動悸がして手に力が入らなくなるという症状は、突然起こると非常に不安を感じやすいものです。心臓がドキドキと速く打つのを感じたり、脈が飛んだりする動悸に加えて、手や足の力が抜けるような感覚や、思うように動かせない感覚を伴うことがあります。これらの症状が同時に現れる背景には、一時的な体の反応から、医療機関での診察が必要な病気まで、さまざまな可能性が考えられます。この記事では、動悸と手に力が入らない症状がなぜ起こるのか、考えられる原因や病気、症状が出たときの応急処置、そして医療機関を受診すべき目安や何科に行けば良いのかについて詳しく解説します。ご自身の症状に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

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動悸と手に力が入らない症状が同時に起こる原因
動悸と手に力が入らないという症状が同時に現れる原因は多岐にわたります。多くの場合、体のシステムが一時的にバランスを崩しているサインですが、中には注意が必要なケースも含まれます。ここでは、比較的よく見られる原因から見ていきましょう。
体の一時的な反応によるもの
私たちの体は、さまざまな刺激に対して自然な反応を示します。例えば、激しい運動をした後には心臓が速く打ち(動悸)、一時的に手足が疲れて力が入らないように感じることがあります。また、急に立ち上がった際に血圧が一時的に低下し、立ちくらみとともに動悸を感じたり、全身の力が抜けるような感覚になったりすることもあります。これは「起立性低血圧」と呼ばれる生理的な反応の一つです。強い驚きや恐怖を感じた際も、交感神経が過剰に働き、心拍数の増加(動悸)や、筋肉が緊張しすぎて逆に力が入りにくくなるような感覚(震えやこわばり、その後の脱力感)を伴うことがあります。これらの反応は通常、原因がなくなれば短時間で回復するのが特徴です。
ストレスや精神的な要因
現代社会において、ストレスは様々な身体症状の原因となります。精神的なストレスや強い不安を感じているとき、私たちの体は「闘争か逃走か」の反応を準備するために、交感神経を活性化させます。これにより、心拍数や血圧が上昇し、動悸を感じやすくなります。同時に、過度の緊張や不安は筋肉をこわばらせたり、血行を悪くしたりすることで、手足に十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなり、力が入りにくい、震える、しびれるといった感覚を引き起こすことがあります。試験前、大勢の前での発表、人間関係の悩みなど、精神的に追い詰められている状況では、このような症状が出現しやすい傾向があります。
自律神経の乱れ
自律神経は、心臓の動き、血圧、体温調節、消化など、私たちが意識しなくても体の機能を一定に保つ重要な役割を担っています。自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経があり、この二つのバランスが保たれていることで体は正常に機能します。しかし、ストレス、不規則な生活、睡眠不足などが続くと、このバランスが崩れて自律神経が乱れてしまいます。自律神経が乱れると、心拍数や血圧の調節がうまくいかなくなり、動悸やめまい、立ちくらみなどが起こりやすくなります。また、血流の調節も不安定になり、手足の冷えやしびれ、力が入りにくいといった症状が現れることがあります。これは「自律神経失調症」と呼ばれる状態の一部として起こることがあります。
過労や睡眠不足
体が極度に疲れていたり、慢性的な睡眠不足が続いたりしていると、体の回復機能が追いつかず、自律神経のバランスが崩れやすくなります。疲労困憊の状態では、心臓に負担がかかりやすく動悸を感じたり、全身の倦怠感とともに手足に力が入らないと感じたりすることがあります。特に、十分な休息が取れていないと、体の回復が遅れ、これらの症状が慢性化する可能性もあります。規則正しい生活や十分な睡眠は、これらの症状を予防・改善するために非常に重要です。
食事や生活習慣の影響
特定の食事や生活習慣も、動悸や手に力が入らない症状に関係することがあります。
例えば、カフェインやアルコールを過剰に摂取すると、心臓への刺激が強くなり動悸を引き起こしやすくなります。また、これらは自律神経にも影響を与えます。喫煙も血管を収縮させ、血行を悪くするため、手足のしびれや力が入りにくいといった症状につながることがあります。
急激な血糖値の変動も原因となることがあります。特に、空腹時や食事を抜いた後に血糖値が下がりすぎると(低血糖)、動悸、冷や汗、手の震え、脱力感などの症状が出ることがあります。これは、脳がエネルギー不足になり、血糖値を上げようとしてアドレナリンが分泌されるために起こる体の反応です。バランスの取れた食事を規則正しく摂ることは、血糖値の安定にもつながります。
症状の背景にある考えられる病気
動悸と手に力が入らない症状が繰り返し起こったり、特定の状況と関係なく突然現れたりする場合は、何らかの病気が隠れている可能性も考慮する必要があります。ここでは、これらの症状を引き起こす可能性のある病気について解説します。
心臓に関わる病気
動悸は、心臓の拍動に異常がある場合に多く見られる症状です。手に力が入らない症状と同時に起こる場合、以下のような心臓の病気が関係している可能性があります。
- 不整脈: 心臓の拍動のリズムや速度が乱れる状態です。頻脈(脈が速すぎる)、徐脈(脈が遅すぎる)、期外収縮(脈が飛ぶ)など様々な種類があります。不整脈によって心臓から全身への血流が一時的に滞ると、脳や手足への血流も不足し、動悸とともにめまい、立ちくらみ、脱力感、手に力が入らないといった症状を引き起こすことがあります。特に、生命に関わる重篤な不整脈の場合、意識を失ったり、突然死の原因になったりすることもあります。
- 狭心症・心筋梗塞: 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心臓の筋肉への血流が悪くなる病気です。典型的な症状は胸の痛みや圧迫感ですが、動悸、息切れ、吐き気、そして手足のしびれや脱力感を伴うこともあります。特に心筋梗塞は緊急性の高い病気であり、これらの症状が急に起こり、安静にしても改善しない場合は、速やかに救急車を呼ぶ必要があります。
血管に関わる病気
血管の異常も、全身の血流に影響を与え、動悸や手足の脱力感を引き起こす可能性があります。
- 脳貧血(迷走神経反射): 強い痛み、精神的なショック、長時間立ちっぱなしなどが原因で、迷走神経が刺激され、心拍数や血圧が急激に低下する状態です。脳への血流が一時的に減少し、めまい、立ちくらみ、冷や汗、吐き気とともに、動悸を感じたり、目の前が真っ暗になったり、力が抜けて倒れてしまったりすることがあります。これは病気というより反射的な反応ですが、繰り返し起こる場合は原因を調べる必要があります。
- 血管迷走神経性失神: 脳貧血と同様のメカニズムで起こる失神で、特定の刺激(採血、人混み、痛みなど)が引き金となります。失神の前兆として動悸、めまい、気分不良、そして手足の力が抜ける感覚を伴うことが多いです。
神経に関わる病気
神経系の病気も、動悸や手足の脱力感に関わることがあります。
- てんかん: 脳の神経細胞が異常な活動を起こし、様々な発作症状を引き起こす病気です。発作の種類によっては、意識が朦朧としたり、体の片側または両側に力が入らなくなったり、手足が震えたりすることがあります。また、自律神経の発作として動悸や発汗などを伴うこともあります。
- 多発性硬化症: 脳や脊髄の神経線維を覆うミエリン鞘が破壊される病気です。病変の場所によって様々な症状が現れますが、手足のしびれや脱力感、歩行困難などがよく見られます。自律神経の機能障害として動悸や血圧の変動などを伴うこともあります。
内分泌系の病気
ホルモンのバランスの異常も、身体の機能に影響を与えます。
- 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンは体の代謝を高める作用があるため、心拍数が増加しやすく動悸を感じやすくなります。また、手の震えや脱力感、体重減少、多汗などの症状もよく見られます。
- 糖尿病: 血糖値が高い状態が続く病気ですが、血糖値のコントロールが不安定な場合、前述した低血糖発作を起こすことがあります。低血糖の際には、動悸、冷や汗、手の震え、脱力感などが現れます。
精神的な病気(パニック障害、不安障害など)
精神的な問題が身体症状として強く現れる病気もあります。
- パニック障害: 予期しないパニック発作を繰り返す病気です。パニック発作中は、突然の強い動悸、息切れ、胸の痛み、めまい、吐き気、そして手足のしびれや震え、非現実感、死の恐怖などを伴います。発作は通常数分から30分以内に収まりますが、激しい身体症状に強い不安を感じ、再び発作が起きるのではないかという予期不安が続くことがあります。
- 不安障害: 特定の状況や対象に対して過剰な不安を感じ、それが日常生活に支障をきたす病気です。常に漠然とした不安を感じたり、特定の状況で強い不安を感じたりします。不安が高まると、動悸、息切れ、めまい、手の震え、筋肉の緊張による脱力感などの身体症状が現れることがあります。
動悸や手に力が入らない症状が出た時の応急処置
動悸がして手に力が入らない症状が突然現れたときは、まず落ち着いて対処することが大切です。以下の応急処置を試してみてください。ただし、症状が重い場合や、初めて経験する場合は無理をせず、医療機関への受診を検討しましょう。
落ち着くための行動
- 安全な場所に移動する: もし立っている最中に症状が出たら、倒れて怪我をしないよう、すぐに座るか横になりましょう。運転中や高い場所にいる場合は、安全な場所へ移動することが最優先です。
- 楽な姿勢をとる: ベルトや衣服の締め付けを緩め、体を楽にします。座っている場合は椅子に深く腰掛けたり、横になれる場所があれば横になったりすると、心臓への負担が軽減され、血流が安定しやすくなります。
- ゆっくりと深呼吸をする: 息を吸うことよりも、ゆっくりと長く息を吐くことを意識した腹式呼吸を試みましょう。鼻からゆっくり息を吸い込み、口をすぼめて(ろうそくの火を吹き消すように)時間をかけて「ふーっ」と吐き出します。これを数回繰り返すと、副交感神経が優位になり、心拍数が落ち着き、リラックス効果が得られます。
- 意識をそらす: 症状に意識を集中しすぎると、かえって不安が増強し、症状が悪化することがあります。周囲の景色を眺める、物の数を数える、音楽を聴くなど、意識を別の場所に向けるように努めましょう。
体を休める方法
- 安静にする: 体を動かさず、安静にすることが大切です。無理に活動を続けず、十分な休息をとりましょう。
- 水分を補給する: 脱水が原因となっている可能性もあるため、水をゆっくりと飲みましょう。冷たすぎない常温の水が望ましいです。カフェインやアルコールを含む飲み物は避けましょう。
- 横になる: 可能であれば、しばらく横になって体を休めます。足を少し高くすると、脳への血流が改善されることがあります。
これらの応急処置は、一時的な症状の緩和に役立ちますが、症状が続く場合や、繰り返し起こる場合は、必ず医療機関を受診して原因を調べることが重要です。
医療機関を受診すべき目安
動悸がして手に力が入らないという症状が出たとき、すべての場合にすぐに医療機関を受診する必要があるわけではありません。しかし、以下のような症状が伴う場合や、症状の頻度や経過によっては、速やかに医療機関を受診したり、救急車を呼んだりする必要があります。ご自身の症状をよく観察し、適切な判断を行いましょう。
緊急性の高い症状とは
以下の症状は、生命に関わる病気が隠れている可能性を示唆しており、緊急性の高い状況です。迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。
- 激しい胸の痛みや圧迫感: 特に、冷や汗や吐き気を伴う場合。狭心症や心筋梗塞の可能性が考えられます。
- 呼吸困難や強い息切れ: 息をするのが苦しい、十分に空気を吸えない感じがする場合。心臓や肺の重篤な病気の可能性があります。
- 意識が遠のく、失神する: 完全に意識を失って倒れてしまう、または意識が朦朧として周囲の状況が分からなくなる場合。脳や心臓の血流が著しく低下している可能性があります。
- 体の片側の麻痺やしびれ: 顔、腕、足など、体の片側に急に力が入らなくなったり、しびれが強く出たりする場合。脳卒中(脳出血や脳梗塞など)の可能性が考えられます。
- ろれつが回らない、言葉が出にくい: 急に会話が困難になる場合。脳卒中の可能性があります。
- 激しい頭痛: 今まで経験したことがないような突然の激しい頭痛の場合。脳出血やくも膜下出血の可能性があります。
- 症状が安静にしても改善しない: 休んでいても症状が治まらない場合。
症状が続く、繰り返す場合
緊急性の高い症状ではないものの、以下のような場合は医療機関を受診して相談することをお勧めします。
- 動悸や手に力が入らない症状が頻繁に起こる: 短期間に何度も症状が現れる場合。
- 症状が長時間続く: 一時的ではなく、数時間以上症状が続く場合。
- 症状によって日常生活に支障が出ている: 症状のために仕事や学業、家事などが困難になっている場合。
- 症状の原因が自分で思い当たらない: ストレスや過労など、明らかな誘因がないのに症状が現れる場合。
- 症状が徐々に悪化している: 症状の程度がだんだんひどくなっている場合。
- 他の気になる症状(体重減少、多汗、体の震えなど)を伴う場合: 内分泌系の病気などの可能性も考えられます。
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患がある方: これらの病気は心血管系の病気のリスクを高めます。
- ご自身や家族に心臓病や脳卒中の病歴がある方: 遺伝的な要因や体質も影響することがあります。
- 症状について強い不安を感じている: 症状そのものだけでなく、不安によって日常生活が制限されている場合も受診を検討しましょう。
症状が軽い場合でも、不安が強い場合は我慢せずに医療機関を受診することが大切です。
動悸や手に力が入らない症状で何科を受診すべきか
動悸がして手に力が入らないという症状が出たとき、何科を受診すれば良いか迷うことがあるかもしれません。考えられる原因によって適した診療科が異なりますが、まずはかかりつけ医や一般的な内科を受診するのが良いでしょう。
まずは内科を受診する
最初に「内科」を受診することをお勧めします。特に、かかりつけ医がいる場合は、これまでのあなたの健康状態や病歴を把握しているため、スムーズな診療につながりやすいです。
内科医は、問診(いつから、どのような状況で、どのくらいの時間、他にどんな症状があるかなど)や基本的な診察(血圧、脈拍、聴診など)を行い、症状が一時的なものか、あるいは何らかの病気が疑われるかを判断します。必要に応じて、血液検査、心電図、胸部レントゲンなどの検査を行います。これらの結果や診察に基づいて、より専門的な検査や治療が必要と判断された場合に、適切な専門科へ紹介してもらうことができます。
循環器内科
動悸が主な症状で、心臓の病気が強く疑われる場合は、「循環器内科」を受診するのが適しています。不整脈、狭心症、心筋梗塞、心不全など、心臓や血管の病気を専門とする診療科です。
循環器内科では、より詳細な心臓の検査として、ホルター心電図(24時間心電図)、心臓超音波検査(心エコー)、運動負荷心電図、心臓カテーテル検査などを行うことがあります。これらの検査によって、不整脈の種類や重症度、心臓のポンプ機能、血管の状態などを詳しく調べることができます。
精神科・心療内科
ストレス、不安、パニック発作など、精神的な要因や自律神経の乱れが強く疑われる場合は、「精神科」または「心療内科」を受診するのが適しています。
「精神科」は心の病気を専門とし、気分障害(うつ病、双極性障害)、不安障害、パニック障害、統合失調症などを扱います。
「心療内科」は、心の問題が身体症状として現れる「心身症」を主に扱います。例えば、ストレスが原因で胃潰瘍になる、頭痛が頻繁に起こる、動悸やめまいがするといった場合です。
どちらを受診すべきか迷う場合は、まず心療内科を訪れてみるのが良いでしょう。問診や心理検査などを行い、必要に応じて精神科や他の専門科へ紹介となる場合もあります。
その他の専門科
症状によっては、他の専門科が適している場合もあります。
- 神経内科: 手足の脱力感やしびれ、震えなどの神経症状が強い場合、てんかんや多発性硬化症など神経系の病気が疑われる場合は、神経内科を受診することがあります。
- 内分泌内科: 体重の急激な変化、多汗、体の震えなど、ホルモンバランスの異常が疑われる場合は、内分泌内科を受診することがあります(例:甲状腺機能亢進症など)。
- 脳神経外科: 頭痛や意識障害など、脳血管疾患が疑われる場合は、緊急で脳神経外科や救急科を受診する必要があります。
どの科を受診すれば良いか分からない場合は、まずはかかりつけ医や内科で相談し、適切な専門科へ紹介してもらうのが最もスムーズです。
まとめ:動悸と手に力が入らない症状で悩む方へ
動悸がして手に力が入らなくなるという症状は、一時的な体の反応から、注意が必要な病気まで、様々な原因で起こり得ます。多くの場合、ストレスや疲労、自律神経の乱れなどが関連していますが、心臓病、脳神経系の病気、内分泌系の病気、精神的な病気(パニック障害など)が隠れている可能性もあります。
症状が出た際は、まず落ち着いて安全な場所で安静にし、ゆっくりと深呼吸を試みましょう。しかし、症状が激しい場合、胸痛や息切れを伴う場合、意識を失いそうになる場合、体の片側に麻痺が出る場合などは、ためらわずに救急車を呼ぶなど、緊急性の高い対応が必要です。
また、症状が繰り返し起こる、長時間続く、日常生活に支障が出ている、原因が思い当たらない、他の気になる症状があるといった場合も、一度医療機関を受診して相談することをお勧めします。
最初に受診する診療科としては、まずはかかりつけ医や一般的な内科が良いでしょう。そこで詳しい問診や検査を行い、必要に応じて循環器内科、精神科・心療内科、神経内科などの専門科へ紹介してもらうことができます。
症状について一人で抱え込まず、専門家である医師に相談することが、原因の特定と適切な対処への第一歩です。不安を感じている方は、勇気を出して医療機関の扉をたたいてみてください。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。ご自身の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の判断を仰いでください。