なぜか体がだるい、十分に休んでいるはずなのに疲れが取れない。
そんな状態が長く続いているとしたら、それは単なる一時的な疲労ではなく、「慢性的な疲労感」かもしれません。
多くの人が経験する一般的な疲労とは異なり、慢性的な疲労感は日常生活に大きな影響を与え、その裏に隠された原因がある場合も少なくありません。
この記事では、慢性的な疲労感とは何か、どのような原因が考えられるのか、見過ごせない症状、そして自分でできる対策や専門家への相談の目安について詳しく解説します。
ご自身の状態を理解し、適切な一歩を踏み出すための参考にしてください。

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慢性的な疲労感とは?定義と状態
慢性的な疲労感の一般的な定義
慢性的な疲労感とは、一般的に半年以上にわたって続く、休息や睡眠によっても十分に回復しない疲労や倦怠感の状態を指します。
単に「疲れているな」と感じる一時的な疲労とは区別され、その持続期間が重要なポイントとなります。
この慢性的な疲労感は、特定の病気の症状として現れることもあれば、自律神経の乱れや生活習慣の偏り、精神的なストレスなどが複合的に絡み合って生じることもあります。
医学的な診断名ではなく、あくまで自覚症状の一つですが、その状態が長く続くことで、仕事や学業、家事、趣味といった日常生活のあらゆる面に支障をきたす可能性があります。
特に、これまで普通にできていた活動が難しくなったり、集中力が続かなくなったりといった変化を感じる場合は、単なる「疲れやすい体質」として見過ごさず、その原因を探ることが重要です。
疲労感と倦怠感の違い
疲労感と倦怠感は似たような感覚で使われることが多いですが、ニュアンスには違いがあります。
- 疲労感: 体を動かしたり、脳を使ったりした後に生じる、活動によってエネルギーを消費した感覚に近いものです。「疲れた」という言葉で表現されることが多く、休息を取ることで回復するのが一般的です。肉体的な疲労と精神的な疲労があります。
- 倦怠感: 体がだるく、気力が湧かない、何もする気が起きないといった、全身の重さやけだるさ、気分の落ち込みなどが伴う感覚です。必ずしも活動の後だけでなく、何もしていない時にも感じることがあります。休息を取っても改善しにくい場合があり、病気のサインとして現れることもあります。
慢性的な疲労感という場合、多くはこの「倦怠感」に近い、原因がはっきりせず、休息しても回復しにくい全身の不快な感覚を含んでいます。
単なる肉体的な疲れとは異なり、体の内側からくるような、全身の活力が失われたような状態を指すことが多いでしょう。
慢性的な疲労感の主な原因
慢性的な疲労感は、単一の原因で起こることは少なく、複数の要因が絡み合っている場合がほとんどです。
その原因は、私たちの日常生活習慣、身体の状態(病気の有無など)、そして精神的な状態の大きく3つに分けられます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
日常生活に潜む原因
現代社会では、多くの人が多かれ少なかれ抱えている原因です。
環境や習慣を見直すことで改善が見込める場合も多いですが、長期間続くと体の負担となります。
過労、睡眠不足
仕事や家事、育児などで心身ともに休む時間が十分に取れない状態が続くと、疲労が蓄積していきます。
特に、残業が多い、休日も十分に休めないといった状況は、疲労回復が追いつかずに慢性化しやすい典型的なパターンです。
また、必要な睡眠時間が確保できない、あるいは睡眠時間は取れていても眠りが浅く質が悪いといった睡眠不足も、脳や体の疲労回復を妨げ、慢性的な疲労感につながります。
不規則な生活、精神的なストレス
食事や睡眠の時間がバラバラで生活リズムが乱れていると、自律神経の働きが不安定になりやすく、疲れやすさや倦怠感を感じやすくなります。
夜勤がある仕事や、国内外への頻繁な移動などもリズムを崩す要因です。
また、人間関係の悩み、仕事でのプレッシャー、将来への不安など、様々な精神的なストレスは、心だけでなく体にも大きな負担をかけます。
ストレスホルモンが増加したり、筋肉が緊張したりすることで、疲労感や体の痛みとして現れることがあります。
慢性的なストレスは、自律神経の乱れを助長し、疲労感を慢性化させる悪循環を生み出します。
栄養不足
偏った食事や無理なダイエットによる栄養不足も、慢性的な疲労感の原因となります。
エネルギー源となる炭水化物や脂質、体を構成し修復するタンパク質、そして体の調子を整えるビタミンやミネラルが不足すると、細胞の働きが低下し、疲れやすさや倦怠感につながります。
特に、鉄分不足による貧血(後述)や、ビタミンB群、マグネシウムなどの不足は、エネルギー産生に関わるため、疲労と関連が深いと考えられています。
- ビタミンB群: エネルギー代謝に関わり、疲労回復を助けます(豚肉、レバー、魚、玄米など)。
- 鉄分: 貧血予防に重要。酸素運搬に関わります(赤身肉、レバー、ほうれん草、ひじきなど)。
- マグネシウム: 筋肉や神経の機能に関わり、エネルギー産生を助けます(海藻、大豆製品、ナッツ類など)。
- タンパク質: 体の組織を作り、修復します(肉、魚、卵、大豆製品など)。
水分補給: 脱水は疲労感を増悪させます。こまめに水分を摂りましょう。
カフェインやアルコール: 過剰な摂取は睡眠を妨げたり、自律神経を乱したりする可能性があります。適量を心がけましょう。
身体的な原因
慢性的な疲労感の背景に、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。
セルフケアだけでは改善しない、あるいは他の症状を伴う場合は、医療機関での検査が必要です。
感染症や慢性的な炎症性疾患
風邪やインフルエンザなどの急性感染症の後、疲労感が長引くことがあります(遷延性疲労)。
また、副鼻腔炎や歯周病といった慢性の炎症、関節リウマチのような自己免疫疾患、結核やB型肝炎、C型肝炎などの持続的な感染症なども、体内で炎症が続くことで全身の倦怠感を引き起こすことがあります。
貧血、心疾患、肺疾患など
体の細胞に酸素や栄養を運ぶ血液の異常(貧血)、全身に血液を送り出すポンプ機能の低下(心不全などの心疾患)、酸素を体に取り込む機能の低下(COPDなどの肺疾患)なども、慢性的な疲労感の重要な原因です。
これらの疾患では、体が酸素不足や栄養不足の状態になりやすく、少し動いただけでも息切れや強い疲労感を感じることがあります。
低血圧
低血圧そのものが直接的に慢性的な疲労感を引き起こすわけではありませんが、血圧が低いと全身の血行が悪くなりやすく、特に脳への血流が一時的に低下することで、だるさ、めまい、立ちくらみ、集中力の低下といった症状を伴うことがあります。
これらの症状が疲労感として自覚されることがあります。
内分泌ホルモンの乱れ(更年期障害、糖尿病、甲状腺機能低下症など)
体の様々な機能を調節しているホルモンのバランスが崩れると、全身の不調として慢性的な疲労感が現れることがあります。
- 更年期障害: 女性ホルモンのエストロゲン減少により、疲労感、ほてり、イライラなど様々な不定愁訴が現れます。男性にも男性ホルモン(テストステロン)の低下による同様の症状(LOH症候群)が見られることがあります。
- 糖尿病: 血糖値が高い状態が続くと、全身の細胞がエネルギーをうまく利用できなくなり、だるさや疲労感を感じることがあります。また、糖尿病の合併症(神経障害など)も疲労感に関わることがあります。
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、全身の代謝が遅くなり、強い疲労感、むくみ、寒がり、気力の低下などの症状が現れます。
低栄養、電解質の異常、神経活動の低下
特定の疾患だけでなく、極端な食事制限による低栄養状態や、下痢・嘔吐、特定の薬の影響などによるカリウムやナトリウムといった電解質のバランス異常も、筋肉や神経の正常な働きを妨げ、疲労感や脱力感を引き起こすことがあります。
また、パーキンソン病などの神経系の疾患でも、体の動かしにくさや自律神経の不調から疲労を感じやすくなることがあります。
薬物中毒、アルコール中毒
違法薬物や特定の処方薬の乱用、あるいは慢性のアルコール依存症も、脳機能や全身の代謝に悪影響を及ぼし、強い疲労感や倦怠感を引き起こす原因となります。
精神的な原因
うつ病や不安障害といった精神疾患も、慢性的な疲労感の有力な原因です。
これらの疾患では、気分が落ち込む、興味や関心がなくなる、集中できないといった精神症状に加え、強い疲労感や体の重さ、睡眠障害といった身体症状を伴うことが非常に多いです。
特にうつ病の場合、疲労感はよく見られる症状の一つであり、「朝起きられない」「体が鉛のように重い」といった形で現れることがあります。
心の問題が体の疲労として現れることは珍しくありません。
慢性的な疲労感で見られる症状
慢性的な疲労感は、単に「疲れている」という感覚だけにとどまらず、様々な随伴症状を伴うことが特徴です。
これらの症状は、日常生活にさらに大きな影響を与え、QOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があります。
疲労感以外の随伴症状
慢性的な疲労感を感じている人がよく訴える、疲労感以外の症状には以下のようなものがあります。
頭痛、筋肉痛
疲労が蓄積すると、首や肩の筋肉が緊張しやすくなり、それに伴って頭痛(特に緊張型頭痛)が生じることがあります。
また、全身の筋肉に原因不明の痛みを訴える人も少なくありません。
これは、疲労やストレスが筋肉の血行不良や炎症を引き起こすことに関連していると考えられています。
のどの腫れ、微熱
風邪のような症状が長引く、あるいは繰り返すといった形で、のどの痛みやリンパ節の腫れ、微熱(37℃台前半の熱が続くなど)を伴うことがあります。
これは、免疫系の機能が低下している可能性や、体内で何らかの炎症が続いている可能性を示唆しています。
不眠、睡眠障害
疲れているのに眠れない、夜中に何度も目が覚めてしまう、朝早く目が覚めてしまうといった不眠の症状が現れることがあります。
また、眠れても眠りが浅く、朝起きても体がだるい、熟睡感がないといった睡眠の質の低下もよく見られます。
疲労感が睡眠を妨げ、睡眠不足がさらに疲労感を悪化させるという悪循環に陥りやすいです。
集中力や記憶力の低下
脳の疲労は、認知機能にも影響を及ぼします。
仕事や勉強中に集中力が続かない、人の話が頭に入ってこない、物忘れが多くなる、新しいことを覚えられないといった症状が現れることがあります。
これは、疲労によって脳の機能が低下しているサインです。
うっかりミスや約束忘れ
集中力や記憶力の低下と関連して、普段ならしないようなうっかりミスが増えたり、友人との約束や締め切りを忘れてしまったりといった、日常生活でのトラブルが増えることがあります。
これは、疲労が判断力や注意力を鈍らせているためと考えられます。
慢性的な疲労感の初期症状
慢性的な疲労感は、ある日突然始まるのではなく、徐々に進行することが多いです。
初期には以下のようなサインが見られることがあります。
- 以前よりも疲れやすいと感じるようになった
- 軽い活動でもすぐに疲労を感じる
- 週末にしっかり休んでも、週明けには疲れが残っている
- 好きだった趣味や活動をする気力がなくなってきた
- 以前は気にならなかった些細なことでイライラするようになった
- 風邪が治りにくくなった、あるいは引きやすくなった
これらの初期症状の段階で、生活習慣を見直したり、意識的に休息を取ったりすることで、慢性化を防ぐことができる場合もあります。
体のサインを見逃さないことが大切です。
寝てばかりの状態は慢性疲労?
「疲れているから」と長時間寝ても、一向に疲れが取れない、むしろ体がだるく感じるという状態は、慢性的な疲労感の可能性が高いです。
通常の疲労であれば、十分な睡眠を取ることで回復します。
しかし、慢性的な疲労感の場合、睡眠だけでは回復せず、むしろ過剰な睡眠欲求が現れることがあります。
日中も強い眠気を感じて寝てしまう、休日も寝だめをしてしまうといった状態は、単なる怠惰ではなく、慢性的な疲労が根底にあるサインかもしれません。
ただし、睡眠時間が長すぎることも、生活リズムを乱し、かえって体の不調を招くことがあります。
重要なのは睡眠時間だけでなく、睡眠の質と、休息しても回復しないという点です。
慢性的な疲労感と慢性疲労症候群の違い
慢性的な疲労感の状態が非常に重く、特定の診断基準を満たす場合に、「慢性疲労症候群(CFS)」という病名がつけられることがあります。
慢性的な疲労感と慢性疲労症候群は混同されやすいですが、両者には違いがあります。
慢性疲労症候群(CFS)とは?
慢性疲労症候群(CFS)は、原因不明の強い疲労が半年以上続き、検査をしても疲労の原因となる病気が見つからず、日常生活が著しく障害される病気です。
単なる疲労とは異なり、休息や睡眠では改善しない強い疲労感が中心的な症状であり、さらに特定の神経学的、精神学的、免疫学的、あるいは内分泌学的症状を複数伴うことが診断の基準となります。
インフルエンザのような急性の感染症をきっかけに発症することがあるとも言われています。
CFSは、その診断基準が複数提唱されており、確立された単一の原因や治療法がないため、診断や治療が難しい側面があります。
病態としては、脳、免疫系、自律神経系、内分泌系などの様々な体のシステムに機能異常が生じている可能性が指摘されています。
慢性疲労とCFSの主な相違点
慢性的な疲労感と慢性疲労症候群(CFS)の主な違いは、症状の程度、持続期間、診断基準の有無、そしてそれに伴う日常生活への影響の度合いにあります。
以下の表で主な相違点をまとめます。
項目 | 慢性的な疲労感 | 慢性疲労症候群(CFS) |
---|---|---|
定義 | 半年以上続く、休息しても改善しない疲労感 | 原因不明の強い疲労が半年以上続き、特定の診断基準を満たす、日常生活が著しく障害される病気 |
原因 | 生活習慣、身体的・精神的要因など多様 | 不明(感染症後、免疫異常、自律神経障害など複数の要因が関与の可能性) |
症状の程度 | 比較的軽度から中等度まで様々 | 非常に重度で、日常活動が50%以下に低下することが多い |
随伴症状 | 頭痛、肩こり、睡眠障害など(あっても軽度の場合も) | 特徴的な複数の神経学的・精神学的・免疫学的症状などを伴う(詳細は後述) |
診断 | 医学的な診断名ではない自覚症状 | 医学的な診断基準に基づき診断される病名 |
回復 | 原因の特定・対処や生活改善で回復することが多い | 回復に時間がかかる、または慢性化するケースが多い |
日常生活への影響 | ある程度影響が出る場合がある | 仕事や学業、家事などが困難になり、寝たきりに近い状態になることもある |
CFSの診断基準で挙げられる主な症状(例:CDC診断基準など):
- 診断基準を満たす強い疲労: 半年以上持続し、休息しても改善せず、活動レベルが病気になる前の半分以下に低下する。
- 疲労以外の主要症状: 以下のうち4つ以上が同時に6ヶ月以上続く。
- 短期間の記憶障害や集中力低下
- のどの痛み
- 首やわきのリンパ節の腫れ・圧痛
- 筋肉痛
- 複数関節の痛み(腫れや赤みはない)
- 労作後倦怠感(運動や活動後に疲労感が強く出て24時間以上続く)
- 回復感のない睡眠
- 新しいタイプの頭痛や、以前とは異なる頭痛
このように、慢性疲労症候群は、単なる慢性的な疲労感よりもはるかに重い状態であり、診断には専門医による詳細な検査と評価が必要です。
慢性的な疲労感が長く続き、これらのCFSに類似した重い症状を伴う場合は、医療機関への相談を強くお勧めします。
慢性的な疲労感を解消・改善するための対策
慢性的な疲労感の解消や改善には、原因に応じたアプローチが必要です。
まず自分でできるセルフケアから始め、それでも改善しない場合や他の症状を伴う場合は、専門家への相談を検討しましょう。
セルフケアでできること
日常生活を見直し、心身の負担を軽減するためのセルフケアは、慢性的な疲労感の改善において非常に重要です。
休息と睡眠の質の向上
量だけでなく、質の良い睡眠が疲労回復には不可欠です。
- 規則正しい生活: 毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるように努め、体内時計を整えましょう。休日も寝だめは控えめに。
- 快適な睡眠環境: 寝室は暗く静かに保ち、適切な温度・湿度に調整しましょう。寝具も自分に合ったものを選びます。
- 寝る前の習慣: 寝る前にスマホやPCを見るのは避け、リラックスできる音楽を聴いたり、ぬるめのお風呂に入ったり、ストレッチをしたりして心身を落ち着かせましょう。
- 昼寝: 短時間(20~30分程度)の昼寝は午後の疲労回復に有効ですが、夕方以降の長い昼寝は夜の睡眠を妨げる可能性があります。
バランスの取れた食事と栄養摂取
体に必要なエネルギーと栄養素をしっかり摂ることが、疲労回復の土台となります。
- 3食を規則正しく: 欠食せず、毎日決まった時間に食事を摂りましょう。
- バランス: 炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランス良く摂ることが大切です。野菜、果物、穀物、肉、魚、大豆製品、乳製品などを組み合わせて食べましょう。
- 特に意識したい栄養素:
- ビタミンB群: エネルギー代謝に関わり、疲労回復を助けます(豚肉、レバー、魚、玄米など)。
- 鉄分: 貧血予防に重要。酸素運搬に関わります(赤身肉、レバー、ほうれん草、ひじきなど)。
- マグネシウム: 筋肉や神経の機能に関わり、エネルギー産生を助けます(海藻、大豆製品、ナッツ類など)。
- タンパク質: 体の組織を作り、修復します(肉、魚、卵、大豆製品など)。
- 水分補給: 脱水は疲労感を増悪させます。こまめに水分を摂りましょう。
- カフェインやアルコール: 過剰な摂取は睡眠を妨げたり、自律神経を乱したりする可能性があります。適量を心がけましょう。
適度な運動を取り入れる
疲れている時に運動、と思うかもしれませんが、適度な運動は血行を促進し、自律神経を整え、ストレス解消にもつながります。
ただし、無理は禁物です。
- 軽い運動から: ウォーキングやストレッチ、軽いジョギングなど、無理なく続けられる有酸素運動から始めましょう。
- 継続が大切: 毎日少しずつでも良いので、継続することで体力がつき、疲労を感じにくくなります。
- 時間帯: 毎日同じ時間に行うことで、生活リズムを整える効果も期待できます。就寝直前の激しい運動は避けましょう。
ストレスマネジメント
慢性的な疲労感には、精神的なストレスが大きく関わっています。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、定期的に実践することが大切です。
- リラクゼーション: 瞑想、深呼吸、ヨガ、アロマセラピー、ぬるめのお風呂など、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。
- 趣味や楽しみ: 好きなこと、楽しいと感じることに時間を使うことは、気分転換になりストレス軽減につながります。
- 誰かに相談する: 抱え込まず、家族や友人、職場の同僚など、信頼できる人に話を聞いてもらうことも有効です。
- 考え方の転換: 物事の良い面に目を向けたり、完璧主義を手放したりするなど、考え方を少し変えることもストレス軽減につながります。
専門的な治療やケア
セルフケアだけでは改善しない場合や、慢性的な疲労感の原因に病気が関わっている可能性がある場合は、専門家による治療やケアが必要です。
- 医療機関での検査・診断: 医師による問診や身体診察、血液検査、画像検査などを行い、疲労感の原因となっている病気がないか調べます。貧血、甲状腺機能障害、糖尿病などが発見されれば、その疾患に対する治療を行います。
- 薬物療法: 原因となっている疾患がある場合は、その疾患に対する薬が処方されます。原因が特定できない慢性的な疲労感に対しては、対症療法として、漢方薬やビタミン剤、自律神経調整薬などが検討されることもあります。
- 認知行動療法: 特に慢性疲労症候群や精神的な原因が関わる疲労に対して有効な場合があるとされています。疲労に対する考え方や行動パターンを見直し、症状の緩和を目指します。
- 運動療法: 専門家の指導のもと、段階的に運動量を増やしていくプログラムが行われることがあります。
- 休養指導: 医師や専門家から、病状に合わせた適切な休養の取り方や、活動レベルの調整に関するアドバイスを受けることができます。
慢性的な疲労感の治療は、原因の特定から始まり、複数のアプローチを組み合わせることが一般的です。
自己判断せず、必ず専門家の指示に従いましょう。
慢性的な疲労感で病院に行く目安
単なる疲れだと思っていても、慢性的な疲労感が長く続く場合は、何らかの病気が隠れていたり、専門的な介入が必要な状態である可能性があります。
以下のような症状がある場合は、医療機関を受診することを検討しましょう。
どんな症状があれば受診すべきか
慢性的な疲労感に加えて、以下のような症状が見られる場合は、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
- 疲労感が半年以上続いている
- 十分な休息や睡眠をとっても疲労感が改善しない
- 以前は楽にできていた日常生活の活動(仕事、家事、趣味など)が困難になった
- 体重が急に減った、あるいは増えた
- 微熱が続く(37℃台前半でも)
- のどの痛みやリンパ節の腫れが続く
- 頭痛、筋肉痛、関節痛が頻繁にある
- 息切れや動悸を感じることが増えた
- 立ちくらみやめまいがある
- ひどい便秘や下痢が続く
- 睡眠障害(眠れない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めるなど)が続いている
- 集中力や記憶力が著しく低下した
- 気分の落ち込みが続き、何もする気が起きない
- 原因不明の湿疹や皮膚の異常がある
- 特定の薬を飲み始めてから疲労感が増した
これらの症状は、貧血、甲状腺機能障害、糖尿病、感染症、自己免疫疾患、心疾患、精神疾患など、様々な病気のサインである可能性があります。
早期に適切な診断を受けることで、適切な治療につながり、症状の改善や病気の進行予防につながります。
受診する診療科
慢性的な疲労感で病院を受診する際、どの診療科に行けば良いか迷うかもしれません。
まずは、かかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医に相談するのが良いでしょう。
全身の状態を把握しているため、適切な診療科へ紹介してもらえる可能性があります。
かかりつけ医がいない場合や、特定の症状が気になる場合は、以下を参考にしてください。
- 内科: 疲労感の最も一般的な相談先です。様々な内科疾患(貧血、糖尿病、甲状腺疾患、感染症、消化器疾患など)の可能性を調べることができます。
- 心療内科・精神科: 精神的な原因(うつ病、不安障害、ストレスなど)が疑われる場合や、睡眠障害が顕著な場合に適しています。
- 婦人科(女性の場合): 更年期障害など、女性ホルモンのバランスの乱れが原因と考えられる場合に相談します。
- 耳鼻咽喉科: のどの痛みや鼻づまりなど、耳鼻科系の慢性炎症が疑われる場合。
- 整形外科: 筋肉痛や関節痛が主な症状の場合。
複数の症状がある場合や、原因が特定できない場合は、総合診療科のある病院も良い選択肢です。
重要なのは、「これくらいで病院に行くのは大げさかな」とためらわず、まずは専門家に相談することです。
体の不調には必ず理由があります。
【まとめ】慢性的な疲労感は体のサイン、向き合いましょう
慢性的な疲労感は、単なる「気の持ちよう」や一時的なものではなく、心身からの重要なサインです。
半年以上にわたって続く疲労や倦怠感は、日常生活の質を低下させるだけでなく、様々な病気が隠れている可能性も示唆しています。
この記事では、慢性的な疲労感の定義、日常生活・身体・精神的な原因、随伴症状、そして慢性疲労症候群との違いについて解説しました。
ご自身の状態が、単なる疲れなのか、それとも慢性的な疲労感の状態なのかを見分けるための参考にしていただけたなら幸いです。
セルフケアとして、休息と睡眠の質の向上、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスマネジメントは、慢性的な疲労感の改善に有効な基本的なステップです。
しかし、これらの対策を行っても改善しない場合や、頭痛、微熱、体重減少といった他の気になる症状を伴う場合は、必ず医療機関を受診し、専門家による診断と治療を受けるようにしましょう。
慢性的な疲労感は、適切なケアと治療によって改善が見込める状態です。
一人で抱え込まず、まずはご自身の心身の状態に目を向け、必要な行動を取ることが、健康的な日常生活を取り戻すための一歩となります。
【免責事項】
この記事は、慢性的な疲労感に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療法を示すものではありません。
ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
この記事の情報によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。