なんだか体調が悪い。検査をしても特に異常は見つからないのに、つらい症状が続いている。そんな「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態は、とても不安で苦しいものですよね。
もしかしたら、その不調には、まだ気づいていない原因や、医療機関での詳しい検査が必要な可能性が隠されているかもしれません。
このつらい状況を改善するために、考えられる原因や受診の目安、そしてご自身でできるセルフケアについて、一緒に見ていきましょう。

- 当日受診OK!平日0時まで対応可能
- スマホで完結通院・待合室ゼロ
- 即日診断書発行!休職・傷病手当サポート
- うつ・適応障害・不眠など精神科対応
- 100%オンライン薬の配送まで完結
なぜ原因がわからない?体調不良が続く背景
体調が悪いと感じて医療機関を受診しても、「特に異常はありません」と言われることがあります。
これは、あなたの感じている不調が「気のせい」ということでは決してありません。医学的な検査(血液検査、レントゲン、CTなど)では捉えきれない原因や、複数の要因が複雑に絡み合っているために、一つに特定することが難しい場合があるのです。
人間の体は非常に繊細で、心と体は密接に繋がっています。ストレス、生活習慣の乱れ、環境の変化、そして時には病気の初期段階など、様々な要因が体調に影響を及ぼします。
特に、自律神経の乱れやホルモンバランスの変化などは、具体的な病気として診断されにくいにも関わらず、全身の不調を引き起こす大きな原因となり得ます。原因がわからないと感じるのは、これらの複雑な要因が関わっている可能性があるためです。
「不定愁訴」とは?原因不明の体調不良の可能性
原因がはっきりしない体調不良は、しばしば「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれます。
これは病名そのものではなく、様々な自覚症状があるにも関わらず、医学的な検査や診察では原因となる病気が見つからない状態を指します。
病気というほどではないけれど、なんとなくいつも調子が悪い。あるときは、いろいろな症状が入れ替わり立ち替わり、気になってしまうこともある……。こうした、“なんとなく不調”と呼ぶこともできる「不定愁訴」を抱えて働いている女性は、世代を問わず多いものです。(出典: 東京都女性の健康情報サイト)
不定愁訴の定義
不定愁訴は、患者さん本人が自覚するつらい症状(愁訴)があるにもかかわらず、診察や検査を行ってもその症状を合理的に説明できる身体的な病気や器質的な異常が見つからない状態を指します。
国際的に確立された明確な診断基準があるわけではありませんが、一般的に身体的な不調が複数、かつ長期間続いている場合に使われることが多い言葉です。
不定愁訴の主な症状
不定愁訴でみられる症状は非常に多岐にわたります。特定の臓器や器官に限らず、全身の様々な部位に現れるのが特徴です。例えば、以下のような症状が挙げられます。
- 全身の症状: 全身倦怠感、疲労感、微熱、だるさ、脱力感、体重の変動
- 頭部の症状: 頭痛、頭重感、めまい、立ちくらみ、ふらつき、耳鳴り、かすみ目
- 精神・神経系の症状: 不眠、寝つきが悪い、眠りが浅い、不安感、イライラ、集中力の低下、記憶力の低下、気分の落ち込み、しびれ
- 循環器系の症状: 動悸、息切れ、胸の痛み、胸部の圧迫感
- 消化器系の症状: 吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、便秘、膨満感
- 呼吸器系の症状: 喉のつかえ感、息苦しさ
- 運動器系の症状: 肩こり、首こり、腰痛、関節痛、筋肉痛
- 皮膚の症状: 汗をかきやすい、冷え、体のほてり、かゆみ
- 泌尿器・生殖器系の症状: 頻尿、残尿感、生理不順、生理痛、性欲減退
これらの症状が単独で現れることもあれば、いくつかが組み合わさって現れることもあります。また、症状の程度や現れる場所は日によって、あるいは時間帯によって変動することもあり、その予測のつかなさもつらさの一因となります。
体調不良の原因として考えられる病気や疾患
不定愁訴のように検査では異常が見つかりにくいケースがある一方で、一見原因不明に思える体調不良の裏に、まだ診断に至っていない病気が隠れている可能性もゼロではありません。特に注意したい、体調不良の原因となりうる主な病気や疾患について見ていきましょう。
内科的な病気
様々な内科的な病気が、全身倦怠感や疲労感、その他の体調不良として現れることがあります。
倦怠感が続く内科疾患(貧血、慢性心不全、慢性呼吸不全など)
- 貧血: 体内に酸素を運ぶヘモグロビンが不足し、全身に酸素が行き渡りにくくなる状態です。特に女性は月経などにより鉄欠乏性貧血になりやすく、強い倦怠感、めまい、息切れ、動悸などの症状が現れます。採血で比較的簡単に診断できます。
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの分泌が低下し、全身の代謝が悪くなる病気です。強い倦怠感、むくみ、寒がり、体重増加、便秘、気分の落ち込みなどの症状が出ます。採血で甲状腺ホルモンの値を調べることで診断できます。
- 糖尿病: 血糖値が高い状態が続く病気です。初期には自覚症状が少ないこともありますが、進行すると全身倦怠感、異常なのどの渇き、頻尿、体重減少などが見られることがあります。採血で血糖値やHbA1cを調べることで診断できます。
- 腎臓病: 腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなり、様々な症状が出ます。全身倦怠感、むくみ、食欲不振、貧血などが現れることがあります。尿検査や採血で診断します。
- 肝臓病: 肝臓の機能が低下すると、体の解毒作用や代謝機能が損なわれます。全身倦怠感が非常に特徴的な症状です。黄疸や食欲不振、むくみなどが見られることもあります。採血や画像検査で診断します。
- 慢性心不全: 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。息切れ、むくみ、疲労感が主な症状です。特に体を動かしたときに症状が出やすい傾向があります。心電図、レントゲン、心臓超音波検査などで診断します。
- 慢性呼吸不全: 肺の機能が低下し、酸素を十分に取り込めず、二酸化炭素を十分に排出できなくなる状態です。息切れや呼吸困難感が主な症状ですが、全身倦怠感を伴うこともあります。呼吸機能検査や血液ガス検査などで診断します。
- 膠原病: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、免疫の異常により全身の様々な臓器に炎症が起こる病気の総称です。発熱、関節痛、筋肉痛、皮疹に加え、全身倦怠感が非常に強く現れることがあります。採血での自己抗体検査などで診断します。
- 感染症: 慢性的な感染症(例えば、結核や一部のウイルス感染症など)が原因で微熱や全身倦怠感が続くことがあります。
これらの病気は、初期には非特異的な症状(特定の病気を示唆しない症状)として現れることが多く、「原因がわからず とにかく 体調が悪い」と感じる状態の背景にあることがあります。
精神的な原因
体と心は密接に関係しています。精神的な不調が、様々な身体症状として現れることは少なくありません。
うつ病や不安障害
- うつ病: 気分の落ち込みだけでなく、全身倦怠感、疲労感、不眠、食欲不振、頭痛、肩こりなど、様々な身体症状を伴うことが多い病気です。これらの身体症状が前面に出て、うつ病であることに気づきにくいケースも少なくありません。
- 不安障害: 過剰な不安や心配が続き、日常生活に支障をきたす病気です。パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害などいくつかのタイプがあります。動悸、息切れ、めまい、吐き気、下痢、発汗、筋肉の緊張など、自律神経症状や身体症状が強く現れることがあります。
- 適応障害: 特定のストレス(職場環境、人間関係など)が原因で、気分の落ち込みや不安、不眠、食欲不振といった心身の症状が現れ、日常生活に支障をきたす状態です。ストレスの原因から離れると症状が改善することが特徴です。
これらの精神疾患は、つらい身体症状を引き起こす一方で、検査では異常が見つからないことが多いため、「原因がわからず とにかく 体調が悪い」と感じる状態と深く関連しています。
内分泌系の疾患
ホルモンバランスの異常は、全身の様々な機能に影響を及ぼし、体調不良の原因となります。
甲状腺機能低下症/亢進症
- 甲状腺機能低下症: 上述の通り、甲状腺ホルモン不足による代謝低下が原因で、倦怠感、むくみ、寒がりなどの症状が出ます。
- 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。動悸、手の震え、多汗、体重減少、イライラ、不眠などの症状が出ます。全身が常に興奮状態にあるような感覚で、疲労感を伴うこともあります。
更年期障害
女性の場合、40代後半から50代にかけて卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで起こる様々な心身の不調を指します。のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、発汗、動悸、めまい、頭痛、肩こり、不眠、気分の落ち込み、イライラ、全身倦怠感など、不定愁訴で挙げられる多くの症状が現れます。男性にも更年期障害(LOH症候群)があり、テストステロンの低下により、疲労感、気力の低下、不眠、性欲減退などの症状が出ることがあります。
これらの女性特有の体調不良は、女性ホルモンの状態を調べることで原因がはっきりすることもあります。
睡眠障害
十分な睡眠が取れていない、あるいは睡眠の質が悪い状態は、心身の健康に大きな影響を与え、「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態を引き起こす代表的な原因の一つです。
- 不眠症: 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、ぐっすり眠った感じがしないなど、様々なタイプの不眠があります。不眠が続くと、日中の強い眠気や倦怠感、集中力の低下、イライラ、頭痛など、様々な体調不良を招きます。
- 睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中に何度も呼吸が止まったり弱くなったりすることを繰り返す病気です。自覚がないことも多いですが、睡眠の質が著しく低下するため、日中の強い眠気や全身倦怠感の原因となります。
- 周期性四肢運動障害/むずむず脚症候群: 睡眠中に手足がピクつく、あるいは安静時に足に不快な感覚があり動かしたくなる、といった症状により、睡眠が妨げられ、日中の眠気や疲労感に繋がります。
睡眠は体の回復に不可欠であり、睡眠不足や睡眠の質の低下は、自律神経やホルモンバランスの乱れにも繋がり、全身の不調を引き起こします。
自律神経の乱れと体調不良
「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態の原因として、最も可能性が高い一つが自律神経の乱れです。
自律神経は、私たちの意識とは関係なく、内臓の働き、血圧、心拍、体温、発汗などをコントロールしている神経系です。
自律神経失調症とは
自律神経失調症は、ストレスや不規則な生活などにより、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる様々な心身の不調の総称です。
自律神経は全身をコントロールしているため、バランスが崩れると、体中のあらゆる場所に症状が現れる可能性があります。
診断基準が曖昧なこともあり、他の病気が見つからない場合に「自律神経失調症でしょう」と診断されることも少なくありません。
自律神経の乱れによる身体症状
自律神経の乱れは、非常に多様な身体症状を引き起こします。不定愁訴で挙げられる症状の多くが、自律神経の乱れと関連しています。
頭痛
緊張型頭痛や片頭痛など、様々な種類の頭痛が自律神経の乱れと関連することがあります。
ストレスや疲労により自律神経のバランスが崩れると、血管の収縮・拡張のコントロールがうまくいかなくなり、頭痛を引き起こすと考えられています。
めまい・立ちくらみ
自律神経は血圧や心拍を調整しているため、そのバランスが崩れると、急に立ち上がったときに血圧が下がって立ちくらみがしたり、体の平衡感覚を司る機能にも影響してめまいを感じやすくなったりします。
特に、ふわふわする浮動性のめまいは自律神経の乱れと関連が深いとされています。
動悸・息苦しさ
自律神経は心臓や呼吸器の働きもコントロールしています。不安やストレスにより交感神経が優位になると、心拍数が上がり、動悸を感じやすくなります。
また、呼吸筋が緊張したり、過換気になったりすることで息苦しさを感じることがあります。
吐き気・腹痛・下痢
自律神経は胃腸の動きもコントロールしています。ストレスや緊張により自律神経が乱れると、胃酸の分泌が増えたり、胃腸の動きが異常になったりして、吐き気や腹痛、下痢、便秘などの消化器症状を引き起こします。
過敏性腸症候群は、ストレスや自律神経の乱れが深く関わる代表的な病気です。
その他にも、発汗異常(多汗や冷や汗)、手足の冷え、体のほてり、喉のつかえ感、頻尿なども自律神経の乱れによって引き起こされることがあります。
ストレスが原因で体調が悪い場合
現代社会では、ストレスは誰もが無関係ではいられないものです。このストレスが、私たちの心と体に大きな影響を与え、「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態の根本原因となっていることが非常に多いです。
精神的ストレス
精神的なストレスは、人間関係の悩み(家族、職場、友人)、仕事でのプレッシャー、将来への不安、過去のトラウマ、喪失体験など、様々な出来事によって引き起こされます。
これらの精神的な負担は、私たちの心に直接影響を与えるだけでなく、自律神経やホルモンバランスを介して、全身の身体症状を引き起こします。
身体的ストレス
精神的なものだけでなく、体にかかる負担もストレスとなります。睡眠不足、過労、不規則な生活リズム、病気や怪我、寒暖差などの環境の変化、騒音、光なども身体的ストレスとなります。
特に、慢性的な疲労や睡眠不足は、自律神経のバランスを崩しやすく、体調不良を招きやすい要因です。
ストレスによる体の反応
ストレスを感じると、体は「闘争か逃走か」の反応として、交感神経を活性化させます。心拍数や血圧が上がり、筋肉が緊張し、血糖値が上昇するなど、体が緊急事態に対応できるような状態になります。
しかし、この状態が慢性的に続くと、常に体に負担がかかり続け、自律神経のバランスが崩れ、様々な体調不良を引き起こします。
また、ストレスは免疫機能の低下やホルモンバランスの乱れにも繋がり、病気にかかりやすくなったり、既存の症状が悪化したりすることもあります。
「原因がわからず とにかく 体調が悪い」と感じている場合、ご自身の生活の中に隠れたストレス要因がないか、じっくりと振り返ってみることが重要です。
女性特有の体調不良の可能性
女性の体は、ライフステージや月経周期を通してホルモンバランスが大きく変動します。このホルモンバランスの変化が、女性特有の様々な体調不良の原因となることがあります。
月経周期に関連する不調(毎月 体調不良)
多くの女性が、月経前や月経中に様々な心身の不調を経験します。
- 月経前症候群(PMS): 月経開始の数日前から現れ、月経が始まると軽快する心身の不調です。イライラ、気分の落ち込み、腹痛、頭痛、むくみ、胸の張り、眠気や不眠、全身倦怠感など、症状は多岐にわたります。
- 月経前不快気分障害(PMDD): PMSの症状の中でも、特に精神症状(気分の落ち込み、不安、イライラなど)が重く、日常生活に支障をきたす状態です。
- 月経困難症: 月経中に起こる下腹部痛や腰痛が主な症状ですが、吐き気、頭痛、めまい、全身倦怠感などを伴うこともあります。
これらの不調は、月経周期に伴うホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の変動が原因と考えられています。毎月決まった時期に体調が悪くなる場合は、これらの可能性を疑ってみる必要があります。
妊娠・出産・授乳期の体調変化
妊娠中はつわり(吐き気、嘔吐、全身倦怠感)、貧血、むくみ、腰痛など、様々な体調変化が現れます。出産後は、ホルモンバランスの急激な変化、育児による睡眠不足や疲労、体の回復過程などにより、全身倦怠感、気分の落ち込み(マタニティブルーズや産後うつ)、関節痛など、心身ともに大きな負担がかかります。授乳期も睡眠不足や疲労が続きやすく、体調を崩しやすい時期です。
更年期障害(再掲)
前述の通り、40代後半から50代にかけての女性ホルモンの急激な減少は、のぼせ、発汗、動悸、めまい、頭痛、肩こり、不眠、気分の落ち込み、全身倦怠感など、非常に多様な不定愁訴を引き起こします。
この時期の体調不良は、更年期障害である可能性を強く考慮する必要があります。
これらの女性特有の体調不良は、女性ホルモンの状態を調べることで原因がはっきりすることもあります。
体調不良が続く場合にチェックすべきその他の要因
病気や自律神経の乱れ、ストレスといった主要な原因以外にも、日々の生活の中に体調不良のヒントが隠されていることがあります。ご自身の生活を振り返り、これらの要因に心当たりがないか確認してみましょう。
生活習慣
私たちの体は、日々の生活習慣に大きく影響されます。乱れた生活は、気づかないうちに体に負担をかけ、体調不良を招きます。
食事
- 栄養バランスの偏り: ビタミン、ミネラル、タンパク質、炭水化物、脂質など、体に必要な栄養素が不足したり、偏ったりすると、体の機能が正常に働かなくなり、疲労感や倦怠感、貧血(鉄分不足)など、様々な不調の原因となります。加工食品やジャンクフードばかり食べている、極端なダイエットをしているといった場合は注意が必要です。
- 食事を抜く、不規則な食事時間: 食事の時間が不規則だったり、食事を抜いたりすると、血糖値の変動が大きくなり、集中力の低下や疲労感に繋がることがあります。
- カフェインやアルコールの過剰摂取: カフェインは一時的に眠気を覚ましますが、過剰摂取は不眠や動悸、不安感を引き起こす可能性があります。アルコールも睡眠の質を低下させ、二日酔いでなくとも疲労感や消化器系の不調を招くことがあります。
運動
- 運動不足: 適度な運動は、血行を促進し、ストレスを軽減し、睡眠の質を高めるなど、体調を整える上で非常に重要です。運動不足は、筋力低下や血行不良に繋がり、肩こり、腰痛、疲労感などの原因となることがあります。
- 過度な運動: 体力を超える過度な運動は、体に大きな負担をかけ、疲労の蓄積や免疫力の低下を招き、体調を崩しやすくします。
睡眠
- 睡眠時間: 必要な睡眠時間は個人差がありますが、一般的に7〜8時間が目安とされています。慢性的な睡眠不足は、心身の機能低下を招き、全身倦怠感、集中力低下、イライラ、免疫力低下など、様々な体調不良の大きな原因となります。
- 睡眠の質: 十分な時間眠っていても、睡眠の質が悪ければ、体は十分に回復できません。寝る直前のスマホやパソコンの使用、寝室の環境(明るさ、温度、音)、カフェインやアルコールの摂取などは睡眠の質を低下させる要因となります。
環境要因
私たちは無意識のうちに、周囲の環境からも影響を受けています。
気圧や天候の変化
低気圧が近づくと頭痛や関節痛が悪化する、雨の日や湿度の高い日にだるく感じるなど、気圧や天候の変化によって体調を崩しやすい体質の方もいます(いわゆる天気痛)。これは、気圧の変化が自律神経に影響を与えることが一因と考えられています。
職場環境や人間関係
職場での長時間労働、プレッシャー、人間関係の悩み、ハラスメントなども、大きなストレス要因となり、心身の不調を引き起こします。家庭内の問題も同様に体調に影響を与えます。
これらの生活習慣や環境要因は、一つひとつは些細に思えることでも、積み重なることで大きな不調に繋がることがあります。ご自身の日常を客観的に見つめ直し、改善できる点がないか検討してみましょう。
原因がわからず体調が悪いとき、何科を受診すべき?
原因がはっきりせず、全身の様々な症状がある場合、何科を受診すれば良いのか迷ってしまう方が多いでしょう。
最初の一歩としておすすめの科と、症状に応じた専門科について解説します。
まずは内科・総合診療科へ
「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態の場合、まずは内科か総合診療科を受診するのが最も適切です。
- 内科: 風邪やインフルエンザなどの急性疾患から、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、胃腸の不調、呼吸器系の疾患など、内臓に関わる幅広い病気を診察します。全身の様々な症状に対応できるため、原因不明の体調不良の初期診断に適しています。
- 総合診療科: 患者さんの全身状態や抱えている複数の問題を総合的に診察し、適切な診断や治療、専門医への紹介を行います。特定の臓器にとらわれず、様々な症状に対応できるため、原因が特定しにくい体調不良や、複数の症状がある場合に特に適しています。
内科や総合診療科の医師は、まず問診で症状を詳しく聞き、必要に応じて血液検査、尿検査、X線検査などの基本的な検査を行います。これらの検査で明らかな異常が見つかれば、その結果に基づいて診断や治療を開始したり、必要であれば専門医(循環器内科、消化器内科、呼吸器内科など)へ紹介してくれます。
症状に応じた専門科
内科・総合診療科での初期検査で原因が特定できなかった場合や、特定の症状が特に強く現れている場合は、以下のような専門科の受診を検討します。
精神科・心療内科
精神的なストレス、気分の落ち込み、強い不安感、不眠、パニック発作など、心の問題が体調不良に深く関わっている可能性がある場合、精神科や心療内科の受診が適切です。
- 心療内科: 主に、心理的な要因が原因となって身体症状が現れる「心身症」を扱います。
- 精神科: 気分障害(うつ病、双極性障害など)や不安障害など、より幅広い精神疾患を扱います。
どちらを受診すべきか迷う場合は、まず心療内科を受診し、必要に応じて精神科へ紹介してもらうという流れでも良いでしょう。
婦人科
女性の場合、月経周期に関連する不調、更年期症状、妊娠・出産・授乳に伴う体調不良など、女性ホルモンに関連した不調が強く疑われる場合は、婦人科を受診します。
ホルモン検査や超音波検査などで診断を行い、ホルモン補充療法や漢方薬、低用量ピルなどで症状の緩和を図ります。
その他専門科
特定の症状が顕著な場合は、以下のような専門科を検討します。
主な症状 | 考えられる原因の例 | 最初に検討すべき科 | その他検討すべき科 |
---|---|---|---|
全身倦怠感、疲労感 | 貧血、甲状腺疾患、慢性疲労症候群、うつ病 | 内科、総合診療科 | 精神科・心療内科、内分泌内科 |
強い頭痛 | 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、脳の病気(稀) | 内科、総合診療科 | 脳神経内科、脳神経外科 |
めまい、立ちくらみ | 自律神経失調症、低血圧、脳神経系の問題、耳鼻科系の問題 | 内科、総合診療科 | 脳神経内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、心療内科 |
動悸、息苦しさ | 不整脈、心疾患、パニック障害、自律神経失調症 | 内科、総合診療科 | 循環器内科、精神科・心療内科 |
吐き気、腹痛、下痢 | 胃腸炎、過敏性腸症候群、ストレス、自律神経失調症 | 内科、総合診療科 | 消化器内科、心療内科 |
肩こり、体の痛み | ストレス、自律神経失調症、整形外科系の問題 | 内科、総合診療科 | 整形外科、心療内科 |
手足のしびれ | 末梢神経障害、脳や脊髄の病気、ストレス、自律神経乱れ | 内科、総合診療科 | 脳神経内科、整形外科 |
不眠が続く | ストレス、自律神経失調症、うつ病、睡眠時無呼吸症候群 | 内科、総合診療科 | 精神科・心療内科、睡眠専門外来、耳鼻咽喉科(CPAP関連) |
むくみ | 腎臓病、心臓病、甲状腺機能低下症、リンパ浮腫 | 内科、総合診療科 | 腎臓内科、循環器内科、内分泌内科 |
複数の症状が絡み合っている場合は、まず内科や総合診療科で全身を診てもらい、そこから適切な専門科への紹介を受けるのがスムーズです。
病院での検査と診断の流れ
原因がわからず体調が悪い状態で医療機関を受診した場合、どのような流れで検査や診断が進められるのでしょうか。
問診
医師はまず、患者さんの症状について詳しく聞き取ります。いつから、どのような症状が、どのくらいの頻度で、どの程度つらいのか、悪化・改善する要因はあるか、などを具体的に伝えます。
また、既往歴(過去にかかった病気や現在治療中の病気)、服用中の薬(市販薬、サプリメントなども含む)、アレルギーの有無、家族の病歴、生活習慣(睡眠、食事、運動、喫煙、飲酒)、仕事や家庭でのストレスなどについても聞かれます。
医師に症状を正確に伝えるためのポイント:
- 症状が始まった時期
- 具体的な症状の内容(例:「だるい」だけでなく、「朝起きるのがつらい」「体を動かすのが億劫」「階段を登ると息切れがする」など)
- 症状が出やすい時間帯や状況(例:「午前中が特にだるい」「生理前になると頭痛がひどい」「仕事で忙しい時期に胃が痛くなる」など)
- 症状の程度(例:「横になっていないといられないほど」「なんとか日常生活は送れるが、辛い」など)
- 自分で試したこと(休養、市販薬など)とその効果
- 現在感じている不安や困っていること
これらの情報を整理しておくと、スムーズに問診が進み、医師も診断の手がかりを得やすくなります。
一般的な検査(血液検査、尿検査など)
問診の内容に基づき、基本的な病気の可能性を調べるために、血液検査や尿検査、胸部X線検査などが行われることが一般的です。
- 血液検査: 貧血、炎症の有無、肝臓や腎臓の機能、血糖値、脂質、甲状腺ホルモンの値など、全身の様々な状態を知るための基本的な検査です。
- 尿検査: 腎臓や泌尿器系の異常、糖尿病などを調べるための検査です。
- 胸部X線検査: 肺炎や肺の病気、心臓の大きさなどを調べます。
- 心電図: 不整脈や虚血性心疾患の兆候を調べます。
これらの検査で明らかな異常が見つかれば、診断がつき、治療方針が決まります。
必要に応じた精密検査
一般的な検査で原因が見つからず、特定の病気が疑われる場合は、より詳しい精密検査が行われることがあります。
- 画像検査:
- 腹部超音波検査: 肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの異常を調べます。
- CT検査、MRI検査: 脳、胸部、腹部など、体の内部を詳細に調べます。脳の異常や腫瘍などが疑われる場合に行われます。
- 内視鏡検査: 胃や腸などの消化器の粘膜を直接観察し、炎症や潰瘍、ポリープなどを調べます。
- ホルモン検査: 特定の内分泌疾患が疑われる場合に、血液や尿中のホルモン濃度を詳細に調べます。
- 自己抗体検査: 膠原病などの自己免疫疾患が疑われる場合に行われます。
これらの検査を経て、診断が確定する場合もあれば、それでもなお身体的な異常が見つからず、不定愁訴や自律神経失調症、心身症などと診断される場合もあります。
原因が特定できない場合でも、医師はあなたの症状を和らげるための治療法(対症療法)を提案したり、生活指導を行ったりします。重要なのは、つらい状態を一人で抱え込まず、医療の専門家と一緒に解決策を探していくことです。
体調不良を改善するためのセルフケア
病院で検査を受けても原因がはっきりしない場合や、治療と並行してご自身でできることもたくさんあります。「原因がわからず とにかく 体調が悪い」状態から抜け出すために、日々の生活の中で取り入れられるセルフケアを紹介します。
生活習慣の見直し
基本的な生活習慣を整えることは、体調不良の改善に非常に重要です。
- 規則正しい生活リズム: 毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きるように心がけましょう。休日の寝坊も、普段との差を小さくするのが理想です。体内時計が整うことで、自律神経のバランスが安定しやすくなります。
- 睡眠環境: 寝室は、静かで暗く、快適な温度(一般的に18〜22℃程度)に保ちましょう。寝具も体に合ったものを選び、心地よく眠れる環境を整えることが、睡眠の質の向上に繋がります。
ストレスの軽減方法
ストレスは体調不良の大きな原因です。自分なりのストレス解消法を見つけ、積極的に実践しましょう。
- リラクゼーションを取り入れる: 深呼吸、瞑想、ヨガ、ストレッチなど、心身をリラックスさせる時間を意識的に作りましょう。
- 趣味や楽しい時間: 好きなことや夢中になれる時間を持つことは、ストレスから解放されるために非常に有効です。読書、音楽鑑賞、映画、ガーデニング、料理など、自分が楽しめることを見つけましょう。
- デジタルデトックス: 寝る前や休憩時間に、スマートフォンやパソコンから離れる時間を作りましょう。情報過多からくるストレスを軽減できます。
- 自然との触れ合い: 公園を散歩したり、森林浴をしたりと、自然の中で過ごす時間は心を落ち着かせ、リフレッシュ効果があります。
- 相談する: 一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、職場の同僚などに話を聞いてもらうことも、ストレス軽減に繋がります。専門家(医師、カウンセラーなど)に相談することも有効です。
リラクゼーションや気分転換
日々の生活の中に、意識的にリラックスできる時間を取り入れましょう。
- 入浴: 温かい湯船にゆっくり浸かることは、体の緊張をほぐし、血行を良くし、リラックス効果を高めます。好きな香りの入浴剤を使ったり、静かな音楽を聴いたりするのも良いでしょう。
- アロマテラピー: リラックス効果のある香り(ラベンダー、カモミールなど)を焚いたり、アロマオイルを数滴垂らした湯船に浸かったりすることで、心身の緊張を和らげることができます。
- 軽いストレッチやマッサージ: 体が凝り固まっていると、血行が悪くなり、体調不良を招きやすくなります。軽いストレッチや、セルフマッサージで体の緊張をほぐしましょう。
- 音楽や芸術に触れる: 好きな音楽を聴いたり、絵や写真を見たり、美術館に行ったりと、感動したり心が安らぐ時間を持つことは、気分転換になり、心の栄養となります。
適度な運動
体調が悪いときは運動する気になれないかもしれませんが、無理のない範囲で体を動かすことは、血行促進、ストレス解消、睡眠の質の向上など、体調改善に繋がります。
- ウォーキング: 毎日20〜30分程度、景色を楽しみながら歩くことは、手軽にできる有酸素運動です。
- 軽いジョギング、サイクリング: 体調に合わせて、少し負荷のかかる運動を取り入れても良いでしょう。
- 水中運動: 体への負担が少なく、無理なく行える運動です。
- ストレッチ、ヨガ、ピラティス: 体の柔軟性を高め、筋肉の緊張を和らげ、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
無理は禁物です。体調の良い日を選んで、短時間から始めて徐々に慣らしていくようにしましょう。
バランスの取れた食事
体を作る基本となる食事は、体調改善に欠かせません。
- 様々な食材から栄養を摂取: 偏りなく、主食、主菜、副菜をバランス良く食べるように心がけましょう。
- ビタミン・ミネラルを意識: 野菜、果物、海藻類、きのこ類などをしっかり摂り、ビタミンやミネラルを十分に補給しましょう。特にビタミンB群は疲労回復に、マグネシウムやカルシウムは精神安定に関わると言われています。
- タンパク質をしっかり摂る: 筋肉や臓器、ホルモンなどの材料となるタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)は、体の機能を維持するために重要です。
- 温かいものを摂る: 特に胃腸の調子が悪いときや冷えを感じるときは、温かいスープや飲み物などで体を温めましょう。
- カフェイン、アルコール、刺激物の制限: 不眠や消化器系の不調がある場合は、これらの摂取を控えめにしましょう。
十分な睡眠
睡眠は心身の疲労を回復させるための時間です。
- 寝る直前の刺激を避ける: 就寝前のカフェインやアルコール、喫煙は避けましょう。また、ブルーライトを発するスマートフォンやパソコンの画面を見るのも控えめにしましょう。
- リラックスできる習慣: 寝る前に温かい飲み物(カフェインなし)、軽い読書、アロマテラピー、ストレッチなど、リラックスできる習慣を取り入れましょう。
- 寝室を暗く、静かに: 理想的な睡眠環境を整えましょう。
これらのセルフケアは、すぐに劇的な効果が現れるものではないかもしれません。しかし、継続することで、少しずつ体調が安定し、改善に向かう可能性を高めます。焦らず、できることから一つずつ試してみてください。
まとめ:一人で抱え込まず専門家へ相談を
「原因がわからず とにかく 体調が悪い」という状態は、原因がはっきりしないことによる不安や、いつまで続くのだろうという先の見えないつらさがあり、非常に苦しいものです。不定愁訴、自律神経の乱れ、ストレス、あるいはまだ診断されていない病気など、その背景には様々な要因が考えられます。
最も大切なことは、一人で抱え込まず、専門家である医療機関に相談することです。まずは内科や総合診療科を受診し、問診や基本的な検査を通して、考えられる原因を探ってもらいましょう。必要であれば、精神科・心療内科、婦人科、あるいは他の専門科への紹介を受けることも有効です。
原因が特定できた場合は、適切な治療法があります。たとえ医学的な検査で明確な異常が見つからなくても、あなたのつらい症状を和らげるための対症療法や、生活習慣改善のアドバイスを受けることができます。自律神経のバランスを整えたり、ストレスを管理したりするための具体的な方法を一緒に考えてくれるでしょう。
また、日々の生活の中で、規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、そして自分なりのストレス解消法を取り入れるといったセルフケアも非常に重要です。これらの取り組みは、心身の回復力を高め、体調改善の土台となります。
「原因がわからず とにかく 体調が悪い」状態は、決してあなたの気のせいではありません。つらいと感じているなら、それは体が何かを訴えているサインです。諦めずに、医療の専門家と共に、そしてご自身のセルフケアを通して、体調を改善するための一歩を踏み出しましょう。あなたのつらさが少しでも和らぐことを心から願っています。
【免責事項】
本記事は、原因不明の体調不良に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個々の症状や状態については個人差があり、必ずしもすべての方に当てはまるものではありません。体調にご不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、当方では一切の責任を負いかねます。