「休職したい 疲れた」と感じていますか?それは、心や体からの大切なサインかもしれません。仕事や人間関係、日々のストレスによって、知らず知らずのうちに心身のバランスを崩してしまうことは誰にでも起こり得ます。
もし今、立ち止まる必要があると感じているなら、この記事があなたの状況を理解し、次のステップへ進むための一助となるはずです。
休職を検討することは、決して逃げではありません。回復のために必要な時間とスペースを自分に与える、前向きな選択肢の一つです。
ここでは、休職が必要かもしれないサインから、休職を決める前に知っておくべきこと、手続き、休職中の過ごし方、お金のこと、そしてよくある不安や疑問まで、網羅的に解説します。一人で悩まず、まずは情報収集から始めてみましょう。

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休職が必要かもしれないサイン
「疲れた」と感じることは誰にでもありますが、その状態が長く続いたり、日常生活や仕事に支障が出ている場合、それは心や体が限界を迎えているサインかもしれません。厚生労働省のバーンアウト(燃え尽き症候群)に関する指針(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148323.html)などでも、こうした状態への注意が喚起されています。
休職を検討する前に、まずはご自身の状態を客観的に見つめ直してみましょう。
体や心の具体的な不調
心身の疲労は、さまざまな形で現れます。以下のような症状に心当たりはありませんか?
- 睡眠に関する不調:
- 夜になかなか寝付けない(入眠困難)
- 夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)
- 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
- どれだけ寝ても疲れが取れない、日中も眠い(過眠、熟眠感の欠如)
- 食欲や消化器系の不調:
- 食欲が全くない、何を食べても美味しく感じない
- 逆に、過剰に食べてしまう、特定のものを無性に食べたくなる
- 胃痛、吐き気、下痢、便秘など、慢性的な胃腸の不調
- 身体的な痛みや倦怠感:
- 原因不明の頭痛、肩こり、腰痛
- 体がだるい、重いと感じる日が続く
- 些細なことで息切れがする、動くのが億劫になる
- 精神的な不調:
- 気分が沈み、ゆううつな気持ちが続く
- 何もする気が起きない、興味や関心が持てなくなる(アンヘドニア)
- イライラしやすく、感情のコントロールが難しくなる
- 些細なことで不安を感じやすくなる、焦燥感がある
- 自分を責める気持ちが強くなる、自己肯定感が低下する
- 理由もなく涙が出てしまう
- 生きているのがつらいと感じる
これらの症状が複数当てはまり、改善が見られない場合は、専門家のサポートが必要なサインかもしれません。
仕事への意欲や集中力の変化
仕事に関連するパフォーマンスの変化も重要なサインです。以前は問題なくこなせていた業務が難しくなったり、仕事への向き合い方が変わったりしていませんか?厚生労働省の労働者の健康保持増進のための指針(https://www.mhlw.go.jp/content/000534595.pdf)でも、健康問題が業務遂行能力に影響を与える可能性について触れられています。
- 仕事に行くのがつらい:
- 朝起きるのが苦痛で、会社や職場に向かう足取りが重い
- 仕事のことを考えると胸が締め付けられるような感覚がある
- 出勤前や勤務中に体調が悪くなる
- 業務効率の低下とミスの増加:
- 以前よりも集中力が続かず、作業に時間がかかる
- ケアレスミスが増える
- 簡単な指示が理解できなかったり、判断に迷うことが増える
- 納期が守れなくなる、タスク管理が難しくなる
- 仕事へのモチベーションの低下:
- 仕事に対するやる気が全く起きない
- 達成感や喜びを感じられない
- 仕事の成功や評価がどうでもよくなる
- 新しい業務や挑戦に対して、意欲が湧かない
仕事のパフォーマンス低下は、努力不足ではなく、心身の疲労が原因である可能性があります。
周囲からの指摘や自分自身の変化
自分では気づきにくい変化も、周囲の人は感じ取っていることがあります。また、社会生活やプライベートでの変化もサインとなり得ます。
- 周囲からの指摘:
- 家族や友人、同僚から「疲れているね」「元気がないね」「最近様子がおかしいよ」などと心配される
- 「前と比べて変わった」と言われる
- 対人関係の変化:
- 人と会うのが億劫になり、避けるようになる
- 親しい友人や家族との連絡がおっくうになる
- 職場で同僚とのコミュニケーションが減る
- 趣味や興味の喪失:
- 以前は楽しめていた趣味や活動に関心が持てなくなる
- 外出がおっくうになり、家に閉じこもりがちになる
- 身だしなみに気を使わなくなる
これらのサインに気づいたら、まずはご自身の心と体が descanso(休息)を求めているのかもしれません。
休職を決める前に知っておくべきこと
休職は大きな決断です。後悔しないためにも、休職制度や手続き、そして休職に伴うメリット・デメリットを事前にしっかり理解しておくことが大切です。
休職のメリット・デメリット
休職には、心身を回復させるための大きなメリットがある一方で、無視できないデメリットも存在します。
メリット | デメリット |
---|---|
心身の回復に専念できる | 経済的な不安(給与が支給されないことが多い) |
ストレスの原因から一時的に離れられる | キャリアへの影響(昇進・昇給の遅れ、ブランク) |
症状の悪化を防ぎ、早期回復を目指せる | 復職・転職時の難しさ(説明責任、選考への影響) |
自身の状況を冷静に分析し、今後のキャリアを考え直す時間ができる | 周囲の理解を得るのが難しい場合がある |
専門家(医師、カウンセラー)のサポートを受けやすい | 社会とのつながりが希薄になるリスクがある |
治療やリハビリに時間をかけられる | 休職中の社会保険料・住民税の負担(後払い) |
メリットとデメリットを理解した上で、ご自身の状況にとって休職が最善の選択肢かどうかを検討することが重要です。特に経済的な側面は大きな不安要素となるため、後述する傷病手当金などの制度をしっかり確認しましょう。
休職に関する会社の制度を確認する
休職制度は、法律で定められているものではなく、会社の就業規則に基づいて運用されます。そのため、会社によって制度の内容が大きく異なります。
まずはご自身の会社の就業規則を確認しましょう。厚生労働省が提供する休業補償・休職制度運用ガイド(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000326143.pdf)なども参考になります。
就業規則で確認すべき主な項目
- 休職制度の有無: そもそも休職制度があるか。
- 休職の事由: どのような理由(私傷病、留学など)で休職が認められるか。
- 休職期間: 休職できる最長期間(例:勤続年数によって異なる、通算〇年など)。
- 休職中の給与: 休職中に給与が支給されるか。多くの場合は無給ですが、会社独自の制度がある場合も。
- 社会保険料・住民税: 休職中の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)や住民税の支払いについて。会社が一時的に立て替えて後で請求される場合や、自分で支払う必要がある場合など。
- 復職の手続き: 復職する際の条件や手続き(医師の診断書、会社の面談など)。
- 休職中の連絡: 会社への報告義務や連絡頻度について。
就業規則が手元にない場合や内容が不明な場合は、会社の総務部や人事部に問い合わせてみましょう。ただし、問い合わせることで休職を検討していることが会社に伝わる可能性があるため、慎重に行う必要があります。信頼できる上司や同僚に相談するか、産業医や産業カウンセラーに相談してみるのも良いでしょう。
医師への相談と診断書の取得
休職するためには、原則として医師の診断書が必要です。体調不良を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
- 受診先:
- 精神的な不調が強い場合は、精神科または心療内科。
- 身体的な不調が強い場合は、かかりつけ医や内科など。症状に応じて専門医を紹介してもらうことも可能。
- 医師への伝え方:
- 現在の体調、具体的な症状(いつから、どのように、どのくらいの頻度か)。
- 仕事の内容や職場環境、ストレスの原因として思い当たる点。
- 日常生活への影響(睡眠、食欲、家事、趣味など)。
- 休職を検討していること。
正直に、具体的に症状を伝えることが、適切な診断と診断書の発行につながります。
- 診断書について:
- 医師が診察に基づき、「休職が必要である」と判断した場合に発行されます。
- 診断書には、病名、必要な休養期間、現在の就労可否などが記載されます。
- 会社に提出するための診断書であることを伝え、必要な項目が記載されているか確認しましょう。
- 診断書の費用は医療機関によって異なります(一般的に数千円程度)。
診断書は、休職を会社に申し出るための重要な書類となります。医師の指示に従い、焦らず治療や休息に専念することが、回復への第一歩です。
会社への休職申し出方法(休職届)
診断書を取得したら、会社に休職を申し出ます。申し出のタイミングや方法は、会社のルールや人間関係によって最適な方法が異なりますが、一般的には直属の上司に相談することから始めます。
申し出の一般的な流れ
- 直属の上司への相談:
- まずは直属の上司にアポイントを取り、体調が優れないこと、医師の診察を受けたこと、そして休職を検討していることを相談します。
- 診断書が手元にある場合は、その内容を伝えます(無理のない範囲で)。
- 感情的にならず、現在の状況と今後の意向(休職したい旨)を落ち着いて伝えましょう。
- 診断書の提出:
- 会社から提出を求められたタイミングで診断書を提出します。
- 会社との面談:
- 上司や人事担当者との面談が設けられる場合があります。休職の必要性、期間、休職中の連絡方法、復職の意思などについて話し合います。
- 体調が非常に悪い場合は、家族に同席をお願いしたり、代理で説明してもらうことも可能です。
- 休職届の提出:
- 会社の指定する休職届に必要事項を記入し、提出します。
- 就業規則や会社の指示に従って手続きを進めましょう。
- 業務の引き継ぎ:
- 可能な範囲で、担当業務の引き継ぎを行います。ただし、体調が最優先です。無理な引き継ぎを求められた場合は、会社の産業医や人事部に相談しましょう。
申し出る際は、誠意をもって現在の状況を伝えることが大切です。休職は会社に迷惑をかけることだと感じてしまうかもしれませんが、心身の健康を損なったまま働き続ける方が、結果的に会社にとっても本人にとっても大きな損失となり得ます。
休職中の過ごし方とお金に関する情報
休職期間は、心身を回復させ、今後のキャリアや人生について見つめ直すための貴重な時間です。この期間をどう過ごすか、そして経済的な不安をどう軽減するかが重要になります。
休職中の主な過ごし方(治療、休息)
休職中の過ごし方は、医師の指示とご自身の体調に合わせて計画することが大切です。
- 治療に専念する:
- 医師に指示された通院、服薬、カウンセリングなどをきちんと受けましょう。
- 必要に応じて、より専門的な治療機関やリハビリ施設(デイケア、リワークプログラムなど)の利用も検討します。
- 十分な休息をとる:
- まずは、心身を休めることに集中しましょう。
- 十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を心がけます。
- 無理のない範囲で、散歩や軽いストレッチなどの運動を取り入れることも、心身の回復に良い影響を与える場合があります。
- 好きな音楽を聴く、読書をする、自然と触れ合うなど、リラックスできる時間を作りましょう。
- スマートフォンやパソコンから離れる「デジタルデトックス」も有効です。
- 自分と向き合う時間を持つ:
- なぜ疲れてしまったのか、何がストレスだったのかなど、自身の状況を振り返る時間を持つことができます。
- 休職期間を経て、今後の働き方やキャリア、人生について冷静に考える時間にもなります。
- 焦る必要はありませんが、回復度合いに応じて、少しずつ活動範囲を広げていくことも大切です。
休職中のNG行動
- 無理に活動しようとする: 体調が回復していないのに、焦って旅行に行ったり、多くの人と会ったりすることは、かえって疲労を招く可能性があります。
- 一人で抱え込む: 誰にも相談せず、孤独に過ごすことは、気分をさらに落ち込ませる可能性があります。信頼できる家族や友人、専門家と積極的にコミュニケーションを取りましょう。
- ネガティブな情報ばかりに触れる: 病気や休職に関するネガティブな情報ばかり調べたり、自分を責めたりすることは回復を妨げます。
- 会社のことを考えすぎる: 休職期間は、会社から離れて自分自身を立て直す期間です。仕事の心配ばかりせず、意識的に会社から距離を置きましょう。
傷病手当金について(もらえるお金)
休職中の経済的な支えとなるのが、健康保険から支給される「傷病手当金」です。会社の給与は支給されない場合が多いですが、この制度を利用することで一定の収入を確保できます。
申請書の様式については、協会けんぽのウェブサイトで公開されている申請書(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/202404/kyufuhin1.pdf)なども参考になります。
傷病手当金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 業務外の病気やケガで仕事に就けず、給与が支給されない期間の生活を保障するため。 |
支給条件 | 以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。 ① 業務外の事由による病気やケガであること ② 仕事に就くことができない状態であること ③ 連続した3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと(待期期間) ④ 休業期間中に給与の支払いがないこと(または、給与の支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合) |
支給期間 | 支給開始日から最長1年6ヶ月です。途中で仕事に就ける日があっても、期間は中断せず通算されます。 |
支給額 | 概ね、支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の1/30に相当する額の2/3です。 (正確には、標準報酬月額÷30日×2/3) |
申請先 | ご加入の健康保険組合または協会けんぽ。多くの場合、会社を通じて申請します。 |
申請手続き | 健康保険組合または協会けんぽ所定の申請書に、医師の意見書、事業主の証明などが必要。 |
申請のタイミング | 仕事に就けなかった期間ごとに、まとめて申請することが可能です。 |
※任意継続被保険者の方も、傷病手当金を受け取れる場合があります(資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あることなどの条件を満たす必要あり)。
※国民健康保険には傷病手当金の制度は原則ありませんが、一部自治体や国民健康保険組合によっては独自の傷病手当金制度を設けている場合があります。
傷病手当金の申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、会社の担当部署(総務部や人事部)に相談すれば、手続きをサポートしてくれる場合が多いです。早めに会社の担当者に確認してみましょう。
休職中の生活費の計画
傷病手当金が支給されても、普段の給与よりは少なくなる場合がほとんどです。休職期間中の生活費について計画を立てておくことが大切です。
- 収入:
- 傷病手当金の受給額を計算し、いつ頃振り込まれるかを確認します。
- 会社の休職制度で給与の一部が支給されるか確認します。
- 貯蓄や家族からの援助などを検討します。
- 支出:
- 家賃、住宅ローン、光熱費、通信費などの固定費。
- 食費、日用品費などの変動費。
- 医療費(通院費、薬代)。
- 休職中の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)と住民税の支払い。これらは通常、給与から天引きされていますが、休職中は自分で支払う必要があります。会社の給与担当者に支払い方法や金額を確認しましょう。一時的に支払いが難しい場合は、猶予や減免制度を利用できる場合もありますので、市区町村の窓口や年金事務所に相談してみてください。
- 娯楽費や交際費など、休職中は極力抑えることを検討します。
収入と支出をリストアップし、具体的な生活費の計画を立てることで、経済的な不安を軽減することができます。
休職中の転職活動について
休職中は心身の回復に専念することが最も重要です。しかし、体調が回復し、元の職場への復帰が難しいと感じる場合、休職期間中に転職を検討する方もいらっしゃいます。
- 基本的には回復を優先:
- 体調が万全でない状態での転職活動は、新たなストレスとなり、回復を妨げる可能性があります。まずは治療と休息に専念しましょう。
- 体調が回復した場合の選択肢として:
- 休職期間の後半になり、体調が安定してきた場合に限り、情報収集や自己分析から始めてみるのは良いかもしれません。
- 休職に至った原因を分析し、次の職場では同じ問題を繰り返さないような働き方や環境を選ぶことが重要です。
- 転職活動の注意点:
- 採用面接で休職理由や期間について聞かれる可能性が高いです。正直に、病気療養のためであったことを説明し、現在は回復しており就労に問題がないことを伝えられるように準備しましょう。
- 休職期間の長さによっては、採用側の懸念となる場合もあります。
- 転職エージェントなど、休職経験者への理解がある専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。
焦って転職活動を始めず、ご自身の体調とよく相談しながら慎重に進めることが大切です。
休職に関するよくある不安と疑問
休職を検討したり、実際に休職に入ると、さまざまな不安や疑問が湧いてくるものです。ここでは、多くの人が抱えるであろう不安に寄り添い、その向き合い方について解説します。
「休職したら終わり」は本当か?
「休職したらキャリアが終わる」「会社にいられなくなるのではないか」といった不安を感じる方は多いですが、決してそのようなことはありません。
- 休職は回復のためのステップ: 休職制度は、従業員が病気やケガから回復し、再び働けるようになるための制度です。適切に利用すれば、キャリアの終わりではなく、立て直しと新たなスタートのための期間となります。
- 会社側の理解: 最近では、従業員のメンタルヘルスに対する企業の意識も高まっています。休職制度がある会社は、従業員の健康を考えている証拠とも言えます。診断書に基づいた正当な休職であれば、会社も制度に基づいて対応します。
- 復職して活躍している人も多い: 体調を回復させて職場に復帰し、以前と変わらず、あるいは以前以上に活躍している人はたくさんいます。休職期間中に自己理解を深め、働き方を見直したことで、より健康的で持続可能な働き方を実現する人もいます。
- 大切なのは回復と再発予防: 「終わり」かどうかは、休職期間中にどれだけ回復に専念できたか、そして復職(または転職)後に再発予防のための対策を講じられるかにかかっています。
過度に悲観的にならず、休職は回復のために必要なプロセスだと前向きに捉えることが大切です。
「休職はずるい」という感情への向き合い方
真面目で責任感が強い人ほど、「他の人は頑張っているのに、自分だけ休むのはずるいのではないか」「会社に迷惑をかけている」といった罪悪感や自己否定の感情を抱きやすい傾向があります。
- 休職は権利であり、治療の一環: 休職制度は、労働者が心身の不調を治療し、回復するための正当な権利です。病気になったら病院に行き、治療を受けるのと同じように、心身の不調が仕事に支障をきたすほど重い場合は、休職という治療が必要です。
- 無理して悪化するリスク: 無理して働き続け、症状が悪化した場合、回復にはより長い時間が必要になったり、取り返しのつかない健康問題につながる可能性もあります。そうなれば、会社にもより大きな負担をかけることになります。早期に適切な休息をとる方が、結果的に会社にとっても負担が少なくなります。
- 他者との比較は無意味: 人それぞれ、抱えているストレスや心身の状態は異なります。他者と比較して「ずるい」と感じる必要はありません。ご自身の心と体が発するサインに正直に向き合うことが何よりも大切です。
- 罪悪感を手放す練習: 罪悪感は回復を妨げる要因になります。「今は回復に専念すべき時期なんだ」「自分には休む権利がある」と意識的に考えるようにしましょう。信頼できる家族や友人、専門家(医師、カウンセラー)に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
自分を責める必要は全くありません。休職を決断したご自身の勇気を認め、今は回復に集中しましょう。
休職期間の目安と復帰へのステップ
休職期間の長さは、病気の種類や重症度、回復のペースによって個人差が大きいです。一概には言えませんが、一般的には数ヶ月から1年程度が多いとされています。
- 医師と相談して決める: 休職期間は、ご自身の症状や回復度合いを医師とよく相談して決定します。診断書に記載された期間はあくまで目安であり、途中で延長や短縮が必要になる場合もあります。
- 会社の規定も確認: 会社の就業規則で定められている休職期間の上限も確認しておく必要があります。
- 段階的な復帰: 体調が回復してきたら、いきなりフルタイムで仕事に戻るのではなく、段階的な復帰を目指すのが一般的です。
- リハビリ出勤/試し出勤: 会社の制度として、または医師の指示により、短時間勤務や簡単な業務から始めて、徐々に体を慣らしていきます。
- 短時間勤務: 復職後しばらくは、労働時間を短縮して勤務します。
- 部署異動や業務内容の見直し: 休職の原因が特定の業務や人間関係にあった場合、配置転換や業務内容の見直しを会社と相談することも可能です。
復職に向けては、焦らず、ご自身のペースで進めることが大切です。会社とも密に連携を取りながら、スムーズな復帰を目指しましょう。
休職後の選択肢(復職または転職)
休職期間を経て体調が回復したら、次のステップを考えます。元の職場に復職するか、あるいは転職するか、選択肢は二つあります。どちらの道を選ぶにしても、ご自身の心身の健康を第一に考えることが重要です。
スムーズな復職のための準備
元の職場への復職を目指す場合、いくつか準備しておくべきことがあります。
- 体調の自己管理: 休職期間中に身につけた、体調を整えるための習慣(十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、リラックス法など)を復職後も継続できるよう意識しましょう。
- 会社との連携: 休職期間中に、会社(上司や人事担当者)と定期的に連絡を取り合い、現在の状況や復職への意向を伝えるようにします。会社のルールに従って、報告書などを提出する場合もあります。
- 復職面談: 復職前に会社との面談が行われるのが一般的です。現在の体調、復職への意思、希望する働き方(短時間勤務など)、業務上の配慮が必要な点などを話し合います。医師の診断書を持参し、医師の意見も伝えられるように準備しておきましょう。
- リワークプログラム等の活用: 復職支援プログラム(リワークプログラム)を利用することも有効です。専門家による支援のもと、体力や集中力を回復させ、職場で働くための準備を段階的に行います。
- 再発予防: 復職後も無理をせず、体調の変化に敏感になりましょう。必要であれば、産業医や会社の相談窓口、かかりつけ医と連携を取りながら、再発予防に努めることが大切です。
休職を経て転職を考える場合
休職の原因が職場環境そのものにあったり、元の職場への復帰に強い抵抗がある場合は、転職を選択することも可能です。
転職のメリット | 転職のデメリット |
---|---|
環境を変えて心機一転できる | 転職活動自体にエネルギーが必要になる |
休職の原因となった問題から完全に離れられる | 新しい環境への適応ストレスが発生する可能性 |
ご自身の経験を踏まえ、より合う職場を選べる | 休職期間中のキャリアブランクについて説明が必要 |
これまでの経験を活かしつつ、新しい分野に挑戦できる | 応募できる求人が限られる場合がある |
経済的に一時的に不安定になるリスク |
転職活動のポイント
- 自己分析の徹底: なぜ休職に至ったのか、どのような働き方が合っているのか、どのような環境であれば健康的に働けるのかなど、徹底的に自己分析を行います。
- 企業研究: 企業の文化、労働時間、福利厚生、メンタルヘルスへの取り組みなどをしっかりリサーチし、ご自身に合った企業を選びましょう。
- 休職期間の説明: 面接では正直に、病気療養のため休職していたことを伝えます。そして、現在は回復しており、業務遂行に支障がないこと、休職期間中に何を学び、どのように対策を講じたのかを前向きに説明できるように準備します。
- 転職エージェントの活用: 精神疾患や休職からの転職に理解のある、または特化した転職エージェントに相談することで、適切な求人を紹介してもらったり、面接対策のアドバイスを受けたりすることができます。
転職は、新たな可能性を切り開く選択肢ですが、焦らず、ご自身の体調と向き合いながら慎重に進めることが成功の鍵となります。
疲れた心が回復するために
「休職したい 疲れた」と感じている状態は、心からのSOSです。一人で抱え込まず、適切なサポートを受けることが回復への近道です。
働く人のメンタルヘルスに関する相談や事例については、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」の事例紹介ページ(https://kokoro.mhlw.go.jp/case/)なども参考にしてみてください。
- 医療機関:
- 精神科・心療内科: 精神的な不調(気分の落ち込み、不安、不眠など)が主な場合。医師による診断、投薬治療、必要に応じてカウンセリングを受けることができます。
- かかりつけ医: まずは身近なかかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう。専門医への紹介状を書いてもらうことも可能です。
- 公的機関:
- 保健所・精神保健福祉センター: 地域の精神保健福祉に関する相談窓口です。専門の相談員が対応し、医療機関や支援制度に関する情報提供、必要であれば簡単な相談に乗ってくれます。
- こころの健康相談統一ダイヤル: 厚生労働省が提供する、心の健康問題に関する相談窓口の電話番号です。最寄りの相談機関に接続されます。
- 職場の相談窓口:
- 産業医・産業カウンセラー: 企業によっては、従業員の健康相談に応じる産業医や産業カウンセラーが配置されています。職場内の人間関係や業務内容に関する相談など、職場に特化した相談ができます。守秘義務があるため、会社に相談内容が筒抜けになる心配はありません。
- 人事部・総務部: 休職制度や社会保険手続きなど、事務的な手続きに関する相談ができます。ただし、病状などプライベートな情報をどこまで話すかは慎重に判断しましょう。
- その他:
- NPO法人、民間カウンセリング: 精神疾患や労働問題に関する支援を行っているNPO法人や、民間のカウンセリング機関などもあります。
一人で抱え込まず、まずは信頼できる人や専門機関に相談してみることから始めてください。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
まとめ
「休職したい 疲れた」と感じているあなたは、心や体がこれ以上無理しないでほしいとサインを送っている状態です。そのサインに気づき、立ち止まることを検討する勇気を持てたことは、回復への大きな一歩です。
休職は、決して後ろ向きな選択ではありません。心身を休ませ、病気を治療し、自分自身と向き合うための、積極的で大切な時間です。休職制度や傷病手当金といった制度も整備されており、経済的な不安を軽減しながら回復に専念することが可能です。
休職を検討する際は、まずご自身の体や心のサインを見つめ、必要であれば医療機関を受診し、医師の診断を受けましょう。そして、会社の休職制度を確認し、上司や人事担当者に相談して手続きを進めます。
休職期間中は、焦らず、医師の指示に従って治療と休息に専念してください。回復の過程で、今後の働き方や人生についてじっくり考える時間を持つこともできます。復職するか転職するかは、ご自身の体調と意向に合わせて慎重に判断しましょう。
もし今、「休職したい 疲れた」と感じているなら、一人で悩まずに、まずは誰かに相談してみてください。専門家や信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、状況が整理され、気持ちが楽になるはずです。この記事が、あなたが自分自身の健康を取り戻し、より良い未来へ進むための一助となれば幸いです。あなたの回復を心から願っています。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の個人の症状や状況に対する医学的アドバイスや診断を行うものではありません。読者の皆様ご自身の健康状態に関しては、必ず専門の医療機関を受診し、医師の診断や指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる損害についても、執筆者および公開者は一切の責任を負いかねます。