コンサータは市販されている?処方薬について徹底解説
ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬として知られる「コンサータ」。集中力の向上や多動性の軽減に効果が期待できることから、その名前を聞いたことがある方や、ご自身やご家族のために「すぐに手に入れたい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
では、このコンサータは、普段わたしたちが風邪薬などを買うように、薬局やドラッグストアで手軽に市販されているのでしょうか?
結論からお伝えすると、コンサータは医師の処方が必要な「処方箋医薬品」であり、残念ながら薬局やドラッグストアで市販されていません。
インターネット通販などでの個人輸入も、法律や安全性の面から大変危険であり、推奨できません。
この記事では、コンサータがなぜ市販されていないのか、処方箋医薬品と市販薬の違い、コンサータの正しい入手方法、そして個人輸入に潜むリスクについて、ADHD治療に詳しい専門家の視点から徹底的に解説します。
コンサータについて正しい知識を身につけ、安全な方法で適切な治療に繋げるための参考にしてください。

- 当日受診OK!平日0時まで対応可能
- スマホで完結通院・待合室ゼロ
- 即日診断書発行!休職・傷病手当サポート
- うつ・適応障害・不眠など精神科対応
- 100%オンライン薬の配送まで完結
コンサータは市販薬ではなく処方箋医薬品
コンサータは、日本の医薬品医療機器等法において「処方箋医薬品」に分類されています。これは、医師や歯科医師の処方箋がなければ、薬剤師が患者さんに販売・授与してはならないと定められている薬です。
この分類については、医薬品の添付文書情報を提供する医薬品医療機器情報提供ホームページ(PMDA)のコンサータ錠18mgの添付文書情報などでも確認できます。
なぜ、コンサータのように効果が期待できる薬が、手軽に市販されないのでしょうか。
その主な理由は、高い安全性管理が求められる薬だからです。
コンサータの有効成分であるメチルフェニデート塩酸塩は、脳の中枢神経系に作用し、ADHDの症状を改善する効果がありますが、同時に依存性や乱用のリスクも指摘されています。
そのため、医師が患者さんの症状や健康状態をしっかり診断した上で、必要性を判断し、適切な量を管理しながら処方する必要があるのです。
さらに、コンサータは「麻薬及び向精神薬取締法」における「第三種向精神薬」にも指定されています。これは、国によって厳重な管理が必要とされる薬物であることを意味します。
厚生労働省からもコンサータの適正流通管理に関する通知が出されており、医療機関や薬局は、コンサータの在庫管理や処方記録を厳格に行う義務があります。
このような背景から、コンサータは市販薬として誰もが自由に購入できる薬ではないのです。
ADHD治療薬の分類:市販薬と処方薬の違い
医薬品は、その販売方法や管理体制によって大きく「市販薬(OTC医薬品)」と「処方箋医薬品」に分けられます。
この違いは、薬の安全性、効果の強さ、専門知識の必要性などに基づいて決められています。
分類 | 特徴 | 入手方法 | 例 |
---|---|---|---|
市販薬 (OTC) |
|
薬局、ドラッグストア、コンビニエンスストア(一部)、インターネット通販 | 風邪薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬、ビタミン剤など |
処方箋医薬品 |
|
医療機関を受診し、医師の処方箋を受け取った後、保険薬局で購入。 | 抗生物質、高血圧治療薬、糖尿病治療薬、抗うつ薬など、そしてコンサータ |
コンサータが処方箋医薬品であるのは、ADHDという疾患の診断には専門的な知識が必要であり、またコンサータ自体が中枢神経に作用する薬であり、その効果や副作用、他の疾患や薬との相互作用などを専門家である医師が判断し、適切に管理する必要があるためです。
自己判断で使用すると、効果が期待できないだけでなく、健康被害につながるリスクが高まります。
コンサータとは?効果と特徴
コンサータ(一般名:メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)は、ADHDの主な症状である「不注意」「多動性」「衝動性」を改善するために使用される中枢刺激薬です。
子ども(6歳以上)から成人まで使用が認められています。
コンサータの効果や特徴に関する詳細は、PMDAの添付文書情報でも確認できます。
コンサータの有効成分であるメチルフェニデート塩酸塩は、脳内でドーパミンとノルアドレナリンという神経伝達物質の再取り込みを阻害する作用を持ちます。
ADHDの症状には、これらの神経伝達物質の働きが関係していると考えられており、再取り込みを阻害することで、これらの物質が脳内で適切に働くようになり、情報伝達がスムーズに行われるようになることで、症状の改善につながると考えられています。
コンサータの大きな特徴は、徐放性(じょほうせい)製剤であるという点です。
これは、薬の成分が服用後すぐにすべて放出されるのではなく、時間をかけてゆっくりと体内に放出されるように作られていることを意味します。
コンサータの場合、朝1回服用することで、およそ12時間効果が持続するように設計されています。
これにより、学校や仕事をしている日中の時間帯にわたって、ADHDの症状をコントロールしやすくなるというメリットがあります。
具体的な効果としては、以下のような点が期待されます。
- 不注意の改善: 集中力が持続しやすくなる、気が散りにくくなる、課題を最後までやり遂げやすくなる、整理整頓ができるようになるなど。
- 多動性の改善: 落ち着きがなく動き回る、そわそわするといった行動が減るなど。
- 衝動性の改善: 順番を待てない、人の話を遮る、思いつきで行動するといった傾向が和らぐなど。
ただし、コンサータはADHDを「完治」させる薬ではありません。あくまで症状を「軽減」し、日常生活や社会生活を送りやすくするための治療薬です。
薬の効果には個人差があり、すべての人に同じような効果が現れるわけではありません。
また、コンサータを服用する際は、効果だけでなく副作用についても理解しておく必要があります。
主な副作用には、食欲不振、不眠、頭痛、腹痛、動悸、イライラ感などがあります。
これらの副作用が出た場合は、医師に相談することが重要です。
コンサータの入手方法:診断から処方まで
コンサータを安全かつ適切に使用するためには、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けた上で処方してもらう必要があります。
ここでは、コンサータを入手するまでの一般的な流れを解説します。
受診すべき医療機関
ADHDの診断やコンサータの処方を希望する場合、まずは以下の専門医がいる医療機関を受診しましょう。
- 精神科
- 心療内科
- 児童精神科(お子様の場合)
- 脳神経内科(一部対応している場合あり)
一般的に、ADHDは精神科や心療内科の専門分野とされています。
特に成人ADHDを診察しているか、児童期からのADHDの継続的な診察に対応しているかは、医療機関によって異なります。
受診前にホームページを確認したり、電話で問い合わせたりして、ADHDの診療を行っているか、また希望する年代(成人か子どもか)の診療に対応しているかを確認することをおすすめします。
また、コンサータは特別な管理が必要な薬のため、「コンサータ登録医」という資格を持った医師しか処方できません。
受診を検討している医療機関にコンサータ登録医がいるかどうかも、事前に確認しておくとスムーズです。
コンサータ登録医は、コンサータの製造販売元であるヤンセンファーマ株式会社のウェブサイトで検索することができます。
この登録医制度は、厚生労働省の通知などでもその必要性が示されています。
ADHDの診断プロセス
ADHDの診断は、一度の簡単な診察だけで確定するものではありません。
医師が問診や検査を通じて、総合的に判断を行います。
一般的な診断プロセスは以下のようになります。
- 問診: 医師が患者さん本人や保護者(お子様の場合)から、子どもの頃からの行動や現在の困りごとについて詳しく聞き取ります。生育歴、学校や職場での様子、家族との関係など、多岐にわたる質問があります。診断基準(DSM-5など)に照らし合わせて、不注意、多動性、衝動性の症状がどの程度当てはまるかを確認します。
- 情報収集: 可能であれば、幼少期の通知表や連絡帳、母子手帳、学校や職場からの報告書など、客観的な情報を収集します。これらの情報から、症状が子どもの頃から存在し、様々な環境で問題となっているかを確認します。
- 心理検査・発達検査: 知能検査(WAIS、WISCなど)、注意機能検査(CAARS、ADHD-RS、Conners 3など)などの心理検査や、必要に応じて発達検査を行うことがあります。これらの検査は、ADHDの特性を客観的に評価したり、他の発達障害や精神疾患の可能性を除外したりするために役立ちます。
- 身体的検査: 薬を安全に使用できるかを確認するため、簡単な身体的な診察(血圧測定など)や、必要に応じて血液検査などを行うことがあります。
- 総合的な判断: これらの情報に基づき、医師が総合的に判断し、ADHDの診断を確定します。他の疾患(うつ病、不安障害、他の発達障害など)との鑑別も重要です。
診断がついた場合、医師は患者さんの症状の程度や困りごとの内容、合併症などを考慮し、薬物療法を含む総合的な治療計画を提案します。
コンサータの処方条件と登録医制度
前述の通り、コンサータを処方できるのは「コンサータ登録医」という資格を持つ医師のみです。
この登録医制度は、コンサータが持つ依存性や乱用リスク、そして厳重な管理が必要な向精神薬であることを踏まえて設けられています。
コンサータ登録医になるためには、医師は特定の研修プログラムを受講し、コンサータの適正使用や安全管理について学ぶ必要があります。
そして、医療機関もコンサータの保管・管理体制について基準を満たしている必要があります。
これは、厚生労働省からの適正流通管理に関する通知に基づいた体制でもあります。
患者さんがコンサータの処方を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ADHDであると診断されていること: 医師による診断が必須です。
- コンサータ登録医がいる医療機関を受診すること: 登録医以外の医師はコンサータを処方できません。
- コンサータ患者登録をすること: コンサータを初めて処方される際には、患者さん自身が登録センターに登録する必要があります。これにより、重複処方や不正使用を防ぐための情報管理が行われます。登録には、医師が記入した書類と患者さん本人の署名が必要です。登録が完了すると「コンサータ患者登録カード」が発行され、以降は医療機関を受診する際にこのカードの提示が求められます。
このように、コンサータの処方には厳格な手続きと管理体制があります。
これは、患者さんが安全に治療を受けられるようにするための重要な仕組みです。
コンサータの代わりになる市販薬はある?
「コンサータが市販されていないなら、代わりに薬局で買える薬はないだろうか?」そうお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、残念ながら、ADHDの症状に直接的な効果を持つ市販薬は、現在のところ日本には存在しません。
ADHDに直接効果のある市販薬は存在しない
ADHDは脳機能の発達の偏りによるものと考えられており、その特性に基づいた症状(不注意、多動性、衝動性)が現れます。
これらの症状を医学的に改善するためには、コンサータのように脳内の神経伝達物質の働きを調整する作用を持つ、専門的な医薬品が必要です。
市販薬は、比較的軽い症状や一般的な体の不調(風邪、頭痛、胃もたれなど)に対して、医師の診断なしに自己判断で使用できるようリスクが抑えられたものです。
ADHDの症状は多岐にわたり、個人差も大きいため、適切な診断とそれに合わせた薬の選択・調整が不可欠です。
そのため、ADHDの根本的な治療を目的とした市販薬は開発・承認されていません。
コンサータの成分(メチルフェニデート塩酸塩)を含む市販薬
コンサータの有効成分であるメチルフェニデート塩酸塩は、日本ではコンサータやリタリン(後述)といった処方箋医薬品にのみ含まれています。
メチルフェニデート塩酸塩を含む市販薬は存在しません。
これは、メチルフェニデート塩酸塩が持つ中枢刺激作用や依存性、乱用リスクが高いため、市販薬として自由に販売することは認められていないからです。
厚生労働省の通知などでも示されているように、非常に厳重な管理の下でのみ、医療目的での使用が許可されています。
コンサータとリタリンの違い
メチルフェニデート塩酸塩を含む薬として、「リタリン」の名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
リタリンもコンサータと同じ有効成分を含んでいますが、いくつかの重要な違いがあります。
項目 | コンサータ (メチルフェニデート塩酸塩徐放錠) | リタリン (メチルフェニデート塩酸塩) |
---|---|---|
剤形・効果時間 | 徐放錠(成分がゆっくり放出され、約12時間持続) | 速放錠(成分がすぐに放出され、効果時間は短い) |
適応疾患 | ADHD(6歳以上の子どもおよび成人)、ナルコレプシー | ナルコレプシー、難治性・重症のうつ病(他の治療法で効果不十分な場合のみ) |
使用上の注意 | 徐放性のため、噛み砕いたり割ったりせず、そのまま服用する必要がある。 | 短時間作用型のため、1日に複数回服用することがある。 |
管理体制 | コンサータ登録医制度により、医師・患者ともに登録・管理が必須。 | 特定の専門医による処方が推奨されているが、コンサータほど厳格な制度はない。 |
かつてリタリンはADHDの治療にも使われていましたが、短時間作用型であることから効果の波が大きく、依存性や乱用が問題となったため、現在はADHDへの適応が削除され、主にナルコレプシーの治療に使用されています。
コンサータは、このリタリンの課題を踏まえ、効果が緩やかに長く続くように開発された徐放性製剤であり、ADHD治療においてより使いやすく、かつ登録医制度によって安全性が図られています。
したがって、リタリンはADHD治療の第一選択肢ではなく、コンサータの「代わり」として簡単に入手できる薬でもありません。
どちらの薬も医師の厳密な診断と処方が必要です。
市販で手に入るADHD関連のセルフケア・サポート(サプリメントなど)
ADHDの症状に直接作用する市販薬はありませんが、ADHDの人が日々の生活を送る上で、困りごとを軽減するためのセルフケアやサポートはいくつか存在します。
これらは薬ではありませんが、症状の管理に間接的に役立つ可能性があります。
- サプリメント: ビタミンB群、オメガ-3脂肪酸(DHA・EPA)、鉄分、マグネシウム、亜鉛などの栄養素が、脳機能や精神状態に関係しているという研究もあり、これらの補給を目的としたサプリメントが市販されています。しかし、これらのサプリメントがADHDの症状そのものを改善するという科学的な根拠は確立されていません。あくまで栄養補助であり、薬のように症状を劇的に変える効果は期待できません。服用を検討する場合は、医師や専門家と相談することをおすすめします。
- 特定の栄養素を含む食品: バランスの取れた食事は心身の健康にとって重要です。特定の食品や栄養素がADHDに良い影響を与えるという考え方もありますが、これも科学的根拠は限定的です。
- 集中力サポートを謳う商品: 受験勉強やデスクワークなど、集中したい場面での使用を想定した、カフェインやハーブなどを配合した清涼飲料水や食品なども市販されています。これらは一時的に覚醒度を高める効果があるかもしれませんが、ADHDの脳機能に根本的に作用するものではなく、効果の持続性や安全性もADHD治療薬とは異なります。カフェインの摂りすぎは不眠や不安を招く可能性もあります。
- 認知行動療法やペアレントトレーニングなどの支援: 薬物療法と並行して、あるいは薬物療法が適さない場合に、ADHDの特性を持つ人が社会生活に適応するためのスキルを学ぶ認知行動療法や、保護者が子どもへの対応方法を学ぶペアレントトレーニングなどの心理的・教育的支援が有効です。これらは市販薬とは全く異なりますが、ADHDによる困難を軽減する上で非常に重要なアプローチです。
これらの市販のサポート製品やセルフケアは、あくまで生活の質を向上させるための補助的な位置づけであり、ADHDの治療薬ではありません。
ADHDの診断や治療は、必ず専門医の管理下で行うべきです。
コンサータの個人輸入やネット購入の危険性
コンサータが国内で市販されていないことから、「海外のサイトから個人輸入すれば手に入るのではないか?」と考える方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、コンサータの個人輸入やインターネットでの購入は、非常に危険であり、絶対に行わないでください。
これには、以下のような深刻なリスクが伴います。
偽造品・品質問題のリスク
インターネット上には、正規のルートではない医薬品を販売しているサイトが無数に存在します。
特にコンサータのような需要の高い医薬品は、偽造品のターゲットになりやすい傾向があります。
- 成分が含まれていない: 効果があるかのように見せかけて、実際には有効成分が全く含まれていない「偽薬」である可能性があります。
- 不純物が混入している: 製造環境が不衛生であったり、本来含まれるべきでない有害な物質が混入していたりするリスクがあります。
- 成分量が不正確: 有効成分が過剰に含まれていたり、逆に少なすぎたりすることがあります。過剰に含まれている場合は、予期せぬ強い副作用や健康被害を引き起こす可能性が高まります。少なすぎる場合は、効果が得られないばかりか、適切な治療の機会を逃すことになります。
- 品質劣化: 不適切な環境で保管・輸送された医薬品は、品質が劣化している可能性があります。
見た目だけでは偽造品と本物の区別は困難です。
万が一、偽造品や品質の劣化したコンサータを服用してしまった場合、期待する効果が得られないだけでなく、重篤な健康被害につながる危険性が非常に高いです。
法的な問題と罰則
コンサータの有効成分であるメチルフェニデート塩酸塩は、日本の麻薬及び向精神薬取締法により、厳しく規制されている向精神薬です。
このため、医師の処方箋なしに、海外からコンサータを個人輸入することは法律で禁止されています。
たとえ個人的な使用目的であっても、処方箋なしでの輸入は違法行為にあたります。
また、インターネットなどを通じて入手したものを他人に譲り渡したり、自分が譲り受けたりすることも同様に違法です。
これらの行為には、懲役や罰金といった重い罰則が科せられる可能性があります。
知らなかった、では済まされない問題です。
この規制の根拠は、厚生労働省が出している通知などでも確認できます。
健康被害のリスク
個人輸入したコンサータを、医師の診断や指導なしに自己判断で服用することは、極めて危険です。
- 誤診・不適応: そもそもADHDではないにも関わらず、自己判断でADHDの薬を服用してしまう可能性があります。ADHDと似た症状を示す他の精神疾患や身体疾患は多く存在するため、専門医による正確な診断が不可欠です。間違った診断に基づく薬の使用は、症状を悪化させたり、適切な治療機会を逃したりすることになります。
- 不適切な用量: 体質や症状の程度によって、適切な薬の量(用量)は異なります。自己判断で服用量を決めると、効果が不十分だったり、副作用が強く出すぎたりするリスクがあります。医師は患者さんの状態を見ながら慎重に用量を調整します。適切な用量については、PMDAの添付文書情報にも記載されていますが、これはあくまで一般的な情報であり、個別の患者さんに適用されるには医師の判断が必要です。
- 副作用のリスク増大: コンサータには、食欲不振、不眠、動悸、血圧上昇などの副作用があります。PMDAの添付文書情報にも副作用に関する詳しい記載があります。医師の管理下であれば、副作用を早期に発見し、適切に対処することができますが、自己判断での服用では、副作用に気づかず重症化させてしまったり、不適切な対処をしてしまったりする危険性があります。特に、心臓や精神疾患などの持病がある場合、コンサータの服用が病状を悪化させる可能性もあります。
- 飲み合わせ(薬物相互作用): 他に服用している薬がある場合、コンサータとの間で相互作用が起こり、効果が弱まったり、副作用が強まったりすることがあります。市販薬やサプリメントも含め、全ての服用薬を医師に伝えることが重要ですが、個人輸入の場合は自己判断となるため、危険な飲み合わせに気づけません。
- 依存性・乱用: コンサータの有効成分には依存性や乱用のリスクがあります。医師の管理下で適正に使用すれば問題は少ないですが、自己判断で多量に服用したり、不適切な目的で使用したりすると、依存形成につながる危険性があります。
これらの理由から、コンサータの個人輸入やインターネットでの購入は、法律違反であるだけでなく、ご自身の健康を著しく損なう可能性のある行為です。
決して手を出さないでください。
コンサータ以外の主なADHD処方薬
ADHDの治療薬はコンサータだけではありません。
コンサータが合わない場合や、症状の特性によっては、他の種類の薬が選択されることもあります。
ここでは、日本で承認されているコンサータ以外の主なADHD治療薬をいくつか紹介します。
薬の名称 | 主な有効成分 | 作用機序(簡単な説明) | 効果の持続時間 | 主な対象年齢 | 主な副作用 |
---|---|---|---|---|---|
ストラテラ | アトモキセチン | ノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、注意機能などを改善。非中枢刺激薬。 | 1日効果持続 | 6歳以上の子ども・成人 | 吐き気、食欲不振、腹痛、頭痛、眠気、体重減少など |
インチュニブ | グアンファシン | 脳の前頭前野にある受容体に作用し、注意機能や衝動性を改善。非中枢刺激薬。 | 1日効果持続 | 6歳以上の子ども・成人 | 眠気、血圧低下、徐脈、頭痛、倦怠感など |
ビバンセ | リスデキサンフェタミンメシル酸塩 | 体内で分解されてデキストロアンフェタミンとなり、ドーパミン・ノルアドレナリン放出を促進。中枢刺激薬。 | 1日効果持続 | 6歳以上の子ども | 食欲不振、不眠、頭痛、腹痛、動悸、体重減少など |
※ビバンセは2023年現在、日本では小児期ADHDの治療薬としてのみ承認されており、成人ADHDへの適応はありません。
また、コンサータと同様に登録医制度があります。
これらの薬も、ADHDの診断を受けた上で、医師によって処方される処方箋医薬品です。
薬の種類によって作用機序や効果の現れ方、副作用の種類などが異なります。
どの薬が最適かは、患者さんの症状の特性、年齢、体の状態、他の病気や服用中の薬などを考慮して、医師が判断します。
例えば、コンサータのような中枢刺激薬は効果の発現が比較的早い傾向がありますが、不眠や食欲不振などの副作用が出やすい場合もあります。
ストラテラやインチュニブといった非中枢刺激薬は、効果が現れるまでに数週間かかることがありますが、依存性や乱用リスクは低いとされています。
ADHDの治療薬は、患者さん一人ひとりに合わせて、薬の種類や量を慎重に選択し、調整していくことが重要です。
自己判断で薬を変更したり、中止したりすることは避け、必ず医師の指示に従ってください。
自己判断せず、まずは専門医に相談を
この記事を通じて、コンサータが市販されていない処方箋医薬品であり、その入手には専門医の診断と厳格な管理が必要であることをご理解いただけたかと思います。
インターネットなどでの個人輸入には、偽造品や品質の問題、法的なリスク、そして何よりご自身の健康に関わる深刻な危険性が伴います。
ADHDの症状で困っている場合、最も安全で確実な方法は、一人で悩まず、まず専門医(精神科、心療内科、児童精神科など)に相談することです。
専門医は、正確な診断を行い、ADHDであると判断された場合には、コンサータを含む様々な治療選択肢の中から、患者さんに最適な方法を提案してくれます。
薬物療法だけでなく、環境調整やカウンセリング、ソーシャルスキルトレーニングなど、薬以外の支援についても相談できます。
ADHDの治療は、症状を改善し、日常生活や社会生活における困難を軽減することで、その人本来の能力を発揮し、自分らしく生きていくことをサポートすることを目的としています。
適切な診断と治療を受けることで、抱えている困りごとが解決に向かい、生きづらさが和らぐ可能性があります。
もしあなたがADHDの可能性について気になっていたり、ご家族のことで心配があったりするなら、まずは勇気を出して専門の医療機関に相談の予約を入れてみましょう。
それが、安全かつ適切なADHD治療への第一歩となります。
(記事執筆時点の情報を基に作成しています。最新の情報や個別の状況については、必ず医療機関にご確認ください。)
免責事項:
本記事は情報提供を目的としており、特定の医薬品の使用を推奨したり、医療行為を代替するものではありません。ADHDの診断や治療については、必ず医師の診察を受け、専門家の指示に従ってください。本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、当方は責任を負いかねます。
個人輸入やインターネットでの医薬品購入は、法律に違反する行為であり、健康被害のリスクが非常に高いため絶対に行わないでください。
医薬品に関する正確かつ最新の情報については、医薬品医療機器情報提供ホームページ(PMDA)などで公式な添付文書や医薬品情報を参照するか、専門家にご確認ください。