、医師は、病状の回復だけでなく、
患者がどのような環境であれば無理なく働けるかを考慮して就労可能の判断を下し、
証明書にその意見を記載します。
ハローワークでは、この医師の意見を参考に、患者の状況に合った求人紹介や就職支援を行います。
うつ病など精神疾患の場合
うつ病やその他の精神疾患の場合も、病状の回復に伴い就労可能証明書を取得することがあります。
精神疾患からの回復は波があることも多く、医師の判断は慎重に行われます。
うつ病などの場合の就労可能証明書には、以下のような点が記載されることがあります。
- 病状の回復状況:
抑うつ気分、意欲低下、集中力低下、不眠といった主要症状の程度や改善状況。
投薬治療の継続状況や、症状の波の有無。 - 日常生活能力の回復:
起床、着替え、食事といった基本的な日常生活動作がどの程度できるようになったか。 - 就労に関する意見:
- 集中力・持続力:
一定時間集中して作業を行うことが可能か、疲労しやすさ、休憩の必要性など。 - 対人能力:
他者とコミュニケーションをとることへの負担の有無や程度。 - ストレス耐性:
ストレスに対する脆さ、ストレスマネジメント能力など。 - 勤務時間や業務内容:
短時間・軽作業からの開始、定型的な業務、ノルマのない仕事、残業のない仕事などが望ましいといった意見。 - 通院の必要性:
今後も定期的な通院や服薬が必要である旨とその頻度など。
- 集中力・持続力:
精神疾患からの回復は、外見からは判断しにくいため、
医師が客観的な指標(症状の程度、日常生活能力など)と患者からの情報に基づいて慎重に判断します。
証明書には、現在の回復レベルと、それに合わせた就労上の配慮事項が具体的に記載されることが重要です。
これにより、ハローワークは適切な支援を提供し、職場側も必要な配慮を行いやすくなります。
就労可能証明書に関する注意点
就労可能証明書を取得し、利用する際にはいくつかの注意点があります。
スムーズな手続きとトラブル回避のために、これらの点を事前に理解しておくことが大切です。
有効期限について
就労可能証明書には、発行日から〇ヶ月間有効といった明確な有効期限が記載されることは少ないのが一般的です。
しかし、証明書の内容はあくまで「証明書が発行された時点での健康状態に基づいた就労可否の判断」です。
人間の健康状態は常に変動するため、証明書に記載された情報が時間の経過とともに現状と合わなくなる可能性があります。
- 提出先の指示:
ハローワークなどの提出先が、「発行から〇ヶ月以内のものに限る」といった独自に有効期間を設定している場合があります。
必ず提出先の指示を確認しましょう。 - 再取得の必要性:
長期間(例:半年~1年以上)経過してから提出する場合や、提出後に再度病状が変化した場合は、
証明書の再取得や、改めて医師の診断を受ける必要があると考えられます。
特に精神疾患の場合など、病状に波がある場合は、最新の状況を反映した証明書を提出することが重要です。 - 書類ごとの違い:
就労可能証明書とは異なりますが、たとえば保育園の入園申請などに使用される就労証明書では
「証明日から3ヶ月以内」といった有効期限が定められているケースがあります
(中野区の就労証明書に関する情報参照)。
このように、書類の種類や提出先によって有効期限に関するルールが異なるため注意が必要です。
就労可能証明書は、取得したらなるべく早めに提出先の機関に提出することが望ましいです。
取得にかかる費用
就労可能証明書の発行には、費用がかかります。
これは、健康保険が適用される「治療」ではなく、特定の目的のための「証明書発行」にあたるため、
原則として全額自己負担(自費診療)となります。
- 費用の目安:
医療機関によって費用は異なりますが、一般的には診断書の発行費用と同程度で、
数千円程度(例:3,000円~5,000円程度)が目安となることが多いようです。
ただし、複雑な診断や詳細な記載が必要な場合は、それ以上の費用がかかることもあります。 - 支払い方法:
医療機関の窓口で支払います。
現金払いが一般的ですが、クレジットカードなどが使用できる場合もあります。 - 健康保険や自立支援医療の適用:
就労可能証明書の発行自体には、健康保険や精神通院医療(自立支援医療)は適用されません。
ただし、証明書発行のための診察や検査に健康保険が適用されるかどうかは、医療機関や状況によって異なります。
事前に医療機関に、就労可能証明書の発行にかかる費用について問い合わせておくと安心です。
虚偽記載のリスク
就労可能証明書に、実際には就労困難であるにもかかわらず「就労可能である」と虚偽の記載を行い、
これを使用して失業保険などを不正に受給することは、重大な不正行為にあたります。
- 不正受給:
病気や怪我で働くことができない状態であるにもかかわらず、
就労可能であると偽って失業保険の受給資格を得る行為は、不正受給に該当します。 - ペナルティ:
不正受給が発覚した場合、支給された金額の返還を求められるだけでなく、
不正に受給した金額の2倍に相当する金額(合計で受給額の3倍)の納付が命じられることがあります。
さらに、今後の雇用保険の受給資格に影響が出たり、悪質な場合は詐欺罪として処罰されたりする可能性もあります。 - 医師の責任:
医師が患者の依頼を受けて意図的に虚偽の診断や記載を行った場合、
医師法違反やその他の法的な責任を問われる可能性があります。
就労可能証明書と同様に、保育園の入園申請などに提出する就労証明書についても、
勤務実態と異なる虚偽の記載を行うことは不正行為にあたり、法的なリスクを伴います
(中野区の就労証明書に関する情報参照)。
就労可能証明書は、現在の健康状態を正直に医師に伝え、医学的な判断に基づいて正確に記載してもらうことが大原則です。
虚偽の申請や記載は、発覚時のリスクが非常に高く、自身の信用を失うことにも繋がります。
回復状況については、正直に医師と相談し、無理のない範囲での就労を目指すことが最も重要です。
就労可能証明書が必要になる主なケース
就労可能証明書は、特定の公的手続きや制度を利用する際に、
本人の健康状態が回復し、就労できる状態にあることを証明するために必要となります。
前述の「失業保険(基本手当)の受給期間延長申請」と「傷病手当金からの切り替え」以外にも、
以下のようなケースで提出を求められる場合があります。
- 求職登録時の健康状態の申告:
長期間の病気療養を経てハローワークに求職登録を行う際、
過去の病歴や現在の健康状態について正確に申告する必要があります。
この際に、医師による就労可能証明書を提出することで、
ハローワーク側も本人の健康状態を踏まえた適切な職業相談や紹介を行うことができます。
特に、体力や精神的な負担が大きい仕事への適性を判断する上で、医師の意見は重要な参考情報となります。 - 障害者手帳申請に関連する場合:
障害者手帳の申請には医師の診断書が必要ですが、回復途上にある方が、
今後の就労に向けた支援(障害者総合支援法に基づくサービスなど)を検討する際に、
就労可能証明書が参考資料として提出されるケースもゼロではありません。
ただし、障害者手帳の申請自体には特定の診断書様式が定められているため、
基本的にはその様式を使用します。
就労可能証明書は、あくまで補助的な資料となり得ます。 - 会社の休職期間終了後の復職:
企業によっては、病気や怪我で休職していた従業員が職場に復帰する際に、
医師の診断書(就労可能証明書に準ずる内容を含む)の提出を義務付けている場合があります。
これは、従業員が安全かつ健康に業務を遂行できる状態にあるかを確認し、
必要に応じて業務内容や勤務時間などの配慮を行うために行われます。
会社指定の書式がある場合が多いため、会社の担当部署に確認が必要です。
このように、就労可能証明書は、病気や怪我からの回復期にある方が、
社会復帰や次のステップへ進むための様々な場面で必要となる可能性がある書類です。
どのような手続きで必要になるか、提出先はどこか、といった点を事前にしっかりと確認し、
準備を進めることが大切です。
就労可能証明書に関するよくある質問
就労可能証明書に関して、多くの方が疑問に感じる点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 就労可能証明書は、病気が完全に治らないと発行してもらえませんか?
A1. いいえ、必ずしも病気が「完全に治癒」している必要はありません。
医師の判断は、病状が回復傾向にあり、かつ現在の健康状態であれば就労に耐えうると見込まれる場合になされます。
例えば、通院や服薬が必要な状態であっても、症状が安定しており、
仕事に大きな支障がないと判断されれば、就労可能と診断される場合があります。
重要なのは、病気が「治ったか」ではなく、「働ける状態にあるか」という医師の医学的な判断です。
Q2. 精神疾患の場合、どのような状態になれば就労可能と判断されますか?
A2. 精神疾患の場合、就労可能の判断は非常に個別性が高いです。
医師は、抑うつ気分、不安、意欲、集中力、睡眠、食欲、対人関係といった様々な症状の程度や、
日常生活能力(身の回りのこと、外出、社会交流など)の回復状況を総合的に判断します。
例えば、自宅で一定時間過ごせるようになり、簡単な家事ができるようになり、
外出も可能になった、といった日常生活能力の回復が、就労に向けた重要なステップと見なされます。
また、ストレス耐性や病気との向き合い方も考慮されます。
医師との十分な話し合いを通じて、現在の回復レベルと、
どのような環境であれば就労が可能かを確認することが大切です。
Q3. 就労可能証明書を急いで発行してもらいたいのですが、可能ですか?
A3. 医療機関や医師の状況によります。
通常、証明書の発行には数日から1週間程度かかるのが一般的です。
すぐに発行してもらえることもあれば、医師が慎重に判断するために時間がかかる場合もあります。
特に、初めてその病気で受診する医療機関に依頼する場合や、過去の病状が複雑な場合は、
診断や証明書作成に時間がかかる傾向があります。
お急ぎの場合は、医療機関に依頼する際にその旨を伝え、発行までにかかる期間を確認してください。
Q4. 就労可能証明書を提出することで、どのようなメリットがありますか?
A4. 就労可能証明書を提出することで、以下のようなメリットがあります。
- 手続きのスムーズ化:
ハローワークなどの公的機関が、あなたの健康状態を正確に把握できるため、
失業保険の手続きや求職活動支援がスムーズに進みます。 - 適切な支援の提供:
医師の意見(勤務時間、業務内容、環境などの配慮事項)が証明書に記載されている場合、
ハローワークはあなたの健康状態に適した求人を紹介したり、
企業に対して必要な配慮を依頼したりしやすくなります。 - 自身の安心感:
医学的な根拠に基づいて「働ける状態である」と証明されることで、
自信を持って求職活動や就労に臨むことができます。
Q5. 就労可能証明書の記載内容に納得できない場合はどうすれば良いですか?
A5. 医師が記載した内容について疑問や納得できない点がある場合は、まずは証明書を作成した医師に相談してください。
医師は医学的な観点から判断を下していますが、患者自身の感覚や今後の希望と乖離がある場合もあります。
医師に、なぜそのような判断になったのか説明を求めたり、自身の考えや希望を再度伝えたりすることで、
誤解が解消されたり、場合によっては記載内容が見直されたりする可能性もあります。
ただし、最終的な医学的判断は医師に委ねられることを理解しておく必要があります。
まとめ
就労可能証明書は、病気や怪我からの回復を経て、
再び就労できる状態になったことを証明する重要な書類です。
主に失業保険の受給期間延長後の手続きや、傷病手当金受給終了後の求職活動などで必要になります。
- 就労可能証明書は、ハローワークなどで所定の用紙を受け取り、
病気や怪我の治療を担当していた主治医に診断・記入を依頼するのが一般的な流れです。 - 証明書には、病状の回復状況や、どのような条件であれば就労が可能かといった
医師の医学的な所見と意見が詳細に記載されます。
特に精神疾患の場合は、環境や業務内容に関する配慮事項が重要となることがあります。 - 証明書の発行には費用がかかり、有効期限は明確に定められていないことが多いですが、
提出先によっては期限が設定されている場合があるため確認が必要です。 - 虚偽の記載は不正受給などの重大なリスクを伴うため、
現在の健康状態を正直に申告し、医師の判断に基づいて正確な証明書を取得することが不可欠です。
就労証明書など他の書類でも同様に虚偽記載にはリスクが伴います
(中野区の就労証明書に関する情報参照)。
就労可能証明書は、病気や怪我からの社会復帰をスムーズに進めるための大切な一歩となります。
手続きや証明書の内容について不明な点がある場合は、
ハローワークの担当者やかかりつけの医師に遠慮なく相談し、適切な情報と支援を得るようにしましょう。