「明日仕事に行けないかもしれない」「もう体が動かない」
朝、目が覚めたときにそう感じたとしたら、それは決して「甘え」などではありません。あなたの心や体が「これ以上は難しい」という重要なサインを送っている証拠です。その辛い状態には必ず理由があり、一人で抱え込む必要はありません。
この記事では、「仕事に行けない」と感じるあなたが抱える辛さの原因や背景を、精神的、身体的、環境的な側面から詳しく解説します。また、そんな状況から一歩踏み出すための具体的な対処法や、安心して相談できる窓口についてもご紹介します。「もう限界かもしれない」そう感じているあなたに、解決の糸口が見つかることを願っています。

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仕事に行けないのはなぜ?その辛さは「甘え」ではありません
仕事に行けない、行きたくないと感じる時、「これは自分の甘えなのかもしれない」と自分を責めてしまう方が多くいます。しかし、多くのケースでそれは甘えではなく、心身が発するSOSのサインです。
体が動かない、精神的に限界…それは重要なサインです
朝、ベッドから起き上がれない。体が鉛のように重い。頭痛や吐き気、めまいがする。会社に向かおうとすると動悸が激しくなる。仕事のことを考えると強い不安感に襲われる。これらの身体的・精神的な症状は、あなたの心や体が「これ以上無理だ」と訴えている明確なサインです。
これらのサインを無視して無理を続けることは、心身の健康をさらに損なうリスクを高めます。病気の一歩手前、あるいはすでに何らかの不調が進行している可能性も十分に考えられます。あなたの辛い状態は、放置せずに向き合うべき重要なサインなのです。
「出勤困難症」など、仕事に行けない状態には名前がある
「仕事に行けない」という状態は、近年「出勤困難症」という言葉で表現されることもあります。これは正式な病名ではありませんが、「仕事に行こうと思っても様々な要因で出勤できない状態」を指し、多くの人が経験しうる状態として認識され始めています。
また、この状態の背景には、適応障害、うつ病、不安障害などの精神疾患が隠れていることも少なくありません。これらの病気は、個人の性格や努力不足によるものではなく、脳の機能やホルモンバランスの変化、環境要因などが複雑に絡み合って発症するものです。
あなたの「仕事に行けない」という辛さは、個人的な弱さや甘えではなく、医学的・心理学的な観点から説明できる状態である可能性が高いのです。
あなたが仕事に行けない理由|考えられる原因と背景
「仕事に行けない」と感じる原因は一つではありません。様々な要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、考えられる主な原因と背景を詳しく見ていきましょう。
精神的な原因(適応障害、うつ病、不安障害など)
仕事に行けない状態の背景として、精神的な要因は非常に多く見られます。特定の状況や環境がストレスとなり、心身に不調をきたすことがあります。
- 適応障害: 特定のストレス源(職場環境、仕事内容、人間関係など)が原因で、情緒面や行動面に症状が現れます。ゆううつな気分、不安、涙もろくなる、無断欠勤、仕事でのミスが増えるなど。ストレスの原因から離れると症状が改善することが特徴です。
- うつ病: 精神的なエネルギーが低下し、抑うつ気分、興味・関心の喪失、食欲不振、不眠、倦怠感、思考力の低下などが続きます。仕事だけでなく、日常生活全般に支障が出ることが多いです。朝に症状が重く、午後になると少し楽になる「日内変動」が見られることもあります。
- 不安障害: 特定の状況や対象に対して過剰な不安を感じ、日常生活に支障をきたします。職場での発表が極度に怖い(社交不安症)、電車に乗れない(パニック障害)、漠然とした不安が続く(全般性不安障害)など、様々なタイプがあります。仕事に関連する不安が強く出ることで、出勤が困難になることがあります。
- 燃え尽き症候群(バーンアウト): 仕事への熱意が失われ、極度の疲労感、仕事への否定的な感情、職務遂行能力の低下などが特徴です。特に、真面目で責任感が強い人が、過重労働や人間関係のストレスが続いた結果、陥りやすい状態です。
これらの精神的な問題は、自覚がないまま進行していることもあります。「なんとなく気分が落ち込む」「やる気が出ない」といったサインを見逃さないことが大切です。
身体的な原因(ストレス、不眠、体調不良など)
精神的なストレスは、身体にも様々な不調を引き起こします。また、身体的な不調が精神面に影響を与えることもあります。
- ストレスによる身体症状: 頭痛、めまい、吐き気、腹痛、下痢・便秘、肩こり、動悸、息苦しさ、倦怠感などが挙げられます。これらの症状が慢性化すると、仕事に行くこと自体が身体的に困難になります。
- 不眠: ストレスや不安が原因で、寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、といった不眠が続くと、日中の集中力や判断力が低下し、心身の疲労が蓄積します。これがさらに仕事への負担感を増幅させます。
- 自律神経失調症: ストレスなどにより自律神経のバランスが崩れ、様々な身体症状が現れる状態です。病院で検査を受けても特に異常が見つからないことが多いのが特徴です。
- その他の体調不良: 風邪、発熱、怪我、または慢性的な病気など、明らかな身体的な理由で仕事に行けない場合もあります。これは当然の休みですが、心身の疲弊が背景にある場合は、回復に時間がかかることもあります。
身体の不調は、心が発するサインであることも多いです。「気のせいだ」と我慢せずに、自分の体の声に耳を傾けることが重要です。
職場環境・人間関係などの環境的な原因
特定の職場環境や人間関係が、仕事に行けない直接的な引き金となることもあります。
- ハラスメント: パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメントなどを受けている場合、職場は安全な場所ではなくなり、出勤すること自体が大きな苦痛となります。
- 長時間労働・過重労働: 休息が十分に取れないほどの長時間労働や、能力・キャパシティを超える過重な業務は、心身を疲弊させ、燃え尽き症候群や精神疾患のリスクを高めます。
- 人間関係の悩み: 上司や同僚、部下との関係性の悪化、孤立、派閥争いなどがストレスとなり、職場に居心地の悪さを感じ、出勤をためらう原因となります。
- 仕事内容への不満: 自分の希望や適性とかけ離れた業務、やりがいを感じられない仕事、単調すぎる・複雑すぎる業務なども、モチベーションの低下や精神的な負担につながります。
- 会社の文化・風土: 成果至上主義すぎる、非効率なルールが多い、コミュニケーションが不足しているなど、会社の文化や風土が合わないと感じることもストレスの原因となります。
これらの環境要因は、個人だけの努力では解決が難しい場合が多いです。周囲の協力や、時には環境を変えることも視野に入れる必要があります。
理由がわからない場合も多い
「なぜ仕事に行けないのか、自分でもよくわからない」と感じる方も少なくありません。特定の原因がはっきりしないまま、漠然とした不安や体の不調が続き、結果として出勤できなくなるケースです。
このような場合でも、心身は確実に疲弊しています。理由が分からなくても、「仕事に行けないほどつらい状態にある」という事実を受け止め、適切な休息やサポートを求めることが大切です。原因の特定は専門家と一緒に行うこともできます。
仕事に行けない状況から抜け出すための対処法
仕事に行けないと感じた時、どのように対処すれば良いのでしょうか。まずは、今すぐできることから試してみましょう。
今すぐできるセルフケア
無理に出勤しようとする前に、まずは心身を休めることを最優先に考えましょう。
- 十分な休息を取る: まずは睡眠時間を確保し、心身の疲労回復に努めましょう。可能であれば、いつもより長く眠ったり、昼寝をしたりするのも良いでしょう。
- 栄養バランスの取れた食事: 食欲がなくても、何か口にできるものを摂りましょう。ビタミンやミネラルが豊富な食材は、心身の調子を整えるのに役立ちます。無理に食べる必要はありませんが、可能な範囲で栄養を意識しましょう。
- 軽い運動: 体を動かすことは、気分転換になり、ストレス軽減効果も期待できます。散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしてみましょう。
- リラクゼーションを取り入れる: 好きな音楽を聴く、お風呂にゆっくり浸かる、アロマオイルを使う、瞑想や深呼吸をするなど、自分がリラックスできる方法を見つけて実践しましょう。
- 好きなことをする時間を作る: 仕事から完全に離れて、自分の好きなことや趣味に没頭する時間を作りましょう。読書、映画鑑賞、ゲーム、絵を描くなど、何でも構いません。
- デジタルデトックス: 仕事関連のメールやSNS、ニュースなどから距離を置き、心に安らぎを与える情報に触れましょう。
これらのセルフケアは、あくまで応急処置であり、根本的な解決にはならないかもしれません。しかし、心身の消耗を最小限に抑え、冷静に状況を判断するためのエネルギーを蓄えるためには非常に有効です。
会社への連絡方法と休み方
仕事に行けない場合、会社への連絡は避けられません。しかし、連絡すること自体が大きな負担に感じられることもあります。
連絡を入れるタイミングと伝え方
- 連絡を入れるタイミング: 可能であれば、就業開始時間の前、あるいは始業時間少し前までに連絡を入れるのが一般的です。担当業務の引き継ぎなどがある場合は、より早めに連絡できると丁寧です。当日朝の体調不良であれば、始業時間直前の連絡でも仕方ありません。
- 連絡手段: 電話が最も確実ですが、体調が優れない場合はメールやチャットツールでも可能な場合があります。会社のルールを確認しましょう。
- 誰に連絡するか: 直属の上司に連絡するのが基本です。上司に繋がらない場合は、代理の人や部署の責任者に連絡しましょう。
- 伝え方: 具体的な病名や詳細な症状を伝える義務はありません。「体調不良のため、本日はお休みさせていただきます」「急な体調不良のため、出勤が難しくなりました」といった簡潔な伝え方で構いません。もし、精神的な辛さであれば、「心身の不調により」といった表現も可能です。症状が回復次第、改めて連絡を入れる旨を伝えると丁寧です。
例:「〇〇課の△△です。大変申し訳ございません。本日、体調不良のためお休みを頂きたく、ご連絡いたしました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。明日以降の出勤については、改めてご連絡させていただきます。」
休む期間や診断書について
- 休む期間: まずは一日休んで様子を見ることから始めましょう。もし、数日間の休みが必要だと感じたら、その旨を会社に相談します。最初は「本日お休みします」とだけ伝え、必要に応じて期間を延長していくのが現実的です。
- 診断書: 法律上、診断書の提出義務はありません。しかし、会社によっては就業規則で一定期間以上の欠勤に対して診断書の提出を求めている場合があります。また、診断書を提出することで、病気や不調であることの証明になり、会社側も状況を理解しやすくなります。特に、精神的な不調の場合は、診断書があることで病気として認められ、休職制度や傷病手当金などの申請が可能になることもあります。診断書が必要かどうか、会社の規定や上司と相談して確認しましょう。診断書が必要な場合は、医療機関を受診する必要があります。
無理に理由を深掘りしたり、過剰に謝罪したりする必要はありません。体調不良は誰にでも起こりうることです。
信頼できる誰かに相談する
一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうことは非常に重要です。話すだけでも気持ちが楽になることがあります。
家族や友人
身近な家族や友人に話を聞いてもらうことは、精神的な支えになります。共感してもらったり、励ましてもらったりすることで、孤立感を和らげることができます。ただし、必ずしも問題の解決に繋がるわけではありませんし、相手に過度な心配をかけてしまう可能性もあります。信頼できる相手を選び、無理のない範囲で相談しましょう。
会社の相談窓口・産業医
多くの会社には、従業員の心身の健康に関する相談を受け付ける窓口や、産業医が設置されています。
相談先 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
会社の相談窓口 | 総務部や人事部、または匿名で相談できる外部機関の場合も。ハラスメントなども含む広範な相談に乗る。 | 会社内の制度や規定に詳しい。匿名で相談できる場合がある。 | 相談内容が会社に筒抜けになる懸念(匿名相談窓口以外)。担当者の知識・経験にばらつきがある可能性。 |
産業医 | 会社に所属または契約している医師。従業員の健康管理や労働環境改善について専門的な助言を行う。 | 医療の専門家として、心身の状態を医学的な視点から判断・助言してくれる。会社への配慮事項を提案してくれることも。 | 会社の立場でもあるため、完全に中立ではない可能性。面談の予約が必要。 |
これらの窓口は、会社の中にありながらも、一定の守秘義務があります(ただし、緊急性がある場合などを除く)。特に産業医は、あなたの健康状態を医学的に評価し、会社側に業務軽減や休職などの配慮を求める提言をしてくれる可能性があります。
専門機関(心療内科・精神科など)
心身の不調が続いたり、日常生活に支障が出ている場合は、専門機関への相談を強く検討しましょう。
相談先 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
心療内科・精神科 | 心の不調や精神疾患を専門とする医療機関。医師による診断、薬物療法、カウンセリングなどを行う。 | 医学的な診断を受けられる。必要に応じて薬物療法で症状を和らげられる。診断書を発行してもらえる。 | 受診に抵抗を感じる人がいる。予約が取りにくい場合がある。合う医師を見つけるのに時間がかかることも。 |
カウンセリング | 臨床心理士や公認心理師などによる心理療法。対話を通じて問題解決や自己理解を深める。 | 自分の気持ちや考えを整理できる。問題への対処スキルを身につけられる。薬を使わずにケアできる。 | 保険適用外の場合が多い(費用がかさむ)。効果が出るまでに時間がかかることがある。緊急性の高い対応はできない。 |
地域の相談窓口 | 保健所、精神保健福祉センターなど、公的な相談窓口。費用がかからず相談しやすい。 | 無料または低額で相談できる。専門家(保健師、精神保健福祉士など)が対応してくれる。地域の情報提供も可能。 | 予約が必要な場合が多い。相談できる時間帯が限られる。継続的な心理療法は受けられない。 |
専門機関では、あなたの状態を医学的・専門的な視点から正確に診断し、適切な治療やアドバイスを受けることができます。仕事に行けない原因が病気である場合、早期に治療を開始することが回復への近道となります。
専門機関への相談を検討すべきサイン
「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」と思ってしまうかもしれませんが、特定のサインが見られたら、早めに専門機関に相談することを強くお勧めします。
こんな症状が出たら要注意
以下の症状が続いたり、重くなったりしている場合は、専門家の助けが必要かもしれません。
- 精神的なサイン:
- ゆううつな気分がほとんど一日中、毎日続く
- これまで楽しめていたことに関心が持てなくなった
- 強い不安感や焦燥感が続き、落ち着かない
- イライラしやすく、怒りっぽくなった
- 些細なことで涙が出る、感情のコントロールが難しい
- 集中力や思考力が低下し、仕事や家事が困難になった
- 自分を責める気持ちが強い、自己肯定感が極端に低下した
- 死にたい、消えてしまいたいと考えるようになった
- 幻覚や妄想などの症状が現れた
- 身体的なサイン:
- 毎日、頭痛、めまい、吐き気、腹痛などの身体症状がある
- 疲れているのに眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がなく、体重が明らかに減った、または過食になる
- 体がだるく、何もする気力が起きない
- 動悸や息切れが頻繁に起こる
- 手足のしびれや震えがある
- 行動の変化:
- 身だしなみに気を遣わなくなった
- 人との交流を避けるようになった
- 遅刻や欠勤が増えた
- 仕事でのミスが増えた、効率が著しく低下した
- 過度に飲酒するようになった
- ギャンブルや買い物などに依存する傾向が見られる
- 身だしなみを整えなくなる
これらのサインは、心身が限界を迎えている可能性を示唆しています。「これくらいなら」「気のせいだろう」と軽視せず、「いつもと違う」と感じたら、一度専門家に見てもらうことが大切です。
病院を受診するメリット
心療内科や精神科などの専門機関を受診することには、多くのメリットがあります。
- 正確な診断: 医師があなたの状態を医学的に評価し、症状の原因を特定します。病気であれば、適切な病名がつきます。
- 適切な治療: 診断に基づき、薬物療法、精神療法(カウンセリングなど)など、あなたの状態に合った治療法が提案されます。症状を和らげ、回復を早める助けとなります。
- 安心感: 自分の状態に名前がついたり、治療法が見つかったりすることで、「どうしたらいいか分からない」という漠然とした不安が軽減されます。専門家のサポートがあるという安心感も得られます。
- 社会的なサポート: 診断書を発行してもらうことで、休職や病気休暇、時短勤務、配置転換など、会社に配慮を求める際に具体的な根拠となります。傷病手当金などの公的な支援制度を利用する際にも必要となる場合があります。
- 再発予防: 治療を通じて、自身の状態やストレスへの対処法について理解を深めることで、今後の再発予防にもつながります。
受診をためらう気持ちもあるかもしれませんが、早期の受診は早期の回復につながります。「仕事に行けない」という辛い状況から抜け出すための大きな一歩となるはずです。
仕事に行けないのは病気?甘え?よくある疑問にお答えします
「仕事に行けない」という状況に関して、多くの方が抱える疑問に専門家の視点からお答えします。
仕事に行けないのは甘えではない?
結論から言えば、「仕事に行けない」という状態のほとんどは「甘え」ではありません。医学的・心理学的に見ても、それは心身が発する重要なサインであり、病気やそれに準ずる状態である可能性が高いです。
「甘え」という言葉には、本人の意思や努力次第でどうにでもなる、というニュアンスが含まれます。しかし、適応障害やうつ病、パニック障害などの精神疾患は、脳の機能や神経伝達物質のバランスが崩れたり、極度のストレス反応として心身に異常が出たりする状態であり、本人の意思の力だけでコントロールできるものではありません。
例えば、インフルエンザで高熱が出たら、誰もそれを「甘え」とは言いません。体が病気で正常に機能しないからです。「仕事に行けない」という状態も、多くの場合、心や脳といった精神機能が正常に働かなくなっていたり、ストレス反応によって身体に異常が出たりしている状態です。
もちろん、誰にでも「今日はちょっと疲れたから休みたいな」と思う日はあるでしょう。しかし、「仕事に行けない」と感じるほどの強い苦痛や困難さは、単なる「甘えたい気持ち」とは根本的に異なります。それは、あなたの心身が「もうこれ以上は安全ではない」と警告している状態なのです。自分を責める必要は全くありません。
メンタルがつらい時、仕事を休んでもいいですか?
メンタルがつらいと感じる時、仕事を休むことは、むしろ自分を守るために非常に重要な選択です。無理をして働き続けることで、症状が悪化し、回復にさらに時間がかかってしまうリスクが高いからです。
心の不調は、体の病気と同じように、適切な休息とケアが必要です。風邪をひいたら体を休めるように、心が疲弊している時も休養は必須です。休むことに対して罪悪感を感じる必要はありません。「迷惑をかけてしまう」と心配になるかもしれませんが、無理して働いてパフォーマンスが落ちたり、さらに体調を崩したりする方が、結果的に会社に迷惑をかけることになりかねません。
正直に上司に相談し、状況を説明して休みを取りましょう。会社の規定に沿って、有給休暇を利用したり、必要であれば病気休暇や休職制度を検討したりすることも可能です。自分の心と体の健康を最優先に考えてください。
適応障害でもサボり癖ではない?
適応障害は、「サボり癖」とは全く異なります。適応障害は、特定のストレス源(職場環境、人間関係など)に対して、心身が耐えきれずに引き起こされる精神疾患です。ゆううつな気分、不安、不眠、食欲不振といった精神的・身体的な症状に加え、仕事に行けない、遅刻・早退を繰り返す、仕事でミスが増えるといった行動面の症状が現れます。
「サボり癖」は、本来やるべき仕事を意図的に怠けたり、避けたりする行動パターンを指す言葉です。これは、個人の性格やモチベーションの問題として語られることが多いですが、適応障害による出勤困難や業務遂行能力の低下は、本人の意思や怠慢によるものではなく、病気によって引き起こされる症状です。
適応障害の人は、むしろ真面目で責任感が強く、ストレスを溜め込みやすい傾向があるとも言われます。彼らは「サボっている」のではなく、病気の症状によって「サボっているように見えてしまう状態」に陥っているのです。適切な治療や環境調整を行えば、症状は改善し、再び仕事ができるようになる可能性が高いです。
ストレス限界の症状は?
ストレスが限界に達すると、心、体、行動に様々なサインが現れます。これらのサインを見逃さず、早めに対処することが非常に重要です。ストレス限界の主な症状は以下の通りです。
- 精神的な症状:
- 強い疲労感や倦怠感が取れない
- ゆううつな気分が続き、何事にも興味を持てない
- 将来に対する強い不安や絶望感
- イライラしたり、感情が不安定になったりする
- 集中力や記憶力が著しく低下する
- 自己肯定感が低下し、自分を強く責める
- 死にたい、消えてしまいたいと考えるようになった
- 幻覚や妄想などの症状が現れた
- 身体的な症状:
- 毎日、頭痛、めまい、耳鳴りが頻繁に起こる
- 胃痛、腹痛、吐き気、下痢や便秘が続く
- 肩こり、首こり、腰痛がひどくなる
- 寝付きが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまうなどの不眠
- 動悸、息苦しさ、過呼吸
- 食欲不振や過食、体重の大きな変動
- 発熱や感染症にかかりやすくなる
- 行動の変化:
- 身だしなみに気を遣わなくなった
- 人との交流を避けるようになった
- 遅刻や欠勤が増えた
- 仕事でのミスが増えた、効率が著しく低下した
- 過度に飲酒するようになった
- ギャンブルや買い物などに依存する傾向が見られる
- 身だしなみを整えなくなる
これらのサインが複数現れていたり、日常生活に支障が出ている場合は、ストレスが限界に達しているサインです。これらのサインに気づいたら、すぐに休息を取り、必要であれば専門家への相談を検討しましょう。
病院を受診するメリット
心療内科や精神科などの専門機関を受診することには、多くのメリットがあります。
- 正確な診断: 医師があなたの状態を医学的に評価し、症状の原因を特定します。病気であれば、適切な病名がつきます。
- 適切な治療: 診断に基づき、薬物療法、精神療法(カウンセリングなど)など、あなたの状態に合った治療法が提案されます。症状を和らげ、回復を早める助けとなります。
- 安心感: 自分の状態に名前がついたり、治療法が見つかったりすることで、「どうしたらいいか分からない」という漠然とした不安が軽減されます。専門家のサポートがあるという安心感も得られます。
- 社会的なサポート: 診断書を発行してもらうことで、休職や病気休暇、時短勤務、配置転換など、会社に配慮を求める際に具体的な根拠となります。傷病手当金などの公的な支援制度を利用する際にも必要となる場合があります。
- 再発予防: 治療を通じて、自身の状態やストレスへの対処法について理解を深めることで、今後の再発予防にもつながります。
受診をためらう気持ちもあるかもしれませんが、早期の受診は早期の回復につながります。「仕事に行けない」という辛い状況から抜け出すための大きな一歩となるはずです。
まとめ:仕事に行けない辛さを抱えるあなたへ
「仕事に行けない」という辛さを抱えているあなた。それは決してあなたの個人的な弱さや「甘え」ではありません。心や体が「もう無理だ」と必死に伝えている、重要なサインです。
その背景には、適応障害やうつ病といった精神的な問題、過度のストレスによる身体的な不調、あるいはハラスメントや過重労働などの職場環境の問題など、様々な原因が隠れている可能性があります。原因が自分自身ではっきりと分からない場合も、心身が疲弊しているという事実は変わりません。
この状況から抜け出すためには、まず「自分は今、つらい状態にある」ということを認め、自分を責めるのをやめることから始めましょう。そして、以下のステップを参考に、一歩ずつ回復への道を歩んでいってください。
- 自分を休ませる: まずは何よりも休息を優先し、心身のエネルギーを回復させましょう。無理に仕事に行こうとせず、体を休めることを最優先に考えてください。
- 会社に連絡する: 体調不良であることを伝え、休みを取りましょう。具体的な症状を詳しく話す必要はありません。
- 信頼できる誰かに相談する: 家族、友人、会社の相談窓口や産業医など、一人で抱え込まずに誰かに話を聞いてもらいましょう。
- 専門機関の受診を検討する: 心身の不調が続いたり、日常生活に支障が出ている場合は、心療内科や精神科などの専門医に相談しましょう。正確な診断と適切な治療を受けることが、回復への最も確実な道です。
あなたは一人ではありません。同じように苦しんでいる人はたくさんいますし、あなたをサポートしてくれる人も必ずいます。勇気を出して、助けを求めてください。あなたの心と体の健康が回復し、再びあなたらしい日々を送れるようになることを心から願っています。