精神科に行くべきか、それともそうではないのか。
心の不調や体の異変を感じたときに、「精神科に行く基準って何だろう?」と迷う方は少なくありません。
精神科に対して敷居が高い、抵抗がある、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、つらい症状を一人で抱え込み、我慢し続けることは、状況を悪化させてしまう可能性もあります。
この記事では、どのようなサインや症状が現れたら精神科や心療内科への受診を検討すべきか、心療内科との違い、受診への不安を解消する方法、そして受診のメリットや流れについて詳しく解説します。
あなたの「つらい」という気持ちが、受診を考える大切な基準になることをお伝えし、一歩踏み出すための一助となれば幸いです。

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精神科に行くべきサイン・症状チェックリスト
精神的な不調は、心だけでなく体や行動、思考にも様々なサインとして現れます。
これらのサインが一時的なものではなく、ある程度の期間続いたり、日常生活に支障をきたすようになったりした場合は、専門家への相談を検討する「精神科に行く基準」となり得ます。
例えば、悲しい、ゆううつな気分が2週間以上続く場合や、何事にも興味が持てなくなる、疲れやすく体がだるいといった状態は、岐阜県公式ホームページなどでも精神的な不調のサインとして挙げられています[^1]。
以下のチェックリストで、ご自身の状態を確認してみましょう。
気分・感情の変化に関するサイン
気分の落ち込みや不安定さは、精神的な不調の代表的なサインの一つです。
これまでとは違う感情の変化に気づいたら、注意が必要です。
悲しい、落ち込む、ゆううつな気分が続く
- 症状: 以前は楽しめていた趣味や活動に興味を持たなくなる、理由もなく悲しい気持ちが続く、朝特に気分がゆううつになる、といった状態が2週間以上続く場合。
- 考えられること: うつ病などの気分障害の可能性があります。
ただの「一時的な落ち込み」とは異なり、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れていることも関係していると考えられます。
不安が強く、落ち着かない
- 症状: 特定の理由がないのに強い不安を感じる、漠然とした心配事が頭から離れない、そわそわしてじっとしていられない、といった状態が頻繁に起こる場合。
- 考えられること: 不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害など)の可能性があります。
不安が強すぎると、仕事や人間関係にも大きな影響を及ぼします。
イライラして怒りっぽくなる
- 症状: 以前は気にならなかったことに対して、急にカッとなったり、些細なことで家族や友人、同僚に強く当たってしまったりすることが増えた場合。
- 考えられること: ストレスや疲労の蓄積、うつ病の一症状、双極性障害(躁うつ病)の躁状態の一症状として現れることがあります。
感情のコントロールが難しくなっているサインかもしれません。
些細なことで涙が出る
- 症状: テレビのCMやちょっとした出来事など、以前なら涙が出なかったような場面で、感情が抑えきれずに涙が出てしまうことが増えた場合。
- 考えられること: 感情の不安定さや、精神的な疲労、うつ病などの症状として現れることがあります。
感情のバリアが薄くなっている状態とも言えます。
感情の起伏が激しい
- 症状: ハイテンションな状態(ほとんど眠らずに活動できる、自信過剰になる、浪費する、早口になるなど)と、ゆううつな状態(落ち込み、やる気のなさ、絶望感など)を繰り返す場合。
- 考えられること: 双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。
気分の波が大きいと、日常生活や社会生活への適応が困難になることがあります。
体の変化に関するサイン
精神的な不調は、自律神経の乱れなどを通じて体に様々な症状として現れることが多くあります。
内科などで検査しても異常が見つからない場合、精神的な原因が考えられます。
眠れない(不眠)または眠りすぎる(過眠)
- 症状: 夜眠りにつけない(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)などの不眠が続く、または反対に、いくら寝ても眠気が取れない、日中も強い眠気に襲われるなどの過眠がある場合。
- 考えられること: うつ病、不安障害、睡眠障害など、様々な精神疾患やストレスが原因で起こり得ます。
睡眠は心身の健康の基本であり、睡眠の問題は他の症状を悪化させることもあります。
食欲がない、または食べすぎる
- 症状: 食事が美味しく感じられない、何も食べたくない、すぐに満腹になるなどの食欲不振がある、または、ストレスを感じると食べすぎてしまう、特定のものを過剰に食べてしまうなどの過食がある場合。
- 考えられること: うつ病などの気分障害、摂食障害(拒食症、過食症)、ストレス関連障害などが考えられます。
食行動の異常は、体だけでなく心にも大きな影響を与えます。
体がだるく、疲れやすい
- 症状: 十分な休息をとっても疲労感が抜けない、体が重く感じて動くのが億劫になる、全身の倦怠感が続く場合。
- 考えられること: うつ病、適応障害、慢性疲労症候群、自律神経失調症など、様々な状態で見られます。
精神的なエネルギーの枯渇が、身体的な疲労感として現れることがあります。
頭痛や腹痛など体の不調がある
- 症状: 内科で検査しても原因が見つからない、慢性的な頭痛、めまい、吐き気、腹痛、下痢や便秘、肩こり、息苦しさ、動悸などが続く場合。
- 考えられること: 精神的なストレスが原因で体に症状が出る心身症や、自律神経失調症などが考えられます。
このような症状は、精神的なつらさが身体化しているサインです。
行動・思考の変化に関するサイン
日常生活での行動や考え方に変化が現れることも、精神的な不調を示す重要なサインです。
物事に集中できない、注意力が散漫になる
- 症状: 仕事や勉強に集中できない、ミスが増える、人の話を聞き漏らすことが多くなる、注意力が持続しない場合。
- 考えられること: うつ病、ADHD(注意欠如・多動症)、ストレスや疲労など、様々な原因が考えられます。
思考力が低下しているサインとも言えます。
好きなことに関心がなくなる、楽しめない
- 症状: 以前は好きだった趣味や友人との集まり、美味しい食事などに対して、全く興味が持てなくなる、楽しいと感じられなくなる場合。
- 考えられること: うつ病の代表的な症状の一つです。
心のエネルギーが枯渇し、感情が平板化している状態かもしれません。
やる気が出ない、億劫に感じる
- 症状: 朝起きるのがつらい、着替えや食事といった日常的なことすら億劫に感じる、仕事や家事に取り組む意欲が全く湧かない場合。
- 考えられること: うつ病や適応障害など、意欲の低下は精神的なエネルギーの喪失を示唆します。
判断力が鈍る
- 症状: 簡単な決断ができない、物事を判断するのに時間がかかる、優柔不断になる、といった状態が続く場合。
- 考えられること: うつ病などによって思考力が低下している可能性があります。
脳の機能が一時的に低下しているサインかもしれません。
人と会うのが億劫になる、引きこもりがちになる
- 症状: 友人や家族との約束を断るようになる、外出を避ける、家にいることが増えるなど、社会的な交流を避けるようになる場合。
- 考えられること: うつ病、社交不安障害、ひきこもり、統合失調症の陰性症状などが考えられます。
社会的なエネルギーが低下しているサインです。
死について考えることがある
- 症状: 生きている意味を感じられない、消えてなくなりたいと思う、死にたい気持ちが頭をよぎる、自殺を計画する、といった考えが浮かぶ場合。
- 考えられること: うつ病やその他の精神疾患の非常に危険なサインです。
この症状がある場合は、一刻も早く専門家や信頼できる人に相談してください。
これは決して一人で抱え込んで良い問題ではありません。
幻覚や妄想がある
- 症状: 実際には聞こえない声が聞こえる(幻聴)、見えないものが見える(幻視)といった幻覚や、「誰かに後をつけられている」「自分は特別な力を持っている」といった現実に即さない考え(妄想)がある場合。
- 考えられること: 統合失調症や双極性障害の躁状態、重度のうつ病など、精神疾患の可能性が非常に高いサインです。
ご本人には病気の自覚がないことも多いため、周囲のサポートが重要になります。
これらの症状は、一つだけで受診が必要と断言できるものではありません。
しかし、複数の症状が同時に現れている、症状が長く続いている(目安として2週間以上)、日常生活(仕事、学校、家事、人間関係など)に支障が出ている、と感じる場合は、精神科や心療内科への相談を真剣に検討する「精神科に行く基準」と言えるでしょう。
精神科と心療内科の違いは?どちらに行くべき?
精神科と心療内科は、どちらも心の不調を扱う診療科ですが、得意とする分野やアプローチが異なります。
どちらを受診すべきか迷う方も多いので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
例えば、心療内科は、こころの病が原因で症状が「身体」に現れる病気を治療する一方、精神科はこころの病が原因で症状も「こころ」に現れる病気を治療するという区別がされることもあります[^2]。
精神科が得意とする症状や疾患
精神科は、脳や心の機能そのものに起因する疾患を主に扱います。
思考、感情、行動、認知などの異常や、それによって生じる様々な精神症状が対象です。
- 主な対象疾患: 統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、うつ病、不安障害(パニック障害、社交不安障害など)、発達障害(ADHD、ASDなど)、強迫性障害、睡眠障害、認知症、依存症(アルコール、薬物など)など。
- アプローチ: 薬物療法(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬など)が中心となることが多いですが、精神療法(カウンセリング、認知行動療法など)やリハビリテーションなども組み合わせて治療を行います。
心療内科が得意とする症状や疾患
心療内科は、精神的なストレスが原因で体に症状が現れる疾患、すなわち心身症を主に扱います。
体の不調の背景に心の状態が深く関わっている場合に専門性を発揮します。
- 主な対象疾患: 過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)、本態性高血圧、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性頭痛、線維筋痛症など(これらが精神的なストレスと関連している場合)。
また、パニック障害や不安障害なども心身の症状を伴うため、心療内科でも扱われることがあります。 - アプローチ: 薬物療法(心身の症状を和らげる薬や、必要に応じて抗不安薬、抗うつ薬など)、精神療法(カウンセリング、自律訓練法、リラクセーション法など)、生活習慣の指導などを組み合わせて治療を行います。
迷った場合の選び方
精神科と心療内科のどちらに行くべきか迷う場合は、以下の点を参考にしてください。
症状の種類 | どちらを受診すべきか |
---|---|
心の症状が中心(落ち込み、意欲低下、不安、幻覚など) | 精神科を優先的に検討しましょう。 |
体の症状が中心(頭痛、腹痛、動悸など)、内科で異常なし | まずは内科を受診し、原因不明の場合は心療内科を紹介してもらうか、直接心療内科を検討しましょう。 |
心と体の両方の症状がある | どちらでも対応可能な場合が多いですが、心臓や胃腸などの体の症状が特に強く、それがストレスと関連していると感じるなら心療内科、気分や思考の異常が目立つなら精神科が良いかもしれません。 |
診断名がついていない、漠然とした不調 | どちらでも相談可能です。 問診を通じて適切な診療科や治療方針が示されるでしょう。 |
最近では、精神科と心療内科の両方の診療を行っているクリニックも増えています。
迷う場合は、クリニックのウェブサイトで「診療内容」や「対象疾患」を確認するか、電話で問い合わせて相談してみるのが最も確実です。
重要なポイント:
どちらの診療科を受診しても、医師はあなたの状態を総合的に判断し、必要であれば適切な専門医を紹介してくれます。
「どちらに行けばいいか分からないから行かない」と決めつけず、まずはどちらかの医療機関に相談してみることが大切です。
「精神科に行ったら終わり」ではない!受診への不安を解消
「精神科に行くなんて、自分はもうダメなのかもしれない」「精神科を受診したら、近所の人に知られてしまうのでは?」「一度行ったら、一生病院に通わないといけないの?」など、精神科受診に対して様々な不安や誤解を持っている方は少なくありません。
しかし、これらの不安の多くは事実に基づかないものや、情報が古いために生じているものです。
精神科受診に対するよくある誤解と真実
精神科受診をためらわせる主な誤解と、それに対する真実を見ていきましょう。
よくある誤解 | 真実 |
---|---|
誤解1: 精神科に行く=重い病気 | 真実: 精神科や心療内科を受診する方の多くは、ストレスによる不調や適応障害、軽度なうつ病や不安障害など、適切な治療で回復が見込める状態です。 「つらい」と感じたら、風邪をひいて内科に行くのと同じように、気軽に相談できる場所になりつつあります。 |
誤解2: 精神科に行ったら薬漬けになる | 真実: 精神科の治療の選択肢は薬物療法だけではありません。 症状や病気の状態に応じて、カウンセリングや生活指導、環境調整なども重要な治療法です。 薬物療法が必要な場合でも、最小限の量から開始したり、漫然と長期にわたって服用しないように配慮されます。 医師と相談しながら治療方針を決めることができます。 |
誤解3: 精神科に行ったら一生通わないといけない | 真実: 症状が改善すれば、通院の頻度を減らしたり、治療を終了したりすることも可能です。 病気の種類や重症度にもよりますが、一時的なサポートとして利用する方も多くいます。 必要な期間だけ、医師と相談しながら治療を受けることができます。 |
誤解4: 精神科の先生は怖い、話を聞いてくれない | 真実: 精神科医は、患者さんの悩みや話をじっくり聞き、共感する姿勢を大切にしています。 安心して話せるように配慮してくれる医師がほとんどです。 もし合わないと感じたら、他の病院を探すことも可能です。 |
誤解5: 精神科に行くことは恥ずかしい | 真実: 心の不調は、誰にでも起こりうることあり、特別なことではありません。 体の病気と同じように、早期に専門家のサポートを受けることで、回復を早め、再発を防ぐことにつながります。 決して恥ずかしいことではなく、むしろ自分を大切にするための賢明な選択です。 |
これらの誤解が、受診をためらう壁になっていることが少なくありません。
正しい知識を持つことで、不必要な不安を減らすことができます。
プライバシーは守られる?
精神科の受診において、プライバシーに関する不安を感じる方もいらっしゃいます。
- 家族や職場に知られる心配: 医療機関には守秘義務があります。
本人の同意なく、ご家族や職場に受診の事実や病状を伝えることはありません。
ただし、未成年の場合や、本人の同意が難しい場合(重症の場合など)には、例外的に家族との連携が必要となるケースもあります。 - カルテや診察内容の管理: 診察内容は医療情報として厳重に管理され、外部に漏洩することはありません。
保険証を使用しても、医療機関名が記載されることはあっても、病名が詳細に記載されることはありませんので、ご安心ください。 - 他の患者さんとの接触: クリニックによっては、待合室の配置や予約システムを工夫し、他の患者さんと顔を合わせる機会を減らすように配慮しているところもあります。
完全に他の患者さんを見ないようにすることは難しい場合もありますが、多くの人は周りのことを気にしていません。
結論として、精神科や心療内科の医療機関は、患者さんのプライバシー保護に最大限配慮しています。
不安な場合は、予約時や受付時に直接医療機関に問い合わせて、プライバシーへの配慮について確認してみるのも良いでしょう。
精神科に行くメリットとは?
精神科に行くことは、つらい状況を改善し、より健やかな生活を取り戻すための大きな一歩です。
受診することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
症状の改善や病気の早期発見につながる
精神的な不調は、放置すると悪化したり、慢性化したりすることがあります。
早期に専門家の診察を受けることで、症状の原因が明らかになり、適切な治療を早期に開始できます。
これにより、症状が重症化する前に回復することが期待でき、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能になります。
うつ病や不安障害など、早期治療が有効な疾患は少なくありません。
専門的な視点からの適切な診断と治療
精神科医は、心の病気に関する専門的な知識と経験を持っています。
あなたの話を丁寧に聞き、現在の症状や過去の経緯、生活環境などを総合的に判断することで、正確な診断を行います。
そして、その診断に基づき、あなたの状態や希望に合わせた最も効果的な治療法(薬物療法、精神療法、生活指導など)を提案してくれます。
自己判断や民間療法だけでは得られない、専門的なサポートを受けることができます。
例えば、単なる「落ち込み」だと思っていた症状が、実はうつ病の初期段階だったり、体の不調が心身症によるものだったりと、自分で気づけなかった原因が明らかになることがあります。
一人で悩みを抱え込まずに済む
つらい気持ちや体の不調を一人で抱え込んでいると、孤独感が増したり、ネガティブな思考から抜け出せなくなったりすることがあります。
精神科医や医療スタッフは、あなたの話を否定せず、理解しようと努めてくれます。
専門家との対話を通じて、自分の状態を客観的に見つめ直すことができたり、感情を整理することができたりします。
「自分だけがおかしいのではないか」「誰にも理解してもらえない」といった孤立感から解放され、「このつらさは治療できるんだ」「一人じゃないんだ」と感じられることは、回復に向けた大きな支えとなります。
精神科受診のステップと流れ
精神科や心療内科を受診する際の一般的なステップと流れを知っておくと、不安が軽減されます。
病院の選び方と予約方法
- 病院を探す:
- インターネットで「精神科 〇〇市(お住まいの地域)」や「心療内科 オンライン診療」などで検索します。
- 通いやすさ(自宅や職場からの距離、アクセス)、診療時間、専門分野(心身症に強い、発達障害を診ているなど)、オンライン診療の可否などを考慮して候補を絞ります。
- クリニックのウェブサイトで、医師の経歴や診療方針、予約方法、対象疾患などを確認します。
口コミサイトなども参考になりますが、あくまで個人の感想であることを理解しておきましょう。 - かかりつけの内科医や、地域の相談窓口に紹介してもらうことも有効です。
- 予約する:
- 多くの精神科・心療内科は予約制です。
電話、またはウェブサイトの予約フォームやLINEなどで予約します。 - 初診の場合は、通常の診察よりも時間がかかるため、予約が取りにくい場合や、予約日から診察まで時間がかかる場合があります。
複数の病院を検討してみましょう。 - 予約時に、簡単に症状を伝えたり、心療内科か精神科か迷っていることを相談したりすると、スムーズに対応してもらえることがあります。
- 多くの精神科・心療内科は予約制です。
初診時に準備しておきたいこと
初診では、医師があなたの状態を正確に把握するために様々な質問をします。
以下の点を整理しておくと、診察がスムーズに進み、必要な情報を伝えやすくなります。
- 現在の症状: いつから、どのような症状が現れているか。
具体的な体の不調(頭痛、不眠など)、気分の状態(落ち込み、不安など)、行動の変化(やる気が出ない、引きこもりがちなど)などをメモしておきましょう。 - 症状が出始めたきっかけ: 何か思い当たる出来事や環境の変化(仕事でのストレス、人間関係のトラブル、ライフイベントなど)があれば伝えます。
- 症状によって困っていること: 日常生活(仕事、学業、家事、対人関係)にどのような支障が出ているか。
- 過去の病歴: 精神科や心療内科だけでなく、他の病気で治療を受けたことがあるか、手術の経験、アレルギーの有無などを伝えます。
- 現在服用している薬: 市販薬、サプリメント、健康食品なども含め、服用している全ての薬の名前と量をリストアップしておきましょう。
お薬手帳があると便利です。 - 家族歴: ご家族に精神疾患や遺伝性の病気があるか。
- 生活習慣: 睡眠時間、食事、飲酒、喫煙の習慣などを伝えます。
- 聞きたいこと、伝えたいこと: 医師に質問したいことや、特に伝えたいことなどをメモしておくと、診察中に忘れることを防げます。
正直に話すことが大切です。
恥ずかしいと感じる内容であっても、正確な診断と適切な治療のために必要な情報です。
医師はあなたの味方ですので、安心して話しましょう。
診察では何を聞かれる?
診察では、準備しておいた内容に加え、さらに掘り下げて様々な質問があります。
- 症状の具体的な内容や頻度、強さ。
- 症状が現れる特定の状況や時間帯。
- 日常生活(睡眠、食事、仕事、趣味、人間関係)への影響。
- 過去の精神的な不調の経験や治療歴。
- 家族関係や社会的なサポート体制。
- 自殺願望の有無など、安全に関わる重要なこと。
医師はあなたの言葉だけでなく、表情や話し方、雰囲気なども含めて総合的に状態を把握しようとします。
緊張せず、リラックスして話しましょう。
全ての質問に完璧に答える必要はありません。
話したくないことや思い出せないことがあっても大丈夫です。
診察後の流れ(治療方針など)
診察が終わると、医師から現在の状態についての説明や、考えられる診断名、今後の治療方針についての提案があります。
- 診断: 必ずしも初診で確定診断がつくとは限りません。
時間をかけて状態を把握し、診断に至ることもあります。 - 治療方針: 薬物療法を行うか、精神療法を行うか、あるいは両方を組み合わせるかなど、具体的な治療計画が示されます。
それぞれの治療法について、目的や効果、副作用などについても説明があるはずです。 - 薬の処方: 薬物療法が必要な場合は、処方箋が発行されます。
薬局で薬を受け取ります。 - 次回の予約: 今後の通院ペースについて相談し、次回の予約を取ります。
症状が不安定な時期は、週に1回など頻回に通院し、安定してくれば2週間に1回、月に1回と間隔が空いていくのが一般的です。 - 今後の生活に関するアドバイス: 休息の取り方、睡眠時間の確保、ストレスへの対処法など、日常生活で気をつけるべきことや、取り組むと良いことなどのアドバイスがあることもあります。
治療方針や薬について疑問や不安があれば、遠慮なく医師に質問しましょう。
納得のいくまで説明を受け、共に治療を進めていくことが大切です。
精神科に行くか迷ったら、まずは相談を
「精神科に行く基準」に当てはまるかもしれないけれど、まだ受診には抵抗がある、という方もいるかもしれません。
そのような場合は、すぐに医療機関を受診しなくても、まずは誰かに相談してみることから始めてみましょう。
家族や友人、信頼できる人に話してみる
一人で悩みを抱え込むのではなく、身近な信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
あなたのつらさを理解し、共感してくれる存在は、心の支えになります。
ただし、話す相手には、精神的な不調についてある程度理解があるか、秘密を守ってくれるかなどを考慮して選びましょう。
また、相手も専門家ではないため、最終的な判断やアドバイスは専門家に委ねる必要があります。
地域の相談窓口を利用する
各自治体や地域には、心の健康に関する様々な相談窓口が設置されています。
相談窓口の例 | 相談できること |
---|---|
保健所・精神保健福祉センター | 精神的な健康問題全般に関する相談、医療機関の情報提供、福祉制度に関する相談など。 専門のスタッフ(保健師、精神保健福祉士など)が対応します。 |
よりそいホットライン | どんな悩みでも受け止める全国共通の相談窓口。 電話やSNSで相談できます。(電話番号:0120-279-338) |
いのちの電話 | 孤独や生きづらさを感じている方からの電話相談窓口。 trainedボランティアが対応します。(電話番号:0570-783-556 など各地域で異なる) |
こころの健康相談統一ダイヤル | 精神疾患、心の悩み、医療機関に関する情報提供など。(電話番号:0570-064-556) |
これらの相談窓口は、匿名で相談できる場合が多く、精神科受診の必要性についてアドバイスをもらえたり、適切な医療機関を紹介してもらえたりします。
まずはこのような公的な相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。
医療機関に問い合わせてみる
受診を検討している精神科や心療内科に、電話で直接問い合わせてみるのも有効な手段です。
- 現在の症状について簡単に説明し、診察の対象となるか、心療内科と精神科のどちらが良いかなどを相談できます。
- 初診の予約状況や、予約方法について確認できます。
- 病院の雰囲気や、スタッフの対応などを知ることもできます。
電話での問い合わせは、いきなり診察を受けるよりもハードルが低く、病院の情報を得るための良い方法です。
まとめ:精神科に行く基準は「つらい」と感じた時
精神科に行く基準に、厳密な線引きはありません。
しかし、もしあなたが「つらい」と感じていて、そのつらさが長く続いている、あるいは日常生活に支障をきたしているのであれば、それがあなたにとっての「精神科に行く基準」です。
本記事で挙げたような症状チェックリストは、受診を検討するきっかけとなる具体的なサインを示していますが、それに全て当てはまらなくても、「何となく調子が悪い」「このままでは良くならない気がする」といった漠然とした不安や不調でも、専門家への相談をためらう必要はありません。
精神科や心療内科は、心の風邪や体の不調と同じように、誰もが気軽に相談できる場所になりつつあります。
早期に相談することで、つらい症状が改善し、自分らしい生活を取り戻すことにつながります。
一人で抱え込まず、まずは誰かに話を聞いてもらう、地域の相談窓口を利用する、そして必要であれば医療機関を受診する、という一歩を踏み出してみてください。
あなたの「つらい」という気持ちは、決して一人で抱え込むべきものではありません。
専門家のサポートを得て、より健やかな明日を迎えるための選択肢があることを知っておいてください。
【参考資料】
- [^1]: 岐阜県公式ホームページ: こころの健康|心の病気のサイン(早期発見のポイント) https://www.pref.gifu.lg.jp/page/7213.html
- [^2]: 医療法人清涼会 大濠病院: 精神科と心療内科の違い https://sei-ryu-kai.or.jp/790/
【免責事項】
本記事の情報は一般的な知識を提供するものであり、特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。
ご自身の症状については、必ず医師の診察を受け、専門家の判断を仰いでください。