食べても味がしない
「最近、何を食べても味がしない」「食事が美味しく感じられなくなった」といった経験はありませんか?これまで楽しめていた食事の味が分からなくなると、不安に感じてしまいますよね。その症状は、もしかしたら「味覚障害」かもしれません。
この記事では、食べても味がしないと感じる味覚障害の主な原因から、自分でできる対処法、病院を受診する目安まで詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、適切な対応を知るための参考にしてください。

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味覚が感じられない「味覚障害」とは
味覚障害とは、味覚に何らかの異常が生じている状態の総称です。「味がしない(味覚消失)」だけでなく、「味が薄く感じる(味覚減退)」「本来の味とは違う、変な味がする(異味症)」など、症状は多岐にわたります。
食事の楽しみが失われるだけでなく、腐ったものに気づきにくくなったり、塩分や糖分を過剰に摂取してしまったりと、健康上のリスクにつながる可能性もあるため、軽視できない症状です。
味を感じる仕組み(味蕾など)
私たちはどのようにして「味」を感じているのでしょうか。味覚のプロセスは主に以下のようになっています。
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舌の「味蕾(みらい)」が味をキャッチ: 舌の表面には、味のセンサーである「味蕾」という小さな器官が多数存在します。ここで、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの基本味を感知します。
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神経を通じて脳へ伝達: 味蕾がキャッチした味の情報は、味覚神経を通じて脳に送られます。
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脳が「味」として認識: 脳に情報が届き、過去の経験や記憶、そして嗅覚からの情報(風味)と統合されることで、私たちは「美味しい」「酸っぱい」といった味として最終的に認識します。
この一連の流れのどこかに問題が生じると、食べても味がしないといった味覚障害が起こるのです。
食べても味がしない、その主な原因とは
味がしないと感じる原因は一つではありません。ここでは、代表的な原因をいくつかご紹介します。
亜鉛不足
味覚障害の最も多い原因の一つが亜鉛不足です。
味を感じるセンサーである味蕾の細胞は、非常に短い周期で新しい細胞に生まれ変わっています。この新陳代謝に不可欠な栄養素が「亜鉛」です。
亜鉛が不足すると、味蕾の機能が低下してしまい、味を感じにくくなります。偏った食生活や加工食品の多い食事、過度なダイエットなどが亜鉛不足を招くことがあります。
薬剤の副作用
服用している薬の副作用として、味覚障害が現れることがあります。特定の降圧剤、抗うつ薬、抗生物質、痛み止めなど、多くの薬剤で報告されています。
薬に含まれる成分が、亜鉛の吸収を妨げたり、味の伝達を阻害したりすることが原因と考えられています。
もし薬を飲み始めてから味がしなくなったと感じても、自己判断で服薬を中止するのは絶対にやめましょう。必ず処方した医師や薬剤師に相談してください。
病気・疾患によるもの
他の病気が原因で味覚障害が引き起こされることも少なくありません。
風邪・感染症(コロナ含む)
風邪やインフルエンザ、特に新型コロナウイルス感染症の後遺症として、味覚や嗅覚の異常が起こることが知られています。
特に鼻づまりなどで嗅覚が低下すると、食べ物の「風味」が分からなくなり、結果として「味がしない」と感じることが多くあります。
鼻や口の病気(鼻炎、舌炎、ドライマウスなど)
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鼻の病気: 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎などで鼻の通りが悪くなると、嗅覚が鈍り、味覚にも影響します。
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口の病気: カンジダ菌などによる舌の炎症(舌炎)や、唾液の分泌が減るドライマウス(口腔乾燥症)も、味が感じにくくなる原因となります。唾液は、食べ物の味成分を溶かして味蕾に届ける重要な役割を担っています。
全身の病気
糖尿病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能の低下といった全身性の疾患が、味覚障害の原因となる場合があります。これらの病気は味覚に関わる神経や代謝に影響を及ぼすことがあります。
加齢
年齢を重ねると、味蕾の数や機能が徐々に低下していきます。そのため、若い頃に比べて味が薄く感じられたり、濃い味付けを好むようになったりすることがあります。これは自然な変化の一つですが、栄養不足につながることもあるため注意が必要です。
ストレス・心因性
強い精神的ストレスや、うつ病、不安障害などが原因で味覚に異常をきたすことがあります。これを「心因性味覚障害」と呼びます。脳が味覚情報を正常に処理できなくなることで起こると考えられています。
原因不明(特発性)
様々な検査を行っても、はっきりとした原因が特定できない味覚障害もあります。これを「特発性味覚障害」と呼びます。
味がしない以外の味覚障害の種類
味覚障害には、「味がしない」以外にも様々な症状があります。
症状の種類 | 説明 |
---|---|
全体的に味が薄い・分からない (味覚減退・消失) |
すべての味が薄く感じられたり、全く分からなくなったりする状態。 |
特定の味だけ分からない (解離性味覚障害) |
甘味だけ感じないなど、特定の味覚のみが分からなくなる状態。 |
何もないのに変な味がする (自発性異常味覚) |
口の中に何もないのに、苦味や金属のような味を感じる状態。 |
食事がまずく感じる (異味症) |
本来の味とは違う不快な味に感じてしまう状態。例:甘いはずのものが苦く感じる。 |
食べても味がしない症状、いつ病院に行くべき?
症状が続く場合は、専門の医療機関に相談することが大切です。
受診を検討する目安
以下のような場合は、一度病院を受診することを強くお勧めします。
- 症状が1〜2週間以上続いている
- 急に味がしなくなり、原因に心当たりがない
- 食事を楽しめず、食欲不振や体重減少が見られる
- 他の症状(めまい、麻痺、感覚の異常など)を伴う
何科を受診すべきか
味覚障害の診療を専門としているのは、主に耳鼻咽喉科です。
舌や鼻の状態、嗅覚などを詳しく調べ、原因を特定するための検査を行ってくれます。
また、かかりつけの内科や歯科がある場合は、まずはそこで相談してみるのも良いでしょう。服用中の薬や他の病気が原因と考えられる場合は、適切な診療科を紹介してもらえます。
食べても味がしない場合の対処法・セルフケア
原因によっては、生活習慣の見直しで症状が改善することもあります。病院での治療と並行して、以下のようなセルフケアを試してみましょう。
食生活の見直し(亜鉛摂取)
味覚障害の原因で多い亜鉛不足を防ぐため、亜鉛を多く含む食品を意識的に食事に取り入れましょう。
亜鉛を多く含む食品の例
- 魚介類: 牡蠣、うなぎ、いわし
- 肉類: 牛肉(特に赤身)、豚レバー
- 豆類: 大豆製品(納豆、豆腐)、そら豆
- その他: チーズ、卵、ナッツ類
サプリメントで補う方法もありますが、過剰摂取は健康を害する可能性もあります。使用する際は、医師や薬剤師に相談の上、適切に利用しましょう。
口腔ケア
口の中を清潔に保つことも重要です。
舌の表面に付着する白い苔のような「舌苔(ぜったい)」が厚くなると、味蕾が覆われて味が感じにくくなることがあります。舌専用のブラシなどを使って、奥から手前に優しく撫でるように清掃しましょう。ただし、強くこすりすぎると舌を傷つけるので注意が必要です。
毎日の丁寧な歯磨きやうがいも、口腔環境を整える上で効果的です。
ストレスの軽減
ストレスが原因と考えられる場合は、リラックスできる時間を作ることが大切です。
- 十分な睡眠をとる
- ウォーキングなどの軽い運動を習慣にする
- 趣味に没頭する時間を作る
- ゆっくり湯船に浸かる
自分に合った方法で心と体を休ませてあげましょう。
よくある質問
Q. 味がしないのはコロナが原因?
A. 新型コロナウイルス感染症の後遺症として、味覚障害や嗅覚障害はよく見られる症状の一つです。ウイルスの影響で神経に異常が生じることが原因と考えられています。多くの場合、時間はかかっても自然に回復しますが、症状が長引く場合は耳鼻咽喉科などの専門医に相談してください。
Q. 味がしにくくなったのは風邪薬のせい?
A. 一部の風邪薬や解熱鎮痛剤の成分が、副作用として味覚に影響を与える可能性はあります。
もし薬を服用し始めてから症状が出た場合は、その薬が原因である可能性も否定できません。ただし、ご自身の判断で服用を中止せず、必ず処方した医師や薬剤師に相談し、指示を仰ぐようにしてください。
まとめ
食べても味がしないという味覚障害は、亜鉛不足や薬剤、様々な病気、ストレスなど、多様な原因によって引き起こされます。食事の楽しみを奪うだけでなく、健康上のリスクにもつながる可能性があるため、決して軽視できません。
まずは食生活や口腔ケア、ストレス管理など、自分でできるセルフケアを試してみてください。それでも症状が改善しない場合や、急に症状が現れて不安な場合は、我慢せずに耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
原因を正しく突き止め、適切な治療を受けることが、美味しい食事を取り戻すための第一歩です。
※本記事は情報提供を目的とするものであり、医学的な診断や治療に代わるものではありません。味覚に異常を感じる場合は、お早めに専門の医療機関にご相談ください。