休職期間が終わりを迎え、いよいよ職場復帰を考える際、多くの方が「復職診断書」の提出を求められます。この診断書は、単に病状が回復したことを示すだけでなく、あなたが職場環境で再び安全に働ける状態にあるかを医学的な観点から証明する重要な書類です。「どこでもらえるの?」「費用はいくらかかる?」「すぐにもらえるものなの?」など、診断書に関する疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。
この記事では、職場復帰に必要な診断書について、その目的から、もらい方、かかる期間や費用、提出時の注意点まで、あなたがスムーズに職場に戻るために知っておくべき情報を網羅的に解説します。診断書に関する疑問を解消し、安心して復職への一歩を踏み出しましょう。

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復職時の診断書とは?なぜ必要なのか
職場に円滑に復帰するためには、診断書の提出が必要となるケースが一般的です。しかし、「そもそもなぜ必要なの?」「どんな目的があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ここでは、復職診断書の基本的な役割とその必要性について詳しく見ていきます。
そもそも職場復帰に診断書は必要?
結論から言うと、法律で「復職に診断書が必須である」と明記されているわけではありません。しかし、多くの会社では就業規則などで、休職者が復職する際に医師の診断書または意見書の提出を義務付けています。
これは、会社が従業員に対して負う「安全配慮義務」に基づいています。労働契約法第5条では、使用者は、労働者が生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならないと定められています。休職していた従業員が、病状が完全に回復していない、あるいは職場環境に適応できる状態にないまま無理に復職した場合、病状が悪化したり、予期せぬ事故につながったりするリスクがあります。会社はこうしたリスクを回避し、従業員の安全と健康を守るために、診断書をもって医学的な判断を仰ぐ必要があるのです。
したがって、診断書は法的に必須ではないものの、多くの企業において安全配慮義務を果たすための実務上重要な書類として位置づけられています。提出を求められた場合は、会社のルールに従って準備を進めるようにしましょう。
診断書を提出する目的・会社が確認したいこと
会社が復職診断書の提出を求める主な目的は、休職していた従業員が安全かつ継続的に業務を遂行できる状態にあるか、医学的な根拠に基づいて確認することです。具体的には、以下のような点を診断書から読み取り、復職の可否や復職後の働き方について判断する材料とします。
- 病状の回復度: 休職の原因となった病気や怪我がどの程度回復しているか。業務遂行に支障がないレベルに達しているか。
- 就労可否の医学的判断: 現在の健康状態であれば、業務に従事することが医学的に可能か。
- 必要な配慮事項: 復職にあたって、勤務時間、業務内容、職場環境などでどのような配慮が必要か。例えば、短時間勤務からの開始、残業の制限、特定の作業の免除などが考えられます。
- 再発リスク: 病状が安定しており、再発のリスクが低いか。
- 予後: 今後の病状の見通しはどうか。
会社はこれらの情報を、休職期間中の情報、従業員本人との面談、産業医との面談結果なども総合的に判断し、最終的な復職の決定や復職支援プランの策定に活用します。診断書は、会社が適切な判断を下し、従業員が安心して働ける環境を整備するために不可欠な情報源となるのです。
復職 診断書のもらい方・取得方法
復職診断書が必要だと分かったら、次に気になるのが「どうやって手に入れるの?」ということでしょう。診断書の取得にはいくつかのステップがあります。ここでは、診断書のもらい方や主治医への依頼方法について具体的に説明します。
診断書を依頼するタイミング
診断書を依頼する適切なタイミングは、休職期間の終了が近づき、ご自身の中で「そろそろ働けそうだな」「復職したいな」という気持ちが固まってきた頃です。具体的には、休職期間満了日の1ヶ月前~2週間前を目安に主治医に相談するのが一般的です。
あまり早すぎると、その後の体調変化によって診断書の内容と実際の状態に乖離が生じる可能性があります。逆にギリギリになってしまうと、診断書の発行に時間がかかった場合に復職手続きが滞る恐れがあります。
主治医は、あなたの病状の回復具合や、日常生活での活動レベルなどを総合的に見て、復職可能かどうかを判断します。そのため、復職を希望する意思と現在の状態を正確に伝えることが重要です。復職希望日や会社の復職手続きに必要な書類(会社の診断書フォーマットなど)が分かっていれば、それを踏まえて相談するようにしましょう。
診断書の依頼方法・主治医への伝え方
診断書は、休職中に継続して診察を受けている主治医に依頼するのが基本です。診察の際に、以下のように具体的に伝えてみましょう。
「〇月〇日に休職期間が満了するため、職場復帰を希望しています。復職にあたり、会社から診断書の提出を求められていますので、診断書を作成していただけますでしょうか。」
このとき、単に診断書が欲しいと伝えるだけでなく、以下の情報を補足すると、主治医がよりスムーズに診断書を作成しやすくなります。
- 復職を希望する時期: 具体的な復職希望日や、休職期間満了日を伝えます。
- 現在の体調や症状: 休職前と比較して、体調がどのように回復したか、具体的な症状がどれくらい改善したかを伝えます。復職後の勤務に耐えられそうだと感じる点や、まだ少し不安な点なども正直に伝えると良いでしょう。
- 復職後の働き方の希望: フルタイムでの復帰か、短時間勤務からの開始を希望するかなど、復職後の働き方について希望があれば伝えます。会社との間で話し合っている復職計画案があれば、それを共有するのも有効です。
- 会社から求められている診断書の内容: 会社から特定のフォーマットが指定されているか、あるいは記載してほしい内容(例:「フルタイム勤務可能」「残業可能」「〇時間程度の勤務が必要」など)のリクエストがあれば、それを主治医に伝えます。会社の担当者から診断書について何か指示を受けている場合は、その内容も共有しましょう。
主治医は、これらの情報と診察の結果を総合的に判断して、診断書を作成します。遠慮せずに、ご自身の状況や希望を具体的に伝えるようにしましょう。
会社のフォーマットと医療機関のフォーマット
復職診断書には、大きく分けて「会社の指定するフォーマット」と「医療機関(病院やクリニック)独自のフォーマット」の2種類があります。
- 会社の指定するフォーマット: 会社が従業員の復職判定に必要な情報を効率的に得るために独自に作成した診断書様式です。休職期間、病名、病状の回復度、就労の可否、必要な配慮事項などが項目として設けられていることが多いです。会社からこのフォーマットを受け取った場合は、診察時に忘れずに主治医に渡し、これに記入してもらうよう依頼します。
- 医療機関独自のフォーマット: 病院やクリニックが一般的に発行している診断書様式です。病名、病状、今後の見込みなどが記載されることが一般的ですが、復職に特化した詳細な項目がない場合もあります。会社から特定のフォーマットの指定がない場合は、医療機関のフォーマットで問題ありません。ただし、会社から「就労可能かどうか」「必要な配慮事項」などを明確に記載してほしいと依頼されている場合は、診察時に主治医にその旨を伝え、追記をお願いする必要があります。
どちらのフォーマットを使用する場合でも、会社が必要とする情報が診断書に記載されているか確認することが重要です。特に会社のフォーマットがある場合は、必ずそれを持参し、主治医に記入してもらいましょう。
主治医が復職診断書を書かない・認めない場合の対策
誠実に復職したい意思を伝えたにも関わらず、主治医が復職診断書の作成を拒否したり、復職を認めない判断をしたりするケースもゼロではありません。これにはいくつかの理由が考えられます。
- 医学的に見て、まだ復職できる状態ではない: 主治医があなたの体調や病状を総合的に判断し、現時点での復職は病状悪化や再発のリスクが高いと判断した場合です。主治医はあなたの健康を第一に考えていますので、その判断には従うべきでしょう。無理な復職はかえって回復を遅らせる原因にもなりかねません。
- 復職後の働き方のイメージが主治医に伝わっていない: 会社との間で話し合っている復職計画(短時間勤務、業務内容の変更など)が具体的に主治医に伝わっていない場合、主治医は休職前の働き方を想定して「まだ無理だ」と判断することがあります。会社の復職支援制度や復職計画案を具体的に主治医に説明することで、主治医の判断が変わる可能性があります。
- 主治医が復職判定に慣れていない: 専門医によっては、病気の治療は専門でも、労働に関する医学的な判断(就労可否や必要な配慮)に慣れていない場合もあります。
主治医が診断書を書かない、あるいは復職を認めない判断をした場合の対策としては、以下のようなものが考えられます。
- 主治医に判断の根拠を詳しく尋ねる: なぜ復職が難しいのか、具体的にどのような点が回復していないのかを詳しく尋ねてみましょう。具体的な課題が分かれば、今後の療養方針も見えやすくなります。
- 会社の復職支援制度や復職計画案を具体的に共有する: 会社との間で話し合っている復職後の働き方について、短時間勤務、特定の業務からの外れること、休憩時間の確保など、具体的な配慮事項を主治医に説明し、その働き方であれば可能かどうかを再検討してもらいます。
- 産業医の意見を仰ぐ: 会社に産業医がいる場合は、産業医面談の機会を設けてもらい、主治医の診断書(あるいは診断内容の概要)と会社の状況、あなたの希望を伝えて、産業医から主治医への情報提供や意見交換を依頼することを検討します。産業医は労働者の健康管理と会社の状況双方を理解しているため、主治医の判断の参考となる助言を行うことができます。
- 別の医師のセカンドオピニオンを聞く: どうしても主治医の判断に納得がいかない場合や、主治医が復職判定自体に消極的な場合は、労働問題や精神科のリワークに詳しい別の医師の意見を聞く(セカンドオピニオン)ことも選択肢の一つです。ただし、これはあくまで最終手段であり、主治医との信頼関係を損なわないよう慎重に検討する必要があります。
大切なのは、主治医、会社(人事、産業医)、そしてあなた自身の三者が連携を取りながら、あなたの健康状態に基づいた無理のない復職を目指すことです。
復職 診断書にかかる時間(期間)と「すぐもらえる」ケース
診断書を依頼してから受け取るまで、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。復職希望日に間に合うか心配な方もいるかもしれません。ここでは、診断書の発行にかかる一般的な期間と、「すぐもらえる」ケース、そして間に合わない場合の対処法について解説します。
診断書の発行にかかる一般的な期間(何日かかるか)
復職診断書の発行にかかる時間は、医療機関によって、また依頼する診断書の内容によって大きく異なります。一般的には、依頼してから受け取るまで数日~1週間程度を見ておくのが無難です。
時間がかかる主な理由としては、以下のようなものがあります。
- 医師の診察・判断: 診断書作成には、医師が患者の現在の病状や回復度を診察し、就労の可否や必要な配慮事項などを医学的に判断する時間が必要です。
- 事務手続き: 医師が診断書を作成した後、医療機関の事務部門での書類作成、確認、封入などの手続きが必要になります。
- 医師の忙しさ: 医師は日々多くの患者を診察しており、診断書作成はその合間に行われる業務です。依頼が集中していたり、担当医が不在だったりする場合は、通常よりも時間がかかることがあります。
特に、会社の指定する詳細なフォーマットへの記入を依頼する場合や、病状や経過が複雑で記載に時間を要する場合は、1週間以上かかる可能性も考慮しておきましょう。余裕を持って依頼することが、復職手続きをスムーズに進めるための鍵となります。
「すぐもらえる」のはどんなケース?
一方で、依頼したその日や翌日など、比較的「すぐもらえる」ケースも存在します。これは主に以下のような状況です。
- 病状が安定しており、経過が順調な場合: 病状が完全に安定しており、診察のたびに回復を確認できていて、復職に向けて特別な懸念事項がない場合です。主治医も復職が可能であるという判断が明確なため、形式的な診断書であれば比較的早く作成してもらえます。
- 簡易的な診断書の場合: 会社から特定のフォーマットの指定がなく、医療機関の一般的な書式で病状が安定していること、就労可能であることなどが簡潔に記載される場合です。
- 事前に相談・予約していた場合: 診断書作成を依頼する旨を事前に主治医や受付に伝え、予約を取っていた場合。医療機関側も準備をしてくれるため、スムーズに対応してもらえることがあります。
- 小規模なクリニックなど: 大病院に比べて患者数が少なく、事務手続きも迅速な小規模なクリニックの場合、発行が早い傾向があります。
ただし、「すぐもらえる」かどうかは医療機関の方針やその時の状況に大きく左右されます。必ず事前に、診断書の発行にどれくらいかかるかを確認しておくようにしましょう。
診断書が「間に合わない」場合の対処法
復職希望日が迫っているのに、診断書の発行が間に合わないという事態に直面することもあるかもしれません。そのような場合は、慌てずに会社に相談することが大切です。
- まずは会社に連絡する: 診断書の発行が復職希望日までに間に合わない見込みであることを、速やかに会社の人事担当者や上司に連絡し、状況を説明します。いつ頃提出できる見込みか分かれば、それも伝えます。
- 提出期限の延長をお願いする: 診断書の発行遅延により、提出期限の延長が可能か会社に相談します。多くの会社では、やむを得ない事情であれば期限延長を認めてくれることが多いです。
- 診断書以外の書類で代替できないか相談する: 会社によっては、正式な診断書が発行されるまでの間、主治医からの「意見書」や「病状報告書」などで一時的に代替することを認めてくれる場合があります。例えば、診察の際に主治医に「復職は可能である」「〇月〇日から△△(短時間勤務など)であれば勤務できる」といった内容を記載した簡単な書面を作成してもらい、それを会社に提出することを検討します。ただし、これは会社の判断によりますので、必ず事前に会社に確認が必要です。
- 復職日を延期することも検討する: どうしても診断書が間に合わず、かつ会社が代替書類での対応を認めない場合は、残念ながら復職日を延期せざるを得ない可能性もあります。これも会社とよく相談して決定しましょう。
診断書は復職手続きにおいて重要な書類ですが、発行に時間がかかる場合があることを理解し、早めに準備を進めること、そして何か問題が発生したら速やかに会社と連携を取ることが重要です。
復職 診断書の料金・費用相場
診断書の発行には費用がかかります。健康保険は適用されないため、全額自己負担となります。ここでは、復職診断書の料金相場や、費用負担について解説します。
診断書費用の相場
復職診断書の費用は、医療機関によって自由に設定できるため、価格に幅があります。一般的に、1通あたり3,000円から10,000円程度が相場です。
費用に差が出る要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 医療機関の種類: 大学病院や総合病院などの大病院は、一般的に診療費だけでなく診断書などの文書料も高めに設定されている傾向があります。クリニックの方が比較的安いことが多いです。
- 診断書の内容: 会社の指定する詳細なフォーマットへの記入や、複雑な病状について詳細な記載が必要な診断書は、医師が時間をかけて作成する必要があるため、費用が高くなる傾向があります。医療機関独自の簡易的な診断書であれば、費用は抑えられます。
- 医療機関ごとの規定: 医療機関ごとに文書料の規定が異なるため、同じ内容の診断書でも病院によって価格が異なります。
依頼する前に、受付や文書担当部署に「復職診断書をお願いしたいのですが、費用はいくらですか?」と確認しておくと安心です。
以下に、診断書の種類と一般的な費用相場をまとめた表を示します。
診断書の種類 | 記載内容の例 | 費用相場(目安) |
---|---|---|
一般的な診断書 | 病名、現在の病状、今後の見込みなど。簡単な就労可否の記載にとどまる場合が多い。 | 3,000円~5,000円 |
復職診断書(会社のフォーマットなど) | 病名、病状回復度、就労可否(フルタイム/短時間など)、必要な配慮事項(業務内容制限、残業制限など)、再発リスク、予後など、復職判定に必要な項目を詳細に記載。 | 5,000円~10,000円 |
意見書、証明書 | 診断書よりも簡易的な書式で、特定の事実(例:〇月〇日まで入院していた、〇月〇日から通院中であるなど)や医師の簡単な意見を記載したもの。 | 2,000円~5,000円程度 |
※上記の費用はあくまで一般的な目安であり、医療機関によって異なります。
診断書費用は誰が負担する?
診断書の発行費用は、原則として診断書を必要とする本人(従業員)が負担します。これは、診断書が個人の求めに応じて作成される書類であり、健康保険の適用対象外であるためです。
ただし、会社の就業規則や労使協定などで、復職時の診断書費用を会社が負担する、あるいは一部補助するという規定が設けられている場合もあります。不安な場合は、会社の就業規則を確認したり、人事担当者に問い合わせてみましょう。
また、診断書の発行費用は医療費控除の対象にはなりません。
復職 診断書を提出するタイミングと注意点
診断書が無事に入手できたら、次に会社への提出です。提出するタイミングや、会社との連携、診断書の内容確認など、いくつか注意すべき点があります。
診断書を提出する適切なタイミング
復職診断書を会社に提出する最も適切なタイミングは、復職面談の前です。
多くの会社では、休職者が復職する前に、本人、上司、人事担当者、産業医などが参加する復職面談を実施します。この面談は、あなたの現在の健康状態、復職後の働き方、必要な配慮などについて話し合い、安全な復職が可能か最終的な判断を下すための重要な機会です。
復職面談の前に診断書を提出しておくことで、会社側は面談までに診断書の内容を確認し、あなたの健康状態や主治医の医学的な意見を把握することができます。これにより、面談がよりスムーズに進み、あなたの状態に合わせた具体的な復職計画を話し合うことが可能になります。
具体的には、復職面談の数日前、あるいは遅くとも面談の当日までに提出するのが望ましいでしょう。会社から提出期限を指定されている場合は、その期限を守るようにしてください。
診断書提出時の会社との連携方法
診断書を提出する際は、単に書類を渡すだけでなく、会社との連携を密にすることが重要です。
- 提出先を確認する: 診断書の提出先は、一般的に人事部や総務部などの担当部署、あるいはあなたの直属の上司です。事前に誰に提出すれば良いか確認しておきましょう。
- 手渡しまたは郵送: 会社の指示に従い、手渡しまたは郵送で提出します。個人情報が含まれる重要な書類ですので、郵送の場合は簡易書留など追跡可能な方法を利用するとより安心です。
- 診断書の内容について補足する: 診断書に記載されている内容について、ご自身で補足しておきたい点や、会社に特に伝えたい要望(例:診断書に記載された配慮事項について、具体的にどのような業務で配慮が必要かなど)があれば、口頭や別途書面で伝えると、会社側の理解が深まります。
- 復職面談の準備: 診断書の内容を踏まえ、復職面談で具体的にどのようなことを話したいか整理しておきましょう。診断書に記載された配慮事項について、会社としてどのように対応可能か、具体的な業務への影響などを話し合うことになります。
会社と良好なコミュニケーションを取りながら、診断書を復職に向けた話し合いの出発点として活用することが大切です。
復職診断書の内容で注意すべき点(書き方・例文など)
診断書の内容は、復職の可否や復職後の働き方を左右する重要な情報です。受け取ったら、以下の点を確認しておきましょう。
- 病名と現在の病状: 休職の原因となった病名が正確に記載されているか。現在の病状が具体的に、かつ分かりやすく記載されているか。
- 就労の可否: 最も重要な項目です。「就労可能」「就労可能だが一定の配慮が必要」「就労不可」など、医師の明確な判断が記載されているか確認します。「要相談」など曖昧な表現の場合、会社が判断に困る可能性があります。
- 必要な配慮事項: 短時間勤務(1日〇時間、週〇日など)、残業・休日出勤の制限、特定の業務(肉体労働、精神的負荷の大きい業務など)からの外れること、休憩時間の確保、通勤方法に関する配慮など、復職にあたって具体的にどのような配慮が必要か、可能な限り詳細に記載されているか確認します。具体的な時間や期間が記載されていると、会社は対応しやすくなります。
- 病状の安定度と再発リスク: 病状が安定しており、近い将来に再発する可能性が低いと判断されているか。
- 予後: 今後の病状の見通しについて記載されているか。
もし、診断書の内容に不明な点がある場合や、会社の要望と異なっている点がある場合は、提出前に主治医に相談し、必要に応じて追記や修正を依頼しましょう。
復職診断書の記載例(イメージ)
※これはあくまでイメージです。実際の診断書は医療機関や会社のフォーマットによって異なります。
病名:適応障害
現在の病状:気分症状、不眠、倦怠感は改善傾向にあり、日常生活はほぼ支障なく送れています。
就労の可否:就労可能であるが、以下の点に配慮が必要。
必要な配慮事項:
・当面(3ヶ月程度)、1日6時間、週4日程度の短時間勤務から開始することが望ましい。
・残業および休日出勤は避けること。
・精神的な負荷が大きい対人折衝業務や緊急対応業務は当面避けること。
・休憩時間をこまめに(〇時間ごとに△分程度)確保すること。
病状の安定度:比較的安定しているが、環境変化によるストレスに注意が必要。
予後:良好な回復が期待できる。
特記事項:復職後、定期的な通院を継続し、症状のモニタリングが必要である。
このように、必要な配慮事項が具体的に記載されていると、会社は対応策を検討しやすくなります。主治医との面談時には、会社の業務内容や職場環境について具体的に伝え、どのような配慮があれば無理なく働けそうか、よく話し合うことが重要です。
復職の判断は誰がする?診断書の位置づけ
診断書は復職手続きにおいて重要な役割を果たしますが、診断書さえあれば必ず復職できるというわけではありません。最終的な復職の判断は、様々な関係者が関与し、総合的に行われます。
復職判定に関わる人たち(主治医、産業医、人事など)
復職の判断に関わる主な関係者は以下の通りです。
- 主治医: あなたの病状を最もよく理解しており、医学的な見地から「就労可能かどうか」「必要な配慮は何か」について診断書を通じて意見を述べます。主治医の意見は復職可否を判断する上で非常に重要な要素となります。
- 会社(人事担当者、直属の上司など): あなたが復職後に担当する業務内容、職場の環境、会社の復職支援制度などを把握しています。主治医の診断書や産業医の意見を踏まえ、会社の状況と照らし合わせながら、復職の可否や復職後の具体的な働き方(部署、業務内容、勤務形態など)について判断します。
- 産業医: 会社に選任されている医師で、労働者の健康管理について専門的な立場から会社に助言を行います。主治医の診断書や、あなたとの面談(産業医面談)を通じて得られた情報に基づき、医学的な見地と職場の状況を踏まえ、復職の可否や適切な就業上の措置(必要な配慮など)について会社(特に人事や上司)に意見を述べます。産業医の意見は、会社が最終的な判断を下す上で非常に重視されます。
これらの関係者が、それぞれの立場からあなたの状態、職場の状況、医学的な意見などを持ち寄り、話し合い(多くの場合、復職面談という形で行われます)を経て、復職の可否が総合的に判断されます。
診断書は復職判断の「参考資料」
ここで理解しておくべき重要な点は、主治医の診断書は、最終的な復職判断における「参考資料」であるということです。
主治医はあなたの医学的な状態を専門としていますが、会社の具体的な業務内容や職場の人間関係、雰囲気といった労働環境の詳細は必ずしも把握していません。一方、会社は職場の状況は把握していますが、あなたの医学的な状態については専門ではありません。
そのため、主治医の「就労可能」という診断書が出たとしても、会社の業務内容や環境を考慮した結果、会社側が「現時点での復職は難しい」と判断する場合や、「診断書に記載された配慮を行うことは、会社の業務体制上困難である」と判断するケースも起こり得ます。特に、精神疾患からの復職の場合は、医学的な回復だけでなく、職場への適応可能性も重要となるため、主治医の診断書に加え、産業医の意見や試し出勤制度などを活用して、より慎重に判断されることがあります。
復職判断は、主治医の医学的判断、産業医の専門的助言、そして会社の業務遂行能力や安全配慮義務の観点からの総合的な判断によって行われることを理解しておきましょう。診断書はその判断プロセスにおいて、最も重要な医学的根拠を提供する書類の一つとして位置づけられます。
まとめ:復職診断書をスムーズに入手し、職場復帰を目指そう
復職診断書は、休職からの職場復帰において非常に重要な書類です。これは単なる形式的な手続きではなく、あなたの安全と健康を守りながら、会社が安心してあなたを職場に迎え入れるために必要な医学的な根拠となります。
診断書のもらい方としては、休職期間の終わりが近づいて体調が安定してきた頃に、主治医に正直に復職の意思と現在の状況を伝えることが大切です。会社の指定フォーマットがある場合は忘れずに持参しましょう。診断書の発行には数日~1週間程度かかることが一般的ですが、病状の安定度や医療機関によっては「すぐもらえる」ケースもあります。もし間に合わない場合は、早めに会社に連絡し、提出期限の延長や代替書類での対応が可能か相談しましょう。
診断書の発行費用は原則として自己負担となり、3,000円~10,000円程度が相場です。会社の規定によっては費用を負担してくれる場合もありますので確認してみてください。
診断書を受け取ったら、記載内容に不明な点や会社に伝えたい補足事項がないか確認し、復職面談の前に会社に提出します。診断書はあくまで復職判断の参考資料であり、最終的な判断は主治医、産業医、会社が連携して総合的に行われることを理解しておきましょう。
復職診断書の準備は、復職に向けた大切なステップです。この記事で解説した情報を参考に、疑問や不安を解消し、主治医や会社と連携を取りながら、スムーズな職場復帰を目指してください。
免責事項: 本記事の情報は一般的な知識を提供するものであり、個別の状況に対する医学的アドバイスや法的アドバイスを提供するものではありません。復職診断書の手続きや内容については、必ず主治医、会社の人事担当者、産業医などの専門家にご相談ください。