厳しい夏の暑さが一段落しても、「どうも体がだるい」「やる気が出ない」と感じることがありませんか?
それはもしかしたら「8月病」かもしれません。8月病は、医学的な正式名称ではありませんが、春先に多く見られる「五月病」と同様に、夏の終わりから初秋にかけて心身の不調を表す言葉として広く認識されています。ちなみに「五月病」という言葉は、国立国会図書館の調査レポートによると、1968年の精神医学論文に初出が確認されるなど、比較的新しい言葉であることがわかります。
(国立国会図書館の調査レポート参照: https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000217467&page=ref_view)
この記事では、8月病の原因や具体的な症状、そしてつらい時期を乗り越えるための効果的な対策と予防法を詳しく解説します。夏バテとの違いや、どのような人がなりやすいのかも紹介しますので、ご自身の体調と照らし合わせながら、心身の健康を守るヒントを見つけてみてください。

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8月病とは?定義と知っておきたい基礎知識
8月病とは、夏の暑さやその後の季節の変わり目に心身のバランスを崩し、様々な不調が現れる状態を指します。特に、夏休みなどの長期休暇明けに症状が出やすいことから「8月病」と呼ばれるようになりました。倦怠感、食欲不振、無気力感、ゆううつな気分などが主な症状として挙げられます。これは、夏の間に受けた身体的な負担に加え、休暇明けの環境変化や精神的なストレスなどが複雑に絡み合って引き起こされると考えられています。
8月病はいつから?時期について
8月病という名前から8月に発症するものと思われがちですが、症状が現れやすいのは夏の暑さがピークを過ぎた頃から、9月にかけてです。具体的には、お盆明けや夏季休暇が終わって職場や学校に戻るタイミングで、心身の不調を感じ始める人が多く見られます。これは、夏の間に蓄積された疲労や、不規則になった生活リズム、そして休暇後の社会生活への適応によるストレスが重なる時期だからです。
しかし、症状の現れ方には個人差があり、真夏の猛暑が続く8月中旬から不調を感じる人もいれば、涼しくなり始めた9月下旬になってもなかなか回復しないという人もいます。重要なのは「8月になったら必ず発症する」というよりは、「夏の終わりから初秋にかけて、心身に負担がかかりやすい時期に起こりやすい不調」として理解することです。
8月病と夏バテの違い
8月病は夏バテと混同されがちですが、厳密にはいくつかの違いがあります。夏バテは、主に夏の暑さそのものによって引き起こされる身体的な不調です。高温多湿な環境への体の適応が追いつかず、体温調節機能が乱れたり、大量の汗によって水分やミネラルが失われたりすることで起こります。主な症状は、倦怠感、食欲不振、疲労感, めまい、頭痛など、身体的なものが中心です。
一方、8月病は、夏バテによる身体的な疲労に加え、精神的なストレスや生活リズムの乱れがより強く影響していると考えられます。特に長期休暇明けに発症しやすいという点が、夏バテとの大きな違いです。精神的な症状(無気力、ゆううつ感、イライラ、集中力低下)が目立つ場合も多く、身体的な症状と精神的な症状が複合的に現れるのが特徴です。
以下の表に、夏バテと8月病の主な違いをまとめました。
項目 | 夏バテ | 8月病 |
---|---|---|
主な原因 | 暑さ、湿度、水分・ミネラル不足 | 夏バテによる疲労、休暇明けのストレス、生活リズムの乱れ、自律神経の乱れ |
発症時期 | 夏の暑さが厳しい時期 | 夏の終わりから初秋(特に休暇明け) |
主な症状 | 身体的な症状が中心(倦怠感、食欲不振、めまい、頭痛など) | 身体的症状に加え、精神的症状も目立つ(無気力、ゆううつ感、イライラ、集中力低下など) |
特徴 | 暑さによる直接的な影響 | 暑さ+精神的・環境的な影響の複合 |
夏バテが身体の疲れに重点を置くなら、8月病はそれに心の疲れや環境の変化への不適応が加わった状態と言えるでしょう。
8月病の主な原因
8月病は単一の原因で起こるのではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。主な原因としては、夏の暑さによる身体への負担、長期休暇明けの環境変化やストレス、生活リズムの乱れ、そしてそれらによって引き起こされる自律神経のバランスの崩れが挙げられます。
暑さによる身体への負担
夏の猛暑は、私たちの体に大きな負担をかけます。高温多湿な環境では、体温を一定に保つために多くのエネルギーを消費します。大量の汗をかくことで、水分だけでなく体に必要なミネラルやビタミンも失われがちです。冷房の効いた室内と屋外の気温差が大きい場所を頻繁に行き来することも、体温調節機能を担う自律神経に負担をかけます。このような夏の暑さによる身体的な疲労の蓄積は、8月病の基礎的な原因となります。体力が消耗することで、他のストレス要因への抵抗力が低下してしまうのです。
長期休暇明けのストレス
夏休みやお盆休みなどの長期休暇は心身のリフレッシュには重要ですが、休暇明けには職場や学校といった社会生活への再適応が必要です。この環境の変化が、意外と大きなストレスとなることがあります。「休みモード」から「仕事・勉強モード」への切り替えがうまくいかなかったり、溜まった仕事や課題をこなさなければならないというプレッシャーを感じたりすることで、精神的な負担が増加します。特に、休暇中にしっかりと休めなかったり、逆に休みすぎたりした場合、このストレスはより大きくなる傾向があります。
生活リズムの乱れが招く疲労
長期休暇中は、普段とは異なる生活を送ることが多いでしょう。夜更かしをしたり、朝遅くまで寝ていたり、食事の時間や内容が不規則になったりすることがあります。このような生活リズムの乱れは、体内時計を狂わせ、睡眠の質を低下させます。その結果、体が十分に休息できず、疲労が蓄積します。休暇明けに急に元の規則正しい生活に戻そうとしても、体がすぐには順応できず、心身の不調として現れることがあります。不規則な生活は、次に述べる自律神経のバランスを崩す大きな要因の一つでもあります。
自律神経のバランスの崩れ
私たちの体には、活動時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経からなる自律神経があります。自律神経は、体温調節、心拍、血圧、消化、睡眠など、体の様々な機能をコントロールしています。夏の暑さ(特に寒暖差)、長期休暇明けのストレス、生活リズムの乱れといった要因は、この自律神経のバランスを簡単に崩してしまいます。
自律神経のバランスが崩れると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、体のコントロール機能に支障が出ます。これにより、疲労感、だるさ、体温調節の不調、胃腸の不調、睡眠障害など、様々な身体的な症状が現れます。また、自律神経は感情や精神状態とも密接に関わっているため、バランスが崩れることで、無気力、ゆううつ、イライラ、不安感といった精神的な症状も引き起こされやすくなります。8月病は、まさにこの自律神経の乱れが中心となって現れる不調と言えるでしょう。
8月病で現れる具体的な症状
8月病の症状は多岐にわたり、身体的なものから精神的なものまで様々です。個人によって現れる症状の種類や程度は異なりますが、一般的には以下のような症状が見られます。
精神的な症状(だるさ、無気力、憂鬱感)
8月病の特徴の一つは、精神的な不調が比較的強く現れることです。
- だるさ・倦怠感: 体が鉛のように重く感じ、一日中だるさが抜けない。朝起きるのがつらく、活動を始めるのに時間がかかる。これは、自律神経の乱れや疲労蓄積が原因と考えられます。
- 無気力・やる気の低下: 普段なら意欲的に取り組めることに対しても、全くやる気が起きない。趣味や好きなことにも興味が持てなくなり、何もしたくないと感じる。脳の活動が低下しているサインかもしれません。
- 憂鬱感・ゆううつな気分: 気分が沈み込み、悲観的な考えにとらわれやすくなる。楽しいことが楽しめず、何となく気分が晴れない状態が続く。長期休暇からのギャップやストレスが影響している可能性があります。
- イライラ・怒りっぽい: ささいなことにも腹立たしく感じたり、周囲の人に対して攻撃的になったりする。これは、ストレスや疲労による精神的な余裕のなさから生じることがあります。
- 集中力の低下・注意力の散漫: 物事に集中できず、ミスが増える。考えがまとまらず、仕事や勉強の効率が著しく低下する。脳疲労や自律神経の乱れが原因となります。
- 不安感: なんとなく落ち着かず、漠然とした不安を感じることがある。
これらの精神的な症状は、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
身体的な症状(疲労感、食欲不振、睡眠障害)
精神的な症状と並行して、様々な身体的な症状も現れます。
- 疲労感・全身の倦怠感: 十分な睡眠をとっても疲れが取れない。一日を通して体が重く、疲れを感じやすい。夏の暑さや生活リズムの乱れによる疲労の蓄積が原因です。
- 食欲不振・胃腸の不調: 食欲がわかず、食事を抜いたり、少量しか食べられなかったりする。胃がもたれる、吐き気がする、下痢や便秘といった胃腸の不調を伴うこともある。自律神経の乱れが消化器系の働きに影響を与えている可能性があります。
- 睡眠障害:
- 寝つきが悪い(入眠困難): 布団に入ってもなかなか眠りにつけない。
- 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒): 眠りが浅く、頻繁に目が覚めてしまう。
- 朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒): 起床時間よりもかなり早く目が覚めてしまい、その後眠れない。
- 眠りが浅い: 眠っていても熟睡感がなく、起きた時に疲れが取れていないと感じる。
これらの睡眠の質の低下は、疲労をさらに悪化させ、日中の不調につながります。
- 頭痛・めまい: 原因不明の頭痛が続いたり、立ちくらみやふらつきといっためまいを感じたりする。自律神経の乱れによる血行不良や血圧の変動が関与している可能性があります。
- 肩こり・首こり: 緊張やストレスによって体の筋肉がこわばり、肩や首の痛みを引き起こすことがあります。
- 動悸・息苦しさ: 心臓がドキドキしたり、息がしにくく感じたりすることがあります。これも自律神経の乱れによる症状の一つです。
- 微熱: 体温調節機能の乱れにより、だるさを伴う微熱が続くこともあります。
これらの症状が複数現れたり、長く続いたりする場合は、単なる一時的な不調として放置せず、適切な対策をとることが重要です。
8月病になりやすい人の特徴
8月病は誰にでも起こりうる可能性がありますが、特に以下のような特徴を持つ人は、心身のバランスを崩しやすく、8月病になりやすい傾向があると言われています。
真面目で責任感が強い人
真面目で責任感が強い人は、仕事や学業に対して常に一生懸命に取り組みます。夏季休暇中も仕事のことが頭から離れなかったり、休暇明けに向けて準備を念入りに行ったりすることがあります。また、休暇明けに溜まった業務や課題を完璧にこなそうと、自分にプレッシャーをかけがちです。このような性格の人は、オンとオフの切り替えが苦手で、知らず知らずのうちに心身に負担を溜め込んでしまう傾向があります。頑張りすぎてしまうがゆえに、燃え尽き症候群のような状態になり、無気力感や疲労感が強く出てしまうことがあります。
環境の変化に敏感な人
新しい環境や普段と異なる状況への適応に時間がかかる、環境の変化に敏感な人も8月病になりやすいと言えます。夏季休暇という非日常的な期間から、日常の職場や学校に戻るという変化は、彼らにとって大きなストレスとなり得ます。特に、職場の人間関係に悩みを抱えていたり、学校で苦手なクラスがあったりする場合、休暇明けの環境はより一層プレッシャーに感じられるでしょう。環境の変化に対して、不安や緊張を感じやすい人は、自律神経のバランスを崩しやすく、8月病の症状が現れやすくなります。
ストレスをうまく解消できない人
ストレスは誰でも抱えるものですが、そのストレスを適切に解消する方法を持たない人は、ストレスが心身に蓄積されてしまい、8月病のリスクを高めます。
- 感情を抑え込みやすい: 自分の感情(怒り、悲しみ、不安など)を表現するのが苦手で、心の中に溜め込んでしまう人は、内面にストレスが蓄積されやすいです。
- 趣味やリフレッシュできる時間がない: 仕事や家事に追われ、自分のための時間を持てない人は、心身を休める機会が少なく、ストレスが解消されにくいです。
- 人に相談するのが苦手: 困ったことや悩みを一人で抱え込んでしまう人は、適切なサポートを得られずに孤立し、ストレスが増大する可能性があります。
- 生活習慣が乱れがち: 睡眠不足、不規則な食事、運動不足といった生活習慣の乱れは、ストレス解消能力を低下させ、さらにストレスを溜め込みやすい体質を作ってしまいます。
これらの特徴を持つ人は、ストレスをうまく受け流したり、発散したりしたりすることが難しいため、夏の暑さや休暇明けの環境変化といったストレス要因が重なると、8月病を発症しやすくなります。自分自身の性格や傾向を理解し、意識的にストレスケアに取り組むことが重要です。
8月病の効果的な対策と改善方法
もし8月病かもしれないと感じたら、症状を改善し、心身の健康を取り戻すために積極的に対策を取りましょう。以下に、効果的な対策と改善方法を紹介します。
生活リズムを整える工夫
乱れた生活リズムを元に戻すことは、8月病からの回復に非常に重要です。
- 規則正しい起床・就寝時間: 毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。特に起床時間を一定にすることで、体内時計がリセットされやすくなります。休日も、平日との差を1~2時間以内にとどめるのが理想です。
- 朝日を浴びる: 朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。これにより体内時計がリセットされ、覚醒を促すセロトニンという神経伝達物質の分泌が活性化されます。
- 日中の過ごし方: 日中は適度に体を動かすなどして活動的に過ごし、夜には自然な眠気を誘うようにしましょう。ずっと家に閉じこもっていると、昼夜のメリハリがなくなり、体内時計が乱れやすくなります。
- お昼寝は短めに: もしお昼寝をする場合でも、20~30分程度の短い時間に留めましょう。長い昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。
食事と睡眠の改善
体の中から調子を整えるために、食事と睡眠を見直しましょう。
- バランスの取れた食事: 疲労回復や自律神経の調整には、様々な栄養素が必要です。特に、糖質の代謝を助け疲労回復を促すビタミンB群(豚肉、うなぎ、レバー、豆類など)、自律神経のバランスを整えるのを助けるカルシウムやマグネシウム(乳製品、小魚、海藻、ナッツ類など)、精神安定作用に関わるトリプトファン(乳製品、大豆製品、ナッツ類など)を意識して摂りましょう。夏バテで失われがちなタンパク質もしっかり摂取することが重要です(肉、魚、卵、大豆製品など)。
- 規則正しい食事時間: 毎日決まった時間に食事をすることで、体のリズムが整います。朝食を抜かず、3食きちんと食べるようにしましょう。
- 消化の良いものを: 食欲がない時や胃腸の調子が悪い時は、消化の良いものを少量ずつ食べましょう。冷たいものや刺激物は控えめにするのが賢明です。
- 十分な水分補給: 汗で失われた水分やミネラルを補うために、こまめに水分を摂りましょう。ただし、冷たい飲み物の摂りすぎは胃腸を冷やしてしまうので注意が必要です。常温や温かい飲み物も取り入れましょう。
- 質の良い睡眠:
- 寝室環境: 寝室は快適な温度(25~28℃程度)と湿度(50~60%程度)に保ち、騒音や光を遮断して眠りやすい環境を作りましょう。
- 寝る前の習慣: 寝る前にカフェインやアルコールを摂るのは避け、寝る1~2時間前に入浴して体を温めると、寝つきが良くなります。軽い読書や音楽鑑賞など、リラックスできる習慣を取り入れるのも効果的です。寝る直前のスマホやパソコンの使用は、脳を覚醒させてしまうため控えましょう。
適度な運動を取り入れる
軽い運動は、気分転換になるだけでなく、血行を促進し、自律神経のバランスを整える助けになります。
- 種類: ウォーキング、軽いジョギング、ストレッチ、ヨガ、水中ウォーキングなど、無理なく続けられる有酸素運動がおすすめです。
- 時間と頻度: 毎日15分~30分程度でも効果があります。週に2~3回から始めて、少しずつ増やしていくと良いでしょう。
- タイミング: 体温が上がりすぎない、比較的涼しい時間帯(早朝や夕方)に行いましょう。寝る直前の激しい運動は、体を興奮させてしまうため避けましょう。
ストレス解消法の実践
自分に合ったストレス解消法を見つけ、積極的に実践しましょう。
- リラクゼーション: 深呼吸、瞑想、アロマセラピー、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるなど、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。
- 趣味や楽しいこと: 好きな映画を見る、音楽を聴く、読書をする、絵を描くなど、自分が心から楽しめることに時間を使ましょう。
- 誰かに相談する: 信頼できる家族や友人、パートナーに悩みを話してみるだけでも、気持ちが楽になることがあります。話を聞いてもらうだけでも効果があります。
- 休暇を計画する: 近い将来に楽しみな予定を入れることも、今のストレスを乗り越えるモチベーションになります。週末の小旅行や日帰りレジャーなどを計画してみましょう。
専門機関への相談も検討
ご紹介した対策を試しても症状が改善しない場合や、症状が重くて日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まずに専門機関に相談することを検討しましょう。
- 心療内科・精神科: 気分の落ち込みが激しい、眠れない日が続く、強い不安感があるなど、精神的な症状が重い場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。専門医の診断を受け、必要に応じて薬物療法やカウンセリングを受けることができます。
- かかりつけ医: 身体的な不調が続く場合は、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。他の病気が隠れていないか確認してもらうことも重要です。
専門家のサポートを得ることは、早期回復への近道となる場合があります。決して恥ずかしいことではありません。
8月病を未然に防ぐ予防法
8月病は、夏が来る前から、そして夏の間に意識的に過ごし方を変えることで、ある程度予防することが可能です。つらい症状に悩まされないために、以下の予防法を実践してみましょう。
- 暑熱順化: 夏の暑さに体が慣れること(暑熱順化)は、自律神経の負担を減らす上で非常に重要です。梅雨明け頃から、軽い運動(ウォーキングなど)をしたり、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりして、意図的に軽く汗をかく機会を作りましょう。これにより、夏の本格的な暑さが来た時に、体がスムーズに対応できるようになります。
- 冷房の使用に注意: 猛暑日には冷房は欠かせませんが、冷やしすぎや、室内と屋外の温度差を大きくしすぎないように注意しましょう。設定温度は外気温との差を5℃以内にするのが目安です。扇風機やサーキュレーターを併用して空気を循環させると、冷房効率が上がります。寝る時も、タイマー機能を活用したり、薄着で寝たりするなどして、体を冷やしすぎない工夫をしましょう。
- こまめな水分・ミネラル補給: 喉が渇く前に、意識して水分を摂りましょう。汗をたくさんかいた時は、水だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液などでミネラル分も補給することが大切です。カフェインやアルコールは利尿作用があるため、摂りすぎには注意が必要です。
- バランスの取れた食事: 夏でも偏食せず、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。夏野菜など、旬の食材には体を冷やす効果や、水分・ビタミン・ミネラルを補給できるものが多く含まれています。食欲がない時は、スムージーやゼリー飲料、麺類など、食べやすいものでも良いので何か口にするようにしましょう。
- 十分な休息: 暑さや疲労を感じたら、無理せず休息を取りましょう。短い休憩でも心身のリフレッシュになります。日中に眠気を感じたら、20~30分程度の短い仮眠をとるのも効果的です。
- 長期休暇の過ごし方: 休暇中は完全にオフにする時間を作り、心身をしっかり休ませましょう。ただし、あまりにも生活リズムを崩しすぎると、休暇明けの反動が大きくなります。可能な範囲で、起床時間や就寝時間はある程度一定に保つように意識すると良いでしょう。休暇の終盤は、少しずつ日常のリズムに戻す準備を始めるのも効果的です。
- オンとオフの切り替え: 仕事や学業とプライベートの時間を明確に分け、意識的にオンとオフを切り替えましょう。退勤後や休日には、仕事や勉強から完全に離れて、リラックスしたり、好きなことに時間を使ったりすることが大切です。
- ストレスマネジメント: 普段から自分なりのストレス解消法を持っておき、定期的に実践しましょう。適度な運動、趣味、友人との交流、リラクゼーションなど、自分に合った方法でストレスを溜め込まないようにすることが、年間を通して心身の健康を保つ上で重要です。
これらの予防法は、8月病だけでなく、夏バテやその他の心身の不調を防ぐためにも役立ちます。夏の間に意識して取り組むことで、秋からの活動期を元気に迎える準備ができるでしょう。
まとめ:8月病と向き合い心身の健康を守る
8月病は、夏の暑さによる身体的な疲労と、長期休暇明けの環境変化や生活リズムの乱れ、それに伴う精神的なストレスが複合的に作用して引き起こされる、夏の終わりから初秋にかけて多くの人が経験しうる不調です。単なる夏バテと異なり、無気力感やゆううつ感といった精神的な症状が強く現れることも特徴です。
真面目で責任感が強い人、環境の変化に敏感な人、ストレスをうまく解消できない人などは、8月病になりやすい傾向があります。もしご自身や周囲の人がこれらの症状に心当たりがある場合は、放置せず、適切な対策を取ることが重要です。
効果的な対策としては、規則正しい生活リズムへの改善、栄養バランスの取れた食事と質の良い睡眠の確保、適度な運動の実践、そして自分に合ったストレス解消法を見つけることなどが挙げられます。症状が重い場合や長引く場合は、心療内科や精神科などの専門機関に相談することも検討しましょう。
また、8月病は予防が可能です。夏前から暑熱順化を行い、夏の間も冷房の使い方に注意し、こまめな水分補給と十分な休息を取り、そして休暇中も生活リズムの乱れを最小限にとどめるよう意識することで、発症リスクを減らすことができます。
8月病は誰にでも起こりうる、現代社会では比較的ポピュラーな不調です。ご自身の体調の変化にいち早く気づき、無理をせず、心身のケアを優先することが大切です。この記事で紹介した情報を参考に、今年の夏から秋にかけてを健康に乗り切りましょう。
【免責事項】
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個々の症状や状況については個人差があります。健康上の不安がある場合や、症状が続く場合は、必ず医師や専門家の診断を受け、適切な指導を受けてください。記事中の情報に基づいてご自身で判断・行動された結果に関して、当方はいかなる責任も負いかねます。