防風通聖散は、肥満症や便秘、むくみなどに用いられる代表的な漢方薬の一つです。
お腹周りの皮下脂肪が多く、便秘がちな方に適しているとされ、その効果について「痩せる」といった期待の声もよく聞かれます。
一方で、「副作用が心配」「本当に効果があるの?」といった疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、防風通聖散の効果やメカニズム、気になる「痩せる」可能性、副作用、そして正しい飲み方まで、専門的な知見や信頼できる情報源(厚生労働省関連文書など)を基に分かりやすく解説します。
防風通聖散について深く理解し、ご自身に合うかどうかを見極めるための参考にしてください。

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防風通聖散とは?期待される効果
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、中国の古典である『宣明論(せんめいろん)』に収載されている漢方処方です。
主に、体力があり、お腹周りに皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症や、それに関連する症状(高血圧に伴う肩こり、むくみ、便秘など)に用いられます。
その効果は多岐にわたり、様々な不調の改善に期待が寄せられています。
20種類配合生薬の働き
防風通聖散は、合計20種類の生薬が組み合わされて構成されています。
これらの生薬が互いに作用し合うことで、以下のような多様な働きを発揮すると考えられています。
生薬名 | 主な働き |
---|---|
桔梗(ききょう) | 痰を切り、肺を清める作用 |
白朮(びゃくじゅつ) | 消化機能を助け、体内の水分バランスを整える |
茯苓(ぶくりょう) | 利水作用(余分な水分を排出)、精神安定作用 |
当帰(とうき) | 血行を促進し、体を温める、鎮痛・鎮静作用 |
芍薬(しゃくやく) | 筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める |
川芎(せんきゅう) | 血行を促進し、痛みを和らげる |
山梔子(さんしし) | 熱を取り、炎症を抑える、精神安定作用 |
連翹(れんぎょう) | 解熱・解毒作用、消炎作用 |
薄荷(はっか) | 発汗を促し、熱を発散させる、清涼感 |
荊芥(けいがい) | 発汗を促し、風邪の初期症状や皮膚疾患に用いる |
防風(ぼうふう) | 発汗を促し、風邪の初期症状や関節痛などに用いる |
麻黄(まおう) | 発汗・利尿作用、気管支拡張作用(注意が必要な生薬) |
大黄(だいおう) | 瀉下作用(便通を良くする)、解毒作用 |
芒硝(ぼうしょう) | 瀉下作用を助け、便を軟らかくする |
白斂(びゃくれん) | 炎症を抑え、腫れを引かせる作用 |
甘草(かんぞう) | 多くの生薬の薬効を調和させる、鎮痛・鎮痙作用(偽アルドステロン症に注意) |
黄金(おうごん) | 清熱燥湿作用(熱や余分な水分を取り除く)、消炎作用 |
石膏(せっこう) | 熱を取り、炎症を抑える |
生姜(しょうきょう) | 体を温め、消化を助ける、吐き気を抑える |
活石(かっせき) | 利尿作用、熱を取り除く作用 |
これらの生薬が組み合わされることで、体の内側から熱を冷まし(清熱)、表からの邪気を取り除き(解表)、便通を良くして毒素を排出(瀉下)、さらに体内の余分な水分や老廃物を排出(利水)といった総合的な作用を発揮します。
特に、麻黄や大黄、芒硝といった生薬が配合されていることから、比較的体力があり、熱がこもりやすい「実証(じっしょう)」の方に向いている処方と言えます。
効能・効果(医療用・一般用)
防風通聖散の効能・効果は、医薬品として承認されており、医療用医薬品と一般用医薬品(市販薬)で基本的な内容は共通していますが、表現や対象となる症状の範囲に若干の違いが見られることがあります。
厚生労働省関連文書にも記載されている効能・効果は以下の通りです。
医療用医薬品の効能・効果の例:
「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」
一般用医薬品(市販薬)の効能・効果の例:
「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)」
どちらにも共通するのは、「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」という体質(証)に合うという点です。
この体質の方に対して、肥満症やそれに伴う症状(動悸、肩こり、のぼせ、むくみ、便秘)に効果が期待できます。
市販薬では、さらに蓄膿症や湿疹・皮膚炎、にきびといった皮膚疾患にも応用されることがあるとされています。
これは、防風通聖散の清熱・解毒作用や、便通を改善することで体内の不要なものを排出する作用が、これらの症状にも良い影響を与えると考えられているためです。
これらの効果は、配合されている20種類の生薬が総合的に働くことで得られます。
例えば、大黄や芒硝による瀉下作用は便秘を改善し、体内の老廃物排出を促します。
麻黄や薄荷、荊芥、防風などは発汗・解表作用を持ち、体表の熱を発散させたり、新陳代謝を高める可能性があります。
白朮や茯苓、活石は利水作用でむくみを改善します。
これらの働きが複合的に作用することで、特に「お腹周りの皮下脂肪」にアプローチし、肥満症やそれに関連する不調を改善に導くことが期待できるのです。
ただし、漢方薬の効果は個人の体質(証)に大きく左右されます。
上記の体質に合わない方が服用しても、効果が十分に得られなかったり、かえって体調を崩したりする可能性もあります。
防風通聖散で「痩せる」って本当?
防風通聖散は「肥満症」に効果があるとされていますが、「飲めば誰でも簡単に痩せる」という魔法の薬ではありません。
ここでいう「肥満症」とは、単に体重が多いことだけでなく、特定の体質(体力があり、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がち)の方における症状としての肥満を指します。
防風通聖散による体重減少は、主に以下のようなメカニズムを通じて期待されるものです。
肥満・皮下脂肪への効果
防風通聖散が肥満、特にお腹周りの皮下脂肪に効果を示すとされる背景には、漢方的な考え方と科学的なアプローチの両面があります。
漢方的な考え方:
防風通聖散は、体にこもった熱(実熱)を取り除き、体表や体内の邪気や不要なものを排出する力(瀉実)が強い処方です。
特に、体内に溜まった湿(余分な水分や脂肪)や熱(炎症や代謝の過剰)が原因で起こる肥満に適しています。
お腹周りの皮下脂肪は、漢方では「湿」や「痰湿」といった病理産物が蓄積したものと捉えられることがあります。
防風通聖散は、これらの病理産物を便や尿、汗として体外に排出することで、結果的に体脂肪の減少や体重のコントロールに繋がると考えられています。
科学的なアプローチ:
近年の研究では、防風通聖散に含まれる特定の生薬成分が、脂肪細胞への分化を抑制したり、脂肪の分解(分解)を促進したり、脂肪の吸収を抑えたりする可能性が示唆されています。
例えば、日本医療薬学会の臨床研究では、メタボリックシンドロームに対する防風通聖散の有効性が検討されており、内臓脂肪量の減少メカニズムとして特定の遺伝子発現調節の観点からの解明が試みられています。
また、動物実験ではありますが、横浜市立大学の研究では、防風通聖散がアディポネクチン分泌を促進し、白色脂肪細胞の小型化を誘導する可能性が報告されています。
これらの研究は、防風通聖散が分子レベルで脂肪代謝に影響を与える可能性を示唆しています。
さらに、防風通聖散に含まれる麻黄やその他の成分が、代謝を促進し、エネルギー消費を増加させる可能性も指摘されています。
これにより、脂肪燃焼が促進されることも、体重減少に寄与すると考えられます。
このように、防風通聖散は単に食欲を抑えるのではなく、体質改善を通じて体内に溜まった余分なものを排出し、脂肪の代謝にアプローチすることで、肥満症の改善をサポートすると考えられています。
ただし、これらの効果は研究段階であったり、個人差が大きかったりするため、「飲めば劇的に痩せる」と過度に期待するのは現実的ではありません。
食事療法や運動療法と併用することで、より効果が期待できるでしょう。
いつから効果が出る?(1ヶ月の効果)
防風通聖散の効果が現れるまでの期間には個人差があります。
漢方薬は西洋薬に比べて比較的穏やかに作用することが多く、効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。
- 比較的早く実感できる効果: 便秘がちな方の場合、大黄や芒硝の働きにより、服用後数日~1週間程度で便通が改善されるのを実感できることがあります。
むくみが気になる方も、利水作用による効果を比較的早く感じることがあります。 - 体重や体脂肪への効果: 体重や体脂肪の減少といった効果を実感するには、もう少し時間がかかるのが一般的です。
個人の体質、肥満の程度、生活習慣などにもよりますが、目安としては1ヶ月~3ヶ月程度、継続して服用することで効果が見られ始めることが多いとされています。 - 1ヶ月での効果: 服用を始めて1ヶ月の時点で、便通やむくみが改善された、体が少し軽くなった気がするといった変化を感じる方はいます。
しかし、体重が劇的に減少するといった明確な変化は、1ヶ月では難しい場合が多いでしょう。
体質が少しずつ改善され、脂肪が燃焼しやすい、または溜まりにくい体になっていく過程だと捉えるのが現実的です。
効果を焦らず、まずは1ヶ月程度を目安に継続して服用し、体調の変化や便通、むくみの改善などを観察してみることが大切ですし、厚生労働省関連文書でも効果が感じられない場合の目安期間について言及されています。
もし1ヶ月以上服用しても全く変化が見られない場合や、体調が悪化する場合は、体質に合っていない可能性も考えられるため、医師や薬剤師に相談してください。
便秘・むくみへの効果
防風通聖散は、肥満症の随伴症状としても挙げられている便秘やむくみに対して、比較的効果を実感しやすい漢方薬です。
- 便秘への効果: 防風通聖散に含まれる大黄や芒硝は、強い瀉下作用を持つ生薬です。
これらの成分が腸の蠕動運動を促進し、便通を改善します。
特に、体力があり、便が硬く、コロコロしているようなタイプの便秘に有効なことが多いです。
便秘が解消されることで、お腹の張りが軽減されたり、体内の老廃物が排出されたりし、結果的に体調が良くなるだけでなく、見た目もすっきりする可能性があります。
これは、体脂肪が減ったわけではなくても、体重計の数値や体型に良い影響を与えることがあります。 - むくみへの効果: 茯苓や活石といった生薬には利水作用があり、体内の余分な水分を尿として排出する働きがあります。
これにより、むくみの改善が期待できます。
特に、水分代謝が悪く、体がだるく感じたり、手足や顔がむくみやすい方には効果的な場合があります。
むくみが解消されることで、体が軽くなったり、見た目がすっきりしたりといった変化を感じることがあります。
便秘やむくみは、体重増加の一因となることもあります。
防風通聖散がこれらの症状を改善することで、間接的に体重コントロールをサポートする効果も期待できると言えます。
防風通聖散が向いている人・合わない人
漢方薬は、その人の体質(証)や症状によって合う・合わないが大きく分かれます。
防風通聖散も例外ではありません。
ご自身の体質が防風通聖散に適しているかどうかを知ることが、効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを減らす上で非常に重要です。
体質的に向いている人
防風通聖散が最も効果を発揮しやすいのは、漢方でいう「実証(じっしょう)」と呼ばれる体質の方です。
具体的には、以下のような特徴に複数当てはまる方が防風通聖散に向いていると考えられます。
- 体力がある、比較的がっしりした体格:病気と戦うエネルギー(気血水)が充実している状態。
- お腹周りにたっぷりとした皮下脂肪がある:特に、お臍のあたりを中心に脂肪がついている「リンゴ型肥満」傾向の方。
- 便秘がち:数日おきにしか便が出ない、便が硬い、排便後もすっきりしないなどの症状がある。
- 暑がり、汗をかきやすい:体に熱がこもりやすい傾向がある。
- 顔色が良い、または赤っぽい:体に熱や血が充実しているサイン。
- 肩こり、のぼせ、動悸を伴うことがある:高血圧や肥満に関連してこれらの症状が出やすい。
- イライラしやすい、怒りっぽい:体に熱がこもっていると、精神的にも昂ぶりやすくなることがある。
このような体質の方は、体の中に余分なもの(熱や湿、宿便など)が溜まりやすく、それを強力に排出する力を持つ防風通聖散が適していると考えられます。
いわば、体の中の「大掃除」をするようなイメージです。
服用を避けるべき・合わない人(やめた方がいい?)
逆に、防風通聖散の強力な瀉下作用や発汗作用、清熱作用などが体質に合わない方もいます。
以下のような特徴に当てはまる方は、防風通聖散の服用を避けるか、慎重に検討する必要があります。
- 体力がなく、やせ型:「虚証(きょしょう)」と呼ばれる、体力が不足している状態。
防風通聖散のような強い薬は、体力をさらに消耗させてしまう可能性があります。 - 胃腸が弱い、下痢をしやすい:防風通聖散には瀉下作用のある生薬が多く含まれており、元々お腹が弱い方が服用すると、下痢や腹痛が悪化する可能性があります。
- 冷え性、寒がり:体を温めるよりも熱を冷ます作用が強いため、冷え性の方が服用すると、冷えが悪化することがあります。
- 食欲不振、吐き気がある:胃腸の機能が低下しているサインかもしれません。
- 発汗が異常に多い:さらに発汗を促すと脱水症状を引き起こす可能性があります。
- 妊婦または妊娠している可能性のある方:一部の生薬に子宮収縮作用などが報告されており、安全性が確立されていません。
- 授乳中の女性:生薬成分が母乳に移行する可能性があります。
- 高齢者、虚弱体質の方:体の機能が低下しており、副作用が出やすいため、慎重な判断が必要です。
- 特定の疾患がある方:
- 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能亢進症:麻黄の作用により、症状が悪化する可能性があります。
- 排尿障害:麻黄の作用により、症状が悪化する可能性があります。
- むくみやすい(特に原因が不明な場合):心臓や腎臓の疾患によるむくみの可能性があり、自己判断は危険です。
- 他の医薬品を服用している方:特に麻黄や甘草が含まれる他の漢方薬、または血圧や心臓に関わる薬などとの飲み合わせに注意が必要です(後述の副作用の項も参照)。
- 過去に漢方薬などで発疹、かゆみなどを起こしたことがある方:アレルギー体質の可能性があります。
このような方が防風通聖散を服用すると、効果がないばかりか、かえって体調を崩したり、副作用のリスクが高まったりします。
もし、上記の「合わない人」の特徴に当てはまるにも関わらず服用してしまい、体調が悪化したり、期待する効果が得られなかったりする場合は、「やめた方がいい」と言えます。
厚生労働省関連文書でも、このような体質や状態の方への服用は避けるよう注意喚起されています。
服用を開始する前に、必ず医師や薬剤師に相談し、ご自身の体質に合うかどうかを判断してもらうことが最も重要です。
自己判断での服用は避けましょう。
防風通聖散の副作用・リスク
防風通聖散は漢方薬であり、生薬由来ですが、医薬品である以上、副作用のリスクはゼロではありません。
特に、配合されている生薬の中には、注意が必要なものも含まれています。
主な副作用(下痢などどんな症状?)
比較的起こりやすい、軽度な副作用としては以下のようなものが挙げられます。
これらは厚生労働省関連文書にも記載されている主な使用上の注意に含まれる症状です。
- 消化器系:
- 下痢:大黄や芒硝の瀉下作用が強く出すぎると起こります。
最も起こりやすい副作用の一つです。 - 軟便
- 腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 食欲不振
- 下痢:大黄や芒硝の瀉下作用が強く出すぎると起こります。
- 皮膚:
- 発疹
- かゆみ
- 精神神経系:
- 不眠
- 発汗過多
- 動悸
- ふるえ
- その他:
- むくみ(体質に合わない場合や、甘草による偽アルドステロン症の場合など)
これらの症状は、体質に合わなかったり、体の状態によっては現れる可能性があります。
特に、元々胃腸が弱い方や、下痢をしやすい方は、防風通聖散の服用によって下痢が起こりやすい傾向があります。
もしこれらの症状が現れた場合は、一旦服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
重大な副作用(肝臓に悪いなど危険性はやばい?)
稀ではありますが、防風通聖散によって重篤な副作用が引き起こされる可能性もゼロではありません。
「やばい」「危険性」といった不安を感じる方もいるかもしれませんが、正しい知識を持ち、注意して服用することが大切です。
重大な副作用として厚生労働省関連文書に記載されているものには、以下のようなものがあります。
- 間質性肺炎:頻度は極めて稀ですが、空咳、息切れ、呼吸困難、発熱などが現れることがあります。
日本呼吸器学会誌には、防風通聖散による薬剤性肺炎と肝障害を同時に呈した稀な症例報告も掲載されています。
これらの症状が出た場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。 - 偽アルドステロン症、ミオパチー:甘草に含まれる成分により、体内の電解質バランスが崩れることで起こる可能性があります。
主な症状は、手足のしびれ、脱力感、筋肉痛、力が入りにくいなどです。
むくみや血圧上昇を伴うこともあります。
甘草を含む他の漢方薬や、グリチルリチン酸を含む薬剤との併用でリスクが高まることがあります。
特に高齢の方やカリウム製剤を服用している方は注意が必要です。
このような症状が現れたら、服用を中止し、医師の診察を受けてください。 - 肝機能障害、黄疸:頻度は不明ですが、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの肝機能検査値の異常、発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れることがあります。
「肝臓に悪い」という懸念は、この肝機能障害のリスクがあるためです。
日本呼吸器学会誌の症例報告でも肝酵素上昇が報告されています。
定期的な健康診断を受けている方や、元々肝臓に疾患がある方は注意が必要です。
これらの重大な副作用は頻度としては稀ですが、初期症状を見逃さず、早期に医療機関を受診することが重要です。
厚生労働省関連文書でも、これらの副作用に関する詳しい注意喚起がされています。
特に、体力がなく虚弱な方、高齢者、持病がある方、他の薬を複数服用している方などは、副作用のリスクが高まる可能性があるため、必ず医師や薬剤師に相談してから服用を開始してください。
飲み続けるとどうなる?
防風通聖散を体質に合っている方が、用法・用量を守って適切に飲み続けた場合、期待される効果(肥満症、便秘、むくみなどの改善)が得られる可能性があります。
体質が改善されることで、これらの症状が軽減され、健康的な状態に近づくことが期待できます。
しかし、前述の副作用は長期的に服用した場合に発現するリスクもあります。
特に、偽アルドステロン症や肝機能障害は、長期服用中に現れることがあるため、定期的な健康チェックも重要ですし、厚生労働省関連文書でも長期連用時の注意が記載されています。
また、体質は時間の経過や生活習慣によって変化することもあります。
飲み始めた当初は体質に合っていても、飲み続けるうちに体質が変わってきたり、症状が改善したりして、防風通聖散が不要になる、あるいは合わなくなることもあり得ます。
効果が感じられなくなったり、体調に異変を感じたりした場合は、漫然と飲み続けずに、再度医師や薬剤師に相談し、継続の要否を判断してもらうことが大切です。
自己判断で長期間服用し続けることは避けましょう。
正しい飲み方・選び方
防風通聖散の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、正しい飲み方と、ご自身に合った製品を選ぶことが重要です。
効果的な飲み方・タイミング
防風通聖散の一般的な飲み方としては、以下の点が挙げられます。
- 服用回数: 1日2回または3回
- 服用タイミング: 食前(食事の約30分前)または食間(食事と食事の間、食後約2時間後)
漢方薬は、一般的に胃の中に食べ物がない空腹時に服用した方が、生薬成分が吸収されやすいとされています。
そのため、食前や食間が推奨されています。
ただし、胃腸が弱い方で、空腹時に服用すると胃もたれや吐き気を感じやすい場合は、食後に服用することも可能です。
医師や薬剤師の指示に従ってください。
- 服用方法: 多めの水またはぬるま湯と一緒に服用しましょう。
特に顆粒タイプは、口の中に残ると苦味を感じやすいため、しっかりと飲み込むことが大切です。 - 用量: 製品によって1回あたりの用量や1日の総量が異なります。
必ず製品に記載されている用法・用量を守って服用してください。
自己判断で量を増やしたり、減らしたりすることは避けましょう。 - 継続: 漢方薬は効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。
すぐに効果が出ないからといって服用を中止せず、まずは1ヶ月程度、指示された通りに継続して服用してみることが推奨されます。
錠剤など剤形による違い
防風通聖散には、主に以下のような剤形があります。
- エキス顆粒・細粒: 生薬から有効成分を抽出したエキスを顆粒状にしたもの。
水に溶かしたり、そのまま水で飲んだりします。
比較的吸収が早く、効果の発現も早い傾向がありますが、苦味を感じやすいことがあります。 - 錠剤: エキスや生薬末を錠剤にしたもの。
顆粒よりも苦味を感じにくく、携帯しやすいのがメリットです。
顆粒に比べて崩壊・溶解に時間がかかるため、効果の発現はやや穏やかな傾向があります。 - 満量処方・エキス量: 市販薬の中には、「満量処方」と記載されているものがあります。
これは、漢方処方の古典的な配合量に基づき、煎じる生薬の量(煎じ薬と同等の量)をエキス化したものであることを示しています。
満量処方でない製品は、生薬の量を調整していたり、一部の生薬を含んでいなかったりする場合があります。
一般的に、満量処方の方が効果が強く出やすいとされています。
どの剤形を選ぶかは、飲みやすさや苦味の感じ方、携帯性など、個人の好みやライフスタイルによって異なります。
効果の面では、満量処方かどうかを確認するのも一つの目安になりますが、剤形による大きな違いよりも、ご自身の体質に合っているかどうかの方が重要です。
製品を選ぶポイント
ドラッグストアやインターネットなどでは、様々なメーカーから防風通聖散の市販薬が販売されています。
製品を選ぶ際には、以下の点を参考にしましょう。
- 「満量処方」かどうか: 前述の通り、満量処方の方が古典的な配合量に基づいており、効果が期待しやすい傾向があります。
製品パッケージや添付文書で確認しましょう。 - 剤形: 顆粒タイプが良いか、錠剤タイプが良いか、ご自身の飲みやすさで選びましょう。
- 価格: メーカーによって価格は異なります。
長期的に服用する場合は、無理なく続けられる価格帯の製品を選ぶことも大切です。
ただし、価格だけで選ばず、満量処方かどうかなども考慮に入れましょう。 - 品質: 信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
GMP基準(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した工場で製造されているかなども参考にできます。 - 相談先: 初めて服用する場合や、どの製品を選べば良いか分からない場合は、薬局やドラッグストアの薬剤師、登録販売者に相談しましょう。
ご自身の体質や症状、服用中の他の薬などを伝えることで、適切な製品選びや飲み方についてアドバイスを得られます。
また、病院で医師から処方される医療用医薬品の防風通聖散もあります。
市販薬で効果が感じられない場合や、より詳しい診断に基づいて服用したい場合は、医療機関を受診して相談することも検討しましょう。
防風通聖散に関するよくある質問
防風通聖散について、ユーザーが抱きやすい疑問点についてQ&A形式で回答します。
防風通聖散を飲んで何日で痩せますか?
防風通聖散を飲んで「何日後に」体重が減少するという明確な基準はありません。
漢方薬の効果は個人差が大きく、すぐに体重に変化が現れるとは限りません。
便秘やむくみについては、比較的早い段階(数日~1週間程度)で改善を実感できることがありますが、体脂肪の減少や体重の明確な減少には、一般的に1ヶ月~3ヶ月程度の継続服用が必要とされています。
厚生労働省関連文書でも、効果が感じられない場合は1ヶ月程度を目安に専門家へ相談することを推奨しています。
まずは1ヶ月程度を目安に服用を続け、体調の変化を観察することをお勧めします。
防風通聖散はやせる効果がある?
防風通聖散は、添付文書上の効能・効果として「肥満症」が認められています。
これは、特定の体質(体力があり、お腹周りの皮下脂肪が多く、便秘がち)の方に対して、体質を改善することで肥満症の治療をサポートするという意味です。
日本医療薬学会の臨床研究や横浜市立大学の研究でも示唆されているように、脂肪の分解・燃焼促進、脂肪吸収抑制、便通改善、むくみ改善などの作用を通じて、体脂肪の減少や体重のコントロールに繋がる可能性はあります。
しかし、飲めば誰でも痩せるというわけではなく、体質に合っていること、そして適切な食事や運動と組み合わせることが重要です。
「飲むだけで痩せる」という過度な期待はせず、体質改善をサポートする漢方薬として捉えましょう。
防風通聖散はやめた方がいいですか?
以下のような場合は、防風通聖散の服用を中止するか、「やめた方がいい」と判断し、医師や薬剤師に相談すべきです。
- 体質に合わない場合: 体力がなく虚弱な方、胃腸が弱い方、冷え性の方などが服用した場合、体調が悪化する可能性があります。
- 副作用が現れた場合: 下痢、腹痛、発疹、動悸、不眠などの比較的軽い副作用から、稀ではあるものの、間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害などの重大な副作用の初期症状(空咳、息切れ、手足のしびれ、筋肉痛、黄疸など)が現れた場合。
厚生労働省関連文書や日本呼吸器学会誌の報告にあるような重大な副作用のリスクもあることを理解しておく必要があります。 - 効果が全く感じられない場合: 1ヶ月~3ヶ月程度継続して服用しても、期待される効果(便通改善、むくみ軽減、体調の変化など)が全く感じられない場合、体質に合っていない可能性があります。
- 持病が悪化した場合や、服用中の他の薬との相互作用が心配される場合: 必ず専門家に相談が必要です。
- 妊婦、授乳婦、高齢者、虚弱体質の方などが自己判断で服用している場合: 安全のため、専門家の指導なしに続けるのは避けるべきです。
ご自身の体調や変化をよく観察し、少しでも不安な点があれば、迷わず専門家に相談しましょう。
防風通聖散を飲んだ後、どんな症状が出る?
防風通聖散を飲んだ後に現れる可能性のある症状は、効果や副作用によって異なります。
効果として現れる可能性がある症状:
- 便通の改善: 服用後数時間~1日程度で便意を感じたり、排便があったりすることがあります。
便が軟らかくなることもあります。 - 発汗: 体が温まり、汗をかきやすくなることがあります。
- 体が軽く感じる: 便秘やむくみが改善されることで、体が軽く感じられることがあります。
副作用として現れる可能性がある症状(服用後比較的早く現れるもの):
- 下痢、軟便、腹痛: 消化器系の副作用として現れることがあります。
- 胃もたれ、吐き気: 胃腸が弱い方で、特に空腹時に服用した場合に現れることがあります。
- 動悸、不眠、発汗過多: 麻黄の影響で現れることがあります。
これらの症状が現れた場合は、それが効果なのか副作用なのかを判断し、必要に応じて服用を中止したり、専門家に相談したりすることが重要です。
特に、副作用が疑われる症状が重い場合や長引く場合は、速やかに医療機関を受診してください。
防風通聖散 効果のまとめ
防風通聖散は、体力があり、お腹周りに皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症やそれに伴う症状(高血圧に伴う動悸、肩こり、のぼせ、むくみ、便秘)に用いられる漢方薬です。
20種類の生薬の働きにより、体内の熱を冷まし、不要なものを排出する総合的な効果が期待できます。
特に、便秘やむくみに対しては比較的早く効果を実感できる場合があります。
肥満症、特に皮下脂肪への効果については、脂肪代謝へのアプローチや便通改善などを通じて体重コントロールをサポートする可能性が示唆されていますが、「飲むだけで劇的に痩せる」というよりは、体質改善を促し、痩せやすい・太りにくい体質へと導く側面が強いと言えます。
効果を実感するまでには個人差があり、一般的には1ヶ月~3ヶ月程度の継続が必要です。
防風通聖散は、その効果が期待できる一方で、副作用のリスクも伴います。
厚生労働省関連文書にも主な副作用として下痢や腹痛、発疹などが記載されており、稀ではありますが間質性肺炎(症例報告あり)や偽アルドステロン症、肝機能障害といった重篤な副作用の可能性もゼロではありません。
「肝臓に悪い」「やばい」といった不安は、これらの副作用リスクからくるものです。
服用を続けることで体質改善が期待できますが、漫然と長期服用せず、体調の変化をよく観察し、不安があれば専門家に相談することが大切ですし、厚生労働省関連文書でも長期連用時の注意が喚起されています。
防風通聖散の服用を検討する際は、まずご自身の体質が防風通聖散に適している「実証」タイプかどうかを見極めることが重要です。
体力がなく虚弱な方、胃腸が弱い方、冷え性の方など、「虚証」タイプの方や特定の持病がある方、他の薬を服用している方、妊娠・授乳中の方などは服用を避けるか、必ず医師や薬剤師に相談してください。
正しい飲み方としては、食前または食間に水やぬるま湯で服用し、製品に記載された用法・用量を守ることが基本です。
市販薬を選ぶ際は、「満量処方」かどうかも参考になりますが、最も重要なのはご自身の体質に合ったものを選ぶことです。
防風通聖散は、適切に使用すれば肥満症やそれに伴う不調の改善に役立つ有力な選択肢の一つです。
しかし、医薬品である以上、自己判断での安易な使用は避け、必ず医師や薬剤師といった専門家にご自身の体質や健康状態、服用中の他の薬について相談し、指導のもとで服用を開始・継続するようにしましょう。
これにより、効果を最大限に引き出し、安全に服用することができます。
免責事項: 本記事は、防風通聖散に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスや診断、治療を推奨するものではありません。
個々の体質や症状、既往歴、併用薬などによって適応やリスクは異なります。
防風通聖散の服用に関しては、必ず医師、薬剤師、または登録販売者にご相談ください。
本記事の情報に基づいて発生したいかなる結果についても、筆者および提供元は責任を負いかねます。