麻黄湯(まおうとう)は、漢方薬の中でも特に有名で、風邪のひきはじめによく用いられる処方です。「ぞくぞく」とした寒気があり、熱が出始めたばかりなのに汗が出ていないような状態に効果が期待できるとされています。古くから使われている漢方薬ですが、その効果やメカニズム、そして使う上での注意点については、意外と知られていないことも多いかもしれません。
この記事では、麻黄湯の知られざる効果から、副作用、正しい飲み方、そしてよく比較される葛根湯との違いまで、詳しく解説します。薬剤師の視点も交えながら、麻黄湯の効果を最大限に引き出し、安全に活用するための情報をお届けします。風邪やインフルエンザかな?と思ったときに、麻黄湯が選択肢の一つとなるか、またどのように使うべきかを知る参考にしてください。

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麻黄湯の代表的な効果
麻黄湯は、4種類の生薬(薬用の植物など)を組み合わせて作られた漢方薬です。これらの生薬が互いに作用し合うことで、風邪の初期症状に対して総合的な効果を発揮します。
麻黄湯に含まれる生薬は以下の通りです。
- 麻黄(まおう): 身体を温め、発汗を促し、体表に停滞した病邪(風邪の原因となるもの)を発散させる働きがあるとされます。また、気管支を広げ、咳や息切れを鎮める効果も期待できます。西洋医学的には、エフェドリン類を含むことが知られており、この成分が発汗作用や気管支拡張作用に関与すると考えられています。
- 桂皮(けいひ): 身体を温め、血行を促進し、発汗を助けるとともに、痛みを和らげる作用があると考えられています。香りが良く、リラックス効果も期待できます。
- 杏仁(きょうにん): 咳を鎮め、痰を出しやすくする働きがあるとされます。気道の炎症を和らげる効果も期待できます。
- 甘草(かんぞう): 他の生薬の働きを調整し、薬全体の調和を図る役割があります。また、鎮痛作用や抗炎症作用も持つとされます。ただし、量が多い場合や長期間の服用では注意が必要な生薬でもあります。
これらの生薬の組み合わせにより、麻黄湯は特に「寒証(かんしょう)」と呼ばれる、身体が冷えきっている状態の風邪に適しているとされています。
風邪のひきはじめの寒気・発熱に効くメカニズム
麻黄湯が最も効果を発揮するとされるのが、風邪のひきはじめに感じる強い寒気と、それに伴う発熱です。この状態は、体内に病邪が侵入し、身体がそれと戦おうとして体表を閉じこめ、熱を外に出せないでいると考えられます。
麻黄湯は、主薬である麻黄と桂皮の働きにより、身体の表面を強く温め、毛穴を開かせて発汗を促します。これにより、体表に停滞していた病邪を汗と一緒に体外へ追い出すことを目指します。汗をかくことで、体内にこもった熱も一緒に発散され、体温の調節がスムーズに行われるようになります。
「ゾクゾク」とした寒気が強く、熱があるのに汗が出ていない。体表が冷たく感じられる。このような症状は、麻黄湯が適している典型的な「証」と言えます。
節々の痛み、頭痛への効果
風邪の初期には、全身の節々が痛んだり、頭が重く痛むといった症状もよく現れます。これは、寒さによって血行が悪くなったり、体内に病邪が滞ることで生じると漢方では考えます。
麻黄湯に含まれる桂皮や麻黄には、血行を促進し、身体を温める作用があります。これにより、寒さで滞りがちな血行が改善され、筋肉や関節の痛み、頭痛が和らぐ効果が期待できます。特に、寒さからくるこわばりや痛みに有効とされます。
鼻づまり、咳、気管支炎への効果
麻黄湯は、呼吸器系の症状にも効果を発揮します。
麻黄に含まれるエフェドリン類には、交感神経を刺激し、気管支の筋肉を弛緩させて気道を広げる作用があります。これにより、咳を鎮めたり、呼吸を楽にする効果が期待できます。また、鼻粘膜の血管を収縮させる作用もあり、鼻づまりの改善にもつながります。
杏仁は、古くから咳止めや去痰薬として用いられてきた生薬です。麻黄湯に配合されることで、咳を鎮め、痰を出しやすくし、気管支炎に伴う不快な症状を和らげる働きを補います。
これらの働きにより、麻黄湯は風邪に伴う鼻づまりや咳、軽い気管支炎の症状にも効果が期待できます。
麻黄湯はインフルエンザにも効果がある?
麻黄湯は、インフルエンザに対しても有効である可能性が指摘されています。特に、インフルエンザの初期で、強い寒気、高熱、節々の痛み、頭痛といった、麻黄湯の適応となる症状が顕著な場合に用いられることがあります。
一部の研究では、麻黄湯がインフルエンザウイルスの増殖を抑制する可能性や、免疫応答を調節する可能性が示唆されています。また、臨床的な報告として、インフルエンザに対して麻黄湯を投与することで、解熱までの時間が短縮されたり、症状が早く改善したりといった効果が示された例もあります。
ただし、麻黄湯はあくまで漢方薬であり、抗インフルエンザ薬のような特効薬ではありません。インフルエンザが疑われる場合は、自己判断で麻黄湯だけに頼るのではなく、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受け、必要に応じて抗インフルエンザ薬の処方を受けることが重要です。麻黄湯を服用する場合も、医師や薬剤師に相談し、指示に従って使用してください。高熱や強い倦怠感が続く場合など、症状が重い場合には麻黄湯が適さないこともあります。
麻黄湯の効果的な飲むタイミングと正しい飲み方
麻黄湯の効果を最大限に引き出すためには、適切なタイミングで正しい方法で服用することが大切です。漢方薬は、西洋薬とは異なる考え方に基づいて服用することが多いので、その点を理解しておきましょう。
どんな症状の時に飲むべきか?
麻黄湯が最も効果を発揮するのは、以下のような風邪のひきはじめの症状です。
- 悪寒(ゾクゾクとした強い寒気)がある
- 発熱がある(または熱が出始めたばかり)
- 体が冷えて、あまり汗をかいていない
- 頭痛や節々の痛みがある
- 鼻づまりがある
- 咳が出る
これらの症状がいくつか当てはまり、特に「寒気が強く、汗が出ていない」というのが麻黄湯の重要なポイントです。体力がある程度あり、病気と戦う力がある人に向いています。
逆に、以下のような症状や状態の時には、麻黄湯は適さない場合があります。
- すでにたくさん汗をかいている
- 体力が著しく低下している、虚弱な体質である
- 胃腸が弱く、食欲がない、吐き気がある
- 熱は高いが、寒気よりも暑さを感じやすい
- 体力がなく、ぐったりしている
- 排尿困難がある、むくみやすい
このような場合は、麻黄湯を服用するとかえって症状が悪化したり、副作用が出やすくなったりすることがあります。自分の体質や症状をよく観察し、不安な場合は専門家に相談しましょう。
食前?食間?麻黄湯を飲む適切な時間帯
漢方薬は、一般的に胃の中に食物がない空腹時に服用する方が、成分の吸収が良いとされています。これは、生薬の成分が食物と混ざることで吸収が妨げられたり、胃酸によって分解されたりするのを避けるためです。
麻黄湯の場合も、食前(食事の約30分~1時間前)または食間(食事と食事の間で、食事後約2時間経過し、次の食事まで2時間以上空く時間帯)に服用するのが一般的です。
特に風邪のひきはじめで早く効果を得たい場合は、吸収が良い空腹時を狙って服用するのが良いでしょう。
ただし、胃腸が弱い方や、空腹時に飲むと胃の不快感がある場合は、食後に服用しても構いません。大切なのは、指示された用法・用量を守り、継続して服用することです。製品によって推奨される服用時間が異なる場合もあるため、必ず添付文書を確認してください。
効果を最大限に引き出す飲み方のコツ
麻黄湯の効果をより高めるために、いくつかのコツがあります。
- お湯に溶かして温かくして飲む: 漢方薬は、お湯に溶かして温かい状態で飲むのが本来の飲み方です。特に麻黄湯は、身体を温めて発汗を促す作用が期待されるため、温かい状態で飲むことでその効果を高めることができます。顆粒やエキス剤の場合は、カップにお湯を注いでよく溶かし、湯気と一緒に成分を吸い込むようにゆっくりと飲むと良いでしょう。
- 服用後は保温を心がける: 麻黄湯は発汗を促す薬です。服用後は、温かい部屋で過ごしたり、布団に入ったりして、身体を温めると汗が出やすくなります。ただし、厚着をしすぎたり、無理に汗をかこうとすることは避け、心地よい温かさを保つようにしましょう。
- 症状が改善したら服用を中止する: 麻黄湯は、風邪のひきはじめの比較的短期間の使用を目的とした薬です。症状が改善したら、それ以上の服用は不要です。漫然と飲み続ける必要はありません。
- 早めに服用する: 風邪の「ひきはじめ」、つまり症状が出始めたばかりの早い段階で服用するほど、効果が出やすいとされています。「ゾクゾク」と感じたら、早めに服用を検討しましょう。
これらの飲み方のコツを実践することで、麻黄湯の効果をより実感しやすくなるでしょう。
麻黄湯の副作用と注意点
麻黄湯は適切に使用すれば効果的な漢方薬ですが、副作用のリスクがないわけではありません。特に、主成分である麻黄に含まれるエフェドリン類は、体質や使い方によっては注意が必要な成分です。副作用や注意点を理解し、安全に使用しましょう。
知っておきたい麻黄湯の主な副作用
麻黄湯の服用によって起こりうる主な副作用には、以下のようなものがあります。これらは、麻黄に含まれるエフェドリン類の交感神経刺激作用によるものが多いと考えられます。
動悸(どうき)として、心臓がドキドキしたり、脈が速くなったりする症状が現れることがあります。
不眠として、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。特に夕方以降の服用で起こりやすい場合があります。
発汗過多として、必要以上に大量の汗をかいてしまうことがあります。
胃部不快感、食欲不振、吐き気といった胃腸の調子が悪くなることもあります。
排尿困難として、尿が出にくくなることがあります。特に前立腺肥大症など排尿に問題がある方は注意が必要です。
体の震え(振戦)として、手や体が震えることがあります。
血圧上昇として、血圧が高くなることがあります。高血圧の方や心臓病のある方は注意が必要です。
これらの副作用は、通常は一時的で軽度なものが多いですが、症状が続く場合や気になる場合は、服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
また、まれではありますが、以下のような重篤な副作用が起こる可能性も指摘されています。
偽アルドステロン症として、尿量が減る、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、血圧が上がる、頭痛がするなどの症状が現れることがあります。これは、甘草の成分によって体内の電解質バランスが崩れることで起こりうると考えられています。
ミオパチーとして、手足のしびれ、けいれん、力が入らない、こわばるといった症状が現れることがあります。偽アルドステロン症に伴って起こることがあります。
これらの重篤な副作用は、主に甘草を多く含む漢方薬を長期間または大量に服用した場合に起こりやすいとされていますが、麻黄湯にも甘草が含まれているため注意が必要です。特にむくみや血圧の上昇などの症状に気づいたら、すぐに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
麻黄湯が逆効果になるケースとは?
麻黄湯は体質や症状によっては逆効果になることがあります。前述の「飲むべきでない症状や状態」に当てはまる人が麻黄湯を服用した場合です。
すでに汗をたくさんかいている人が飲むと、さらに汗をかいてしまい、体力を消耗させる可能性があります。
体力が著しく低下している人が飲むと、強い発汗作用などが負担となり、かえってぐったりしてしまうことがあります。
胃腸が弱い人が飲むと、胃の不快感や吐き気などの副作用が出やすくなります。
体質的に熱がりで、寒気よりも暑さを強く感じる人が飲むと、さらに熱がこもって不快な状態になることがあります。
麻黄湯は、漢方の考え方でいうところの「実証(じっしょう)」、つまり体力がある程度あり、病気に対する抵抗力が比較的強い人向けの薬です。「虚証(きょしょう)」、つまり体力がなく虚弱な人には向いていません。
インターネットなどで「麻黄湯 やばい」といった評判を目にすることがあるかもしれません。これは、麻黄湯の強力な効果を実感して驚いた場合と、体質に合わずに副作用が出たり、症状が悪化したりした場合の両方の意味合いで使われている可能性があります。麻黄湯は、効く人には非常によく効く「すごい」薬ですが、体質や症状を間違えて使うと「やばい」状況になる可能性もある、ということです。
自分の体質が「実証」か「虚証」か、あるいは現在の症状が麻黄湯の「証」に合っているかどうかを判断するのは難しい場合があります。不安な場合は、購入前に登録販売者や薬剤師に相談するか、医療機関で医師の診断を受けてから服用することをおすすめします。
飲み合わせに注意が必要な薬
麻黄湯に含まれる麻黄(エフェドリン類)や甘草の成分は、特定の薬剤との相互作用を起こす可能性があります。以下の薬剤を服用している場合は、麻黄湯を服用する前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
エフェドリン類、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン含有製剤は、咳止め、鼻炎薬、総合感冒薬などに含まれていることがあります。これらの薬と麻黄湯を併用すると、エフェドリン類の作用が強く出すぎて、動悸、不眠、血圧上昇などの副作用が起こりやすくなります。
他の漢方薬、特に麻黄や甘草を含む他の漢方薬との併用は、それぞれの生薬の成分量が過剰になり、副作用のリスクが高まる可能性があります。複数の漢方薬を併用する場合は、必ず専門家の指示を受けてください。
降圧剤の一部は、麻黄の血圧上昇作用が、降圧剤の効果を弱める可能性があります。
甲状腺機能促進薬と併用すると、甲状腺ホルモンの働きを強める薬と併用すると、動悸や不眠などの副作用が強く出やすくなる可能性があります。
モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)は、特定の抗うつ薬などに含まれます。これらの薬とエフェドリン類を併用すると、血圧が急激に上昇するリスクがあります。
ジギタリス製剤は心臓の薬の一部です。甘草との相互作用により、不整脈のリスクが高まる可能性があります。
副腎皮質ホルモン剤は甘草との相互作用により、偽アルドステロン症のリスクが高まる可能性があります。
市販の薬やサプリメントの中にも、麻黄や甘草に似た成分が含まれている場合があります。現在服用しているすべての医薬品、OTC医薬品、サプリメントを医師や薬剤師に伝え、飲み合わせについて確認することが非常に重要です。
麻黄湯と葛根湯の違い・使い分け
風邪のひきはじめに用いられる漢方薬として、麻黄湯と並んで有名なのが葛根湯(かっこんとう)です。どちらも「風邪の初期」に使われますが、得意な症状や適応となる体質が異なります。この違いを理解することで、より適切な方を選ぶことができます。
葛根湯は、麻黄湯に含まれる4種類の生薬(麻黄、桂皮、杏仁、甘草)に加えて、葛根、大棗、芍薬、生姜の4種類を加えた合計8種類の生薬で構成されています。
比較項目 | 麻黄湯 | 葛根湯 |
---|---|---|
構成生薬 | 麻黄、桂皮、杏仁、甘草 | 葛根、麻黄、大棗、桂皮、芍薬、生姜、甘草 |
得意な症状 | 悪寒(ゾクゾク)が非常に強い、発熱、頭痛、節々の痛み、鼻づまり(特に寒気強く汗が出ていない、体力のある人の風邪の初期) | 首筋や肩のこわばり、頭痛、発熱、鼻水、寒気、節々の痛み(比較的幅広い風邪の初期症状) |
体力的な向き不向き | 体力中等度以上向け | 比較的体力に関わらず使用しやすい |
作用のイメージ | 強く発汗を促し、体表から病邪を追い出す | 体表を温め、筋肉の凝りをほぐし、発汗を促す |
症状別の選び方
麻黄湯と葛根湯の使い分けは、最もつらい症状や体質によって判断します。
麻黄湯が向いているケース:
- とにかく寒気が強い!ゾクゾクする悪寒がひどく、布団に潜り込んでも温まらない感じ。
- 熱があるのに、まったく汗が出ていない。
- 体力がある方で、病気と戦う力がありそうな方。
- 頭痛や節々の痛みが伴う。
- 鼻づまりがつらい。
葛根湯が向いているケース:
- 風邪のひきはじめで、首筋や肩が凝って、こわばりを感じる。
- 寒気もあるが、麻黄湯ほどひどくない。
- 熱は出ている、または出始め。
- 頭痛や節々の痛みがある。
- 鼻水が出る(比較的さらさらした鼻水)。
- 体力が中程度〜やや虚弱な方でも比較的使いやすい。
簡単に言えば、「寒気が強く汗が出ない、体力のある人の風邪のひきはじめ」には麻黄湯、「首筋・肩が凝る、比較的幅広い風邪のひきはじめ」には葛根湯という目安になります。
ただし、これもあくまで目安であり、症状は人それぞれ異なります。どちらを選べば良いか迷う場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談して、自分の症状や体質に合った漢方薬を選んでもらうのが最も確実です。
市販されている麻黄湯の種類と選び方
麻黄湯は、ドラッグストアや薬局で様々なメーカーから市販薬として販売されています。剤形や価格、添加物などが異なる場合があるため、購入時にはいくつかのポイントを確認すると良いでしょう。
代表的な市販薬メーカー
日本で麻黄湯の市販薬を製造・販売している代表的なメーカーには、以下のようなところがあります。
- クラシエ薬品: 「葛根湯液」と並んで「麻黄湯エキス顆粒」などが広く知られています。
- ツムラ: 医療用漢方製剤で有名ですが、市販薬としても「ツムラ漢方麻黄湯エキス顆粒」などを販売しています。
- 小太郎漢方製薬(コタロー):漢方専門メーカーで、様々な漢方薬を市販しています。
- 大正製薬: 「パブロン50」など、総合感冒薬のイメージが強いですが、漢方薬も扱っています。
これらのメーカー以外にも、多くの製薬会社が麻黄湯の市販薬を出しています。
市販されている麻黄湯を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 剤形: 顆粒(お湯に溶かして飲むタイプが多い)、錠剤、液体などがあります。自分の飲みやすい剤形を選びましょう。一般的に、顆粒タイプは吸収が早いとされています。
- 満量処方かどうか: 漢方薬の市販薬には、医療用と同じ量の生薬を配合した「満量処方」と、生薬量を減らした「半量処方」などがあります。満量処方の方が効果を実感しやすいとされますが、その分価格が高かったり、副作用が出やすかったりする可能性もあります。パッケージや添付文書で確認しましょう。
- 価格: メーカーや剤形、容量によって価格は異なります。
- 添加物: 製品によっては、甘味料や香料などが含まれている場合があります。気になる場合は成分表示を確認しましょう。
- 容量: 1日分、数日分など、様々な容量の製品があります。まずはお試しで少量から始めたい場合は、少量パックを選ぶと良いでしょう。
どのメーカーの麻黄湯を選んでも、効果効能は基本的に同じですが、体質や好みに合わせて選びましょう。
重要な注意点として、市販薬を購入する際も、必ず添付文書をよく読み、用法・用量を守って正しく服用してください。 特に、服用してはいけない人や、服用に際して医師・薬剤師に相談が必要な人が記載されていますので、確認を怠らないようにしましょう。不安な場合は、薬局の登録販売者や薬剤師に相談することをおすすめします。
麻黄湯の効果に関するQ&A
麻黄湯について、よくある疑問にお答えします。
麻黄湯を飲んで体温はどれくらい上がる?
麻黄湯は、身体を温めて発汗を促すことで、体内にこもった熱を発散させ、体温調節を助ける働きがあります。服用後、身体がポカポカしてくるのを感じたり、じんわりと汗ばんできたりすることがあります。
体温が具体的に何度上がるかについては、個人差が非常に大きいため一概には言えません。もともとの体温、病気の進行度、体質、環境温度など、様々な要因が影響します。
麻黄湯の目的は、体温を無理に上げるというよりは、寒気で閉じこもっていた身体の表面を開き、自然な発汗によって熱を適切に逃がせるようにすることにあります。そのため、服用後に発熱がさらに高くなることもありますが、その後汗が出てきて熱が下がる、という経過をたどることが期待されます。
もし、服用後に体温が異常に上昇したり、汗が出ずに熱がこもり続けるような場合は、体質に合っていないか、症状が麻黄湯の適応外である可能性も考えられます。その場合は服用を中止し、医師に相談してください。
麻黄湯は「すごい」「やばい」と言われる理由
麻黄湯がインターネットなどで「すごい」「やばい」と評判になるのは、その効果の強さと速さ、そして体質によっては合わない可能性があることの両面があるためです。
「すごい」と言われる理由:
- 即効性: 特に風邪のひきはじめの悪寒が強いときに服用すると、比較的短時間で身体が温まり、発汗して、症状が楽になるのを実感しやすい人がいます。「飲んでしばらくしたら汗が出てきて楽になった!」という体験談から、「すごい効き目だ」と感じられます。
- 症状への的確な効果: 漢方の「証」にぴったり合った場合、西洋薬ではなかなかアプローチしにくい「寒気が強く汗が出ない」という初期のつらい症状に劇的に効果を発揮することがあります。
「やばい」と言われる理由:
- 副作用の経験: 動悸、不眠、胃部不快感などの副作用を経験した人にとっては、体への影響が強く「やばい」と感じる可能性があります。
- 体質に合わなかった: 麻黄湯が適さない体質(体力がない、汗をかきやすいなど)の人が服用した結果、症状が悪化したり、副作用が強く出たりして「やばい薬だ」と感じてしまうケースです。漢方薬は、効く人には「すごい」ですが、合わない人には「やばい」と感じられることがあるのです。
- 成分への不安: 麻黄に含まれるエフェドリン類は、覚せい剤の原料となる成分と構造が似ているため、漠然とした不安を感じる人もいます(ただし、医療用漢方薬に含まれるエフェドリン類は、適切に使用する限り依存性などの問題はありません)。
麻黄湯は、適切に使えば「すごい」効果を発揮する頼りになる薬ですが、体質や症状に合わない場合や、用法・用量を間違えると「やばい」結果につながる可能性もゼロではありません。だからこそ、安易な自己判断はせず、自分の状態を見極め、必要に応じて専門家に相談することが大切なのです。
麻黄湯は新型コロナウイルス感染症に効果がある?
麻黄湯が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に効果があるかについては、現時点(一般的な医学的見解として)で新型コロナウイルス感染症に対する特効薬や予防薬として国が承認しているものではありません。
一部の研究や臨床報告において、新型コロナウイルス感染症の症状緩和や回復促進に麻黄湯が役立つ可能性が示唆された例はありますが、これはあくまで研究段階や補助的な治療としての検討です。科学的に確立された効果として広く推奨されているわけではありません。
新型コロナウイルス感染症が疑われる症状(発熱、咳、倦怠感など)がある場合は、まず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従うことが最も重要です。麻黄湯を含む漢方薬の使用についても、必ず医師に相談し、その指示のもとで行ってください。自己判断で麻黄湯を服用し、適切な医療を受ける機会を逃してしまうことのないように注意が必要です。
まとめ:麻黄湯の効果を理解し適切に活用しましょう
麻黄湯は、風邪のひきはじめに現れる強い寒気や発熱、頭痛、節々の痛み、鼻づまり、咳といった症状に効果が期待できる漢方薬です。特に、体力が中程度以上あり、寒気が強くてもまだ汗が出ていない状態の「風邪の初期」に適しています。麻黄、桂皮、杏仁、甘草の4つの生薬が協力し合い、身体を温め、発汗を促し、体内の病邪を追い出すことで症状の緩和を目指します。
麻黄湯の効果を最大限に引き出すためには、症状が出始めたらなるべく早く、食前や食間といった空腹時に、お湯に溶かして温かくして飲むのがおすすめです。服用後は身体を冷やさないようにすることも大切です。
一方で、麻黄湯は誰にでも合う薬ではありません。すでに汗をかいている人、体力が著しく低下している人、胃腸が弱い人などは、かえって症状が悪化したり、動悸や不眠、胃部不快感などの副作用が出やすくなったりすることがあります。これらの副作用や、他の薬剤との飲み合わせに注意が必要な点も理解しておく必要があります。不安な場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。
風邪のひきはじめには、麻黄湯の他に葛根湯もよく使われますが、寒気が強く汗が出ていない場合は麻黄湯、首筋・肩のこわばりが気になる場合は葛根湯、というように、症状によって使い分けるのが一般的な目安です。
麻黄湯は市販薬としても多くのメーカーから販売されていますが、購入時には添付文書をよく読み、自分の症状や体質に合っているか、飲み合わせに問題がないかを確認しましょう。
「すごい」効果を発揮する可能性もあれば、使い方を間違えると「やばい」結果につながることもある麻黄湯。その効果とリスクを正しく理解し、適切なタイミングで、正しい飲み方で使用することが、麻黄湯を安全かつ効果的に活用するための鍵となります。もし服用しても症状が改善しない場合や、つらい症状が現れた場合は、自己判断で漫然と服用を続けず、速やかに医療機関を受診しましょう。
免責事項:
この記事は情報提供を目的としており、特定の製品の推奨や医療行為を代替するものではありません。麻黄湯を服用する際は、必ず医師、薬剤師、または登録販売者に相談し、指示に従ってください。ご自身の体調や病状については、必ず医療機関にご相談ください。